東京、ベストラーメン 2013

煮干、鶏白湯、清湯など、2013年を魅了した味を振り返る

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東京、ベストラーメン 2013

麹町『ソラノイロ』

2013年を振り返ると、「じぇじぇじぇ」、「倍返し」、「オリンピック招致」などの大きな流行、トピックが語られるが、一方で街のラーメン店もまた、変わらぬ明かりを灯らせているようで、ニーズの変遷、具材や味の流行を踏まえながら、日々の営みを繰り広げてきた。今回は日々取材を続けるラーメンハンターとともに2013年を象徴するラーメン店を20軒ピックアップした。煮干、鶏白湯、清湯など近年の流行を支えた店舗、2014年以降の新しい潮流を予感させる店舗、定番店としての高い評価をものにした店舗など、是非年末に足を運んでいただきたい。


麹町『ソラノイロ』


女性も虜にする『ベジソバ』
地下鉄麹町駅から徒歩2分。動物系と魚介系スープをブレンドした清湯系醤油ラーメン『中華ソバ』(750円)、ニンジンのピューレと動物・魚介系のブレンドされたスープに、パプリカを使った麺、具材に野菜がたっぷり使われた『特製ベジソバ』(1000円)が看板メニュー。特に、ベジソバはラーメンの常識を打ち破る新感覚で女性にも大人気。限定メニューや他店とのコラボメニューも多く、その独創性は際立っており、性別問わず人気を集めている。

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巣鴨『Japanese Soba Noodles 蔦』


醤油、塩、味噌のすべてがハイクオリティ
巣鴨では、行列のできるラーメン屋としてすっかり定着した感のある店舗。鶏ガラをメインに、昆布、サンマ、アサリなどを使用した出汁に、天然醸造の醤油ダレを混ぜ合わせた清湯スープの『醤油そば』(750円)、醤油と同じ鶏ガラスープにアサリや鮮魚の出汁の効いた塩ダレをブレンドした『塩そば』(750円)、鶏スープに徳島産の豆みそを加えた『味噌そば』(800円)、醤油・塩・味噌のすべてがハイクオリティ。どれもスープ、具、麺のバランスが素晴らく、食べた後に極上の余韻を残す。13年の流行であった淡麗系の中では都内トップクラスの一杯を提供している。

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新宿『ラーメン凪 新宿煮干 新宿ゴールデン街店』


煮干魚介系では都内最強の濃度
新宿ゴールデン街にある凪ブランドの総本山ともいえる店。13年は煮干系の新潮流が台頭してきていたが、煮干魚介系では都内最強といえる濃度のラーメンを提供している。20種類以上の煮干しを半日以上かけて、煮込んで作られたスープは圧巻。チャーシュー、メンマ、ネギ、のり、味玉の具材、もっちりとした極太麺は、唯一無二のインパクトだ。煮干特有の香ばしさと苦味が口の中に広がる感覚は中毒性あり。

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東十条『燦燦斗』


無化調の優しいWスープ
濃厚魚介豚骨系の店舗としては珍しく、無化調のラーメンを提供する東十条の店。モミジと丸鶏、豚骨を炊いた動物系のスープに、サバ節や煮干などの魚介ダシを加えた、深みのあるスープ。麺はツルツルの舌触りの自家製麺。程よい弾力のチャーシューと柔らかくなりすぎない味玉も絶品。動物、魚介系のWスープを提供する都内店舗が増えていく中で独特の存在感を放っており、その分厚いスープの旨みの魅力にはまる常連客も多数。油そばも人気で、ジャンクフード感のない優しい味わいだ。

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秋葉原『饗 くろ㐂』


新感覚の塩と味噌
オープン2年ながら秋葉原屈指の人気店。メインメニューは『塩』と『味噌』。『塩』は鶏がらやモミジからとった清湯に、カツオや焼きあご、サンマなどからとった魚介出汁が効いた、琥珀色のスープに6種類の塩をブレンドした塩ダレを加える。あっさりと奥深い一杯。『味噌』は豚骨、鶏がらをじっくり煮込んだクリーミーなスープに、海老や煮干の香ばしさ、味噌に胡麻やアーモンドを加えた味噌ダレを加える。都内の味噌の中では、斬新さのある個性派の一杯。料亭出身という店主の経験に裏打ちされた、絶品メニューを提供し続けている。

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東陽町『麺屋 吉左右』


つけ麺ブーム後に残った真打ち
木場と東陽町の中間あたり、永代通りから一本入ったところにある人気店。一時のつけ麺ブームにより、都内にあふれた魚介系つけ麺店舗の中でも、他に類を見ない存在感を放ち続けているのが『吉左右』だ。スープは豚骨魚介醤油だが、濃厚でありながらほどよいマイルドさを実現している、バランスのとれた一杯を提供。麺は太すぎない中太麺。全体的にきめ細かくつくられており、魚介豚骨の香ばしさの中に、ほどよく甘みを感じさせる味だ。

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幡ヶ谷『不如帰』


最後の一滴まで味わえる透明スープ
幡ヶ谷駅北口からほど近いラーメン屋。豚系の清湯に、大量に使われたハマグリからとったダシをミックスしたスープが特徴。ハマグリの香り、深い味わいは、最後の一滴まで飲み干してしまう。メインは『塩そば』(800円)、『醤油そば』(750円)。2013年にはこの『塩そば』を完全リニューアルし、味を一新。ハマグリの満ちたスープに、白トリュフ、塩漬ラードで、更に香りを際立たせている。透明感の高いスープは見た目も美しく、最高の一杯に仕上がっている。

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中板橋『愚直』


豚骨100%のインパクト
東武東上線中板橋駅から徒歩8分と少し離れた位置にあるが、行列の絶えない人気店。提供しているラーメンは超濃厚ながら臭みを抑え、抵抗なく食べられるクリーミーなスープが特徴の『とんこつラーメン』(650円)。豚頭や豚足などを丁寧に煮込んだ豚骨100%スープは、自家製のストレート麺との相性も良い。オーダーごとに炙るチャーシューも絶品、具材の岩のりや白髪ネギも味を引き締めている。独自のスタイルで、文字通り「愚直に」豚骨道を追求し続けており、そのブレない姿勢が味に現れている。

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千歳船橋『勢得』


中太麺でつけ麺の醍醐味を
東京農大のすぐそば、世田谷通り沿いに位置する、昼のみ営業のつけ麺のお店。煮干しやカツオ節など香り深い魚介だしと、鶏がらなどの動物だしを合わせて海老油を加えた超濃厚なつけ汁と、毎朝店主自らが打っているというパン用の小麦粉を使った中太麺との相性が抜群。海老油の味付けがよいアクセントになって、ただの魚介系豚骨に終わらない魅力の一杯に仕上がっている。常に人気が絶えず、ファンの熱い支持を集め続けている名店。

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両国『まる玉』


鶏白湯系ラーメンの草分け的存在
JR総武線の両国駅から徒歩3分ほど、現在ブームの「鶏白湯系」ラーメン店の中では草分け的な存在。長時間かけてしっかり煮込み、鶏のうま味を最大限引き出した、鶏白湯スープをベースとし、そこに特製の塩ダレをかけあわせる。程よい塩加減と、鶏の風味、見た目以上にとてもあっさりとした飲み口で、何杯でも食べられてしまいそうなほど美味しい。おすすめは、伊勢産のあおさを加えた、『あおさラーメン』(850円)。ブームの中でも、昔からの味をブレずに提供し続けている。

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八王子『煮干鰮らーめん 圓』


八王子に構える、煮干の雄
JR中央線八王子駅より徒歩7分、今年のトレンドでもあった「煮干ラーメン」の中では都内随一の名店。この店の『煮干らーめん』(700円)は、イワシと鶏ガラでとったスープに、煮干と昆布のダシを合わせた、「煮干」を凝縮させた一杯に仕上がっている。えぐみ・苦味はほとんど感じられず、煮干の旨みだけが口の中に広がる。自家製麺の細麺に、ネギ、メンマ、とろりとした味玉、そして抜群の歯ごたえの焼豚がのる。シンプルでいながら、すべての素材が美味しい。西東京まで足を運ぶだけの価値あり。

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方南町『家系ラーメン 桂家』


今、都内で一番美味しい家系
環七沿いの赤い看板が目印の店。多数ある横浜家系ラーメンの中でも、都内ナンバーワンとの呼び声も高い、ハイクオリティな家系ラーメンを提供している。通常の家系ラーメンの倍投入されるという豚骨や鶏ガラからとった濃厚スープに、やや柔らかめの麺、肉厚で柔らかいチャーシュー(増量したくなるほど美味)にほうれん草、海苔がのり、完成度の高い独自の美味しさがきっちり表現されている。注文ごとに一杯一杯スープの味を調整するというだけあって、手抜き無しの高品質を保っている。今、都内で一番美味しく家系を堪能できるのはここ。

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野方『花道』


味噌好きなら野方へ
西武新宿線野方駅北口より徒歩3分。豚骨、鶏ガラ、野菜などを煮込んだスープに、白味噌とニンニク、ラードで煮込んだ具材を載せた『味噌らーめん』(750円)は、濃厚だがしつこさがなく、幅広い年齢層に受け入れられるような、飽きのこない味。濃厚スープに野菜の甘みが広がるバランス感が非常によく、歯ごたえのある太麺や、とろけるような分厚いチャーシューの食感が加わり、満足度が非常に高い。都内を代表する味噌ラーメンとして、リピーターも多い。13年には更なる磨きをかけるため、味噌の濃厚さを高めるため、味噌を変更。毎週火曜限定の『札幌味噌ラーメン』(800円)も始まった。

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湯島『大喜』


煮干ブームでも曇らない名店の味
地下鉄湯島駅、春日通沿いにある店。看板メニューは『上とりそば』(850円)。日本料理を20年修行した店主が作る一杯は、九十九里産の煮干を中心にした魚介と、皮内地鶏の首からとった出汁を合わせており非常に上品、繊細、最後の一滴まで飲み干したくなる。また、2日間熟成された自家製麺の細麺をいかしたつけ麺『醤油つけそば』(780円)も絶品。柚子の風味と煮干の旨みが際立つけ汁と麺の相性は抜群。長年愛され続ける名店の味は、煮干ブームで店舗が増えた13年においても、唯一無二の味になっている。

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駒場東大前『千里眼』


二郎インスパイアの人気店
駒場東大前駅から歩いて10分ほど、東大技術研究センター近くにあるお店。二郎インスパイア店舗の出店攻勢もひと段落した13年においても、本家並みかそれ以上の人気を誇る。『豚ラーメン』(850円)は、極太縮れ麺に、厚切りチャーシューが3枚も載っており、ボリューム満点。モヤシとキャベツも山盛りで、食べ応え抜群。ニンニク、野菜などの定番オプションのほか、名物化している揚げ玉を唐辛子で味付けした「辛揚げ」のトッピングも人気。2014年春にはカップ麺化も決定ということで、勢いは止まらない。

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西池袋『しながわ』


話題新店による王道の中華そば
池袋の人気店『BASSOドリルマン』のセカンドブランドとして、2013年6月にオープンした店。本家は濃厚鶏スープの一杯を提供しているが、ここでは「流行にはとらわれない老舗の味」を目指したという、シンプルな中華そばをメインとしている。比内地鶏や豚の動物系スープと、魚介系スープをブレンド。繊細で上品な味わいで、なめらかな口当たりの自家製の中細麺と相性抜群。トッピングはチャーシュー、ネギ、メンマ、のりとシンプル。王道の一杯は、2013年の話題の新店となった。

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高田馬場『やまぐち』


鶏のエキスを凝縮した一杯
激戦区の高田馬場に2013年1月にオープンし、一気に人気店となった話題の新店。メニューは鶏ベースのスープに昆布や鰹のダシを合わせた『追い鰹中華そば』(750円〜)と、鶏ガラや丸鶏をふんだんに使った『鶏そば』(750円〜)。『追い鰹中華そば』は鰹の香りが強い醤油ベースのスープが特徴で、『鶏そば』は鶏のエキスが詰まったスープの香りと油が特徴でコクのある一杯に仕上がっている。比内地鶏などの鶏素材にこだわり、近年のトレンドでもある「鶏ダシ+生醤油」、「清湯スープ」の中でも、頭ひとつ以上抜け出ている。

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銀座『篝』


銀座で話題の行列店
2013年3月銀座の路地裏に現れ、瞬く間に行列店となった話題のお店。メインメニューは濃厚でとろみがある鶏スープを使った『鶏白湯SOBA』(850円)と動物系+煮干の『煮干醤油SOBA』(800円)の2つの異なるスープ。特に評判が高いのは、鶏白湯。スープは濃厚な仕上がりだが、鶏の旨味だけが凝縮されて、口当たりはとてもマイルド、麺と具材とのバランスも絶妙になっている。薬味のフライドオニオン、生姜をいれると味の変化を楽しめる。鶏スープを提供する店としては類を見ない独創性を誇る同店、この行列も納得。

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高円寺『中華そばJAC』


徳島ラーメンを関東仕様で
JR高円寺駅から徒歩7分、環七沿いに12年9月にオープン。東京では珍しい徳島ラーメンの店。スープは濃厚豚骨スープに、醤油を仕込んだもの。具材に、別で煮たすき焼き風の豚バラ肉、煮玉子、メンマ、モヤシがのる。『JACそば』(900円)は無料で生卵を加えることができ、これにライスをつけて食べるのが徳島流。徳島ラーメンをベースにしつつ、より濃厚でまろやかに仕上げた関東仕様。昨今の流行の中でも、とりわけ珍しい潮流といえる。

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東小金井『くじら食堂』


清湯スープで話題の新店
JR東小金井駅から徒歩3分ほど、2013年9月にオープンした新店。じわじわと話題を集めている注目店舗だ。基本メニューは『醤油らー麺』(670円~)と『塩らー麺』(670円~)。魚介系をベースにし、動物系と椎茸の香りを感じさせるスープに、喜多方系のラーメンを彷彿とさせる自家製の縮れ麺がハイレベルな一杯。具材は細めのメンマ、脂身と赤みのバランスが程よいチャーシューが基本。トッピングの味玉もほろほろで絶品。清湯のトレンド中でも1番といっても過言ではないくらい完成度は高い。限定メニューも積極的に展開しており、訪れるたびに楽しみがある。

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テキスト メンチャック
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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