志奈そば 田なか
2013年08月27日 (火) 掲載
激戦区から郊外まで、今日も種々のラーメン店がしのぎを削っているが、一説には毎年全国で3500もの店舗が新規出店をしているというこの世界、名店リストに加えられるようなニューフェイスを見つけるのは想像以上に難しい。そこでタイムアウト編集部とラーメンハンターは今回、2013年の夏までに都内で新規開店したラーメン店のなかから、自信をもっておすすめできる10店をピックアップした。煮干しラーメン、家系からヘルシーな無化調ラーメンまで、新たな出会いを求めて足を運んでみてはいかがだろうか。
2013年1月オープン。メニューは鶏ベースのスープに昆布や鰹のダシを合わせた『追い鰹中華そば』(750円〜)と、鶏ガラや丸鶏をふんだんに使った『鶏そば』(750円〜)。『追い鰹中華そば』は鰹の香りが強い醤油ベースのスープが特徴で、『鶏そば』は鶏のエキスが詰まったスープの香りと油が特徴でコクのある一杯に仕上がっている。麺は平打ちのストレートの細麺でほどよい歯ごたえで、どちらのスープとも相性ばっちり。特に鶏チャーシューの柔らかさは特筆すべきもので、ラーメン全体のハイレベルな完成度に貢献している。夏限定メニューの『冷やし煮干そば』(830円)も好評。
2013年3月開店の銀座路地裏のラーメン店。小料理屋と見間違えるような外観、カウンター8席の店には連日行列が並ぶ。人気メニューは濃厚でとろみがある鶏スープを使った『鶏白湯SOBA』(850円)。麺は中太ストレート。具材も独特で、鶏チャーシュー、アスパラガス、ヤングコーン、青ネギがのる。スープは濃厚な仕上がりだが、鶏の旨味だけが凝縮されて、口当たりはとてもマイルド、麺と具材とのバランスも絶妙になっている。薬味のフライドオニオン、生姜をいれると味の変化を楽しめる。鶏スープを提供する店としては類を見ない独創性を誇る同店、この行列も納得だ。
第二京浜沿いの赤い看板が目印のラーメン店。横浜家系の名店『寿々喜家』から独立し、2013年3月にオープンした本格的な家系ラーメンの店だ。メニューはシンプルで『ラーメン並』(650円)、『中』(750円)、『大』(850円)の3種中心。家系の伝統スタイルである、豚骨醤油スープに鶏油、そしてほうれん草、チャーシュー、味玉がのる組み合わせ。名店のDNAを受け継いでいるだけありスープが絶品で、豚骨と醤油のバランスが抜群、濃くなりすぎず少し甘みがある仕上がり。麺は中太ストレート麺で、具材との相性も抜群な全くブレのない美味しさ。家系の中でもハイレベルな一杯だ。
新橋駅前の繁華街の路地裏にあるラーメン店。ビルの間の細い路地を奥に進むとあらわれるのは、綺麗な店内に10のカウンター席。一押しは『烏賊干し鶏白湯醤油そば』(780円)、煮干スープに鶏と烏賊の旨味を凝縮させたトリプルスープが特徴だ。一口啜れば、煮干、烏賊の魚介系の旨味が一気に口の中に広がり、圧倒される(食べ進めれば、そこに鶏の旨味も加わる)。麺は食感のいい中太ストレート麺。具材は下味のついた鶏チャーシュー、するめ、刻みネギ、三つ葉、コリコリメンマ、海苔などがのる。非常にバランスのとれた一杯だ。
2013年4月にオープンした『絢』は、あっさり系の無化調ラーメンでは都内屈指のレベルのラーメン店。店が掲げる「体にも心にも優しい幸せの一杯」のコンセプト通り、丸鶏をベースに、魚介系の真昆布や焼きあごを合わせてあるスープは、非常に淡麗で、上品な味わい。栃木の佐野ラーメンに影響を受けたという麺は、店内で手打ち製麺し、2段熟成している。平打ちの縮れ麺で、多加水のぷるっとした口当たりがスープとともに優しい味わいを演出している。メニューは『醤油ラーメン』(650円)の他に、『塩ラーメン』(650円)があるが、それぞれ麺を使い分けている。
中野の外れ、住宅街にあるラーメン店。「あなたの食べている豚骨は本当の豚骨ですか?」という店頭の煽り文句通り、提供するのは本格的な博多豚骨ラーメンだ。定番メニューは豚骨旨みを限界まで絞り出した『怒豚骨』(700円)。スープの見た目は茶色の豚骨スープで、濃度高めでポタージュの様なドロドロ感があるが、油分は少なく、旨みだけが伝わってくる。細麺の麺もよく絡みつく。チャーシュー1枚、ゴマ、ネギとシンプルな構成。とにかくスープの旨みが口に広がる、癖になる味だ。替え玉の注文もできるが、店の一押しは濃度高いスープにご飯を混ぜた雑炊で食べるスタイル。
イタリアン出身の店主が営む、2013年4月オープンのラーメン店。動物系のガラスープを一切使わない、魚介類だけのスープで仕上げた一杯を提供しており、綺麗な店内は女性客も入りやすい。おすすめは『鯵ニボそば』(750円)。鯵煮干で出汁をとったスープに、昆布の成分でつけたトロミが上層部にのった変わり種のスープが特徴的。柔らかい細麺に、チャーシュー1枚、刻まれたネギやシソ、その上に三つ葉と柚子、山クラゲなどがのる、上品な組み合わせ。一口目からエグさのない甘めの魚介系の風味が広がり、他に類を見ない様な優しい和の味となっている。ラーメンを越えた、創作料理を楽しめる新店だ。
2013年6月、濃厚つけそばで有名な『BASSOドリルマン』のセカンドブランドとして登場したこの店では、王道ながらも他とは一線を画すハイレベルな中華そばを味わえる。鶏の出汁の旨みがよく効いた醤油ベースのスープは、繊細で上品な味わいで、なめらかな口当たりの自家製の中細麺と相性抜群。トッピングはチャーシュー、ネギ、メンマ、のりとシンプルだが、それぞれが名脇役を演じている。奇をてらわず直球で勝負する極上の一杯だ。メニューは看板メニューの『中華そば』(750円)の他に、煮干が効いた『煮干そば』(750円)や、極太か極細のメンマを選べる『めんまそば』(850円)がある。
バーの様な銀色のメタル調の外観が目印の新店。店名に中華そばとあるが、提供しているのは超高濃度の豚骨ラーメンだ。博多系の白濁系の豚骨ではなく、濃い茶色で粘度の高いスープが特徴的で、想像以上に濃い。麺は細麺のため、このスープにしっかり絡む。具材は、チャーシュー,青ネギ、メンマ、海苔に、ナルトがのっている。濃厚なラーメンが好きな人にはたまらないくらい、濃厚さを味わえる一杯となっている。元々は長野を元とする店舗で、博多系の豚骨の流れとは全く違うスタイルになっている。メニューは「中華そば」(700円)、「特製中華そば」(900円)、ドロドロ系豚骨のつけ麺「ぶたつけそば」(850円)など。
新宿の人気店『五ノ神製作所』の姉妹店として2013年7月に開店。何と言っても特徴的なのは、オマール海老と伊勢海老の旨味を凝縮した、どろどろと濃厚でパンチのあるスープ。海老好きな人は、一度食べたら病み付きになること間違いないだろう。卓上に置いてあるカレースパイスを入れると、シーフードカレー風味に味が変化し、1杯で2度美味しさを楽しめる。メニューは『海老リッチらーめん』(750円)の他に、トマトソースとローストされたトマトが見事に海老スープとマッチした『海老トマトラーメン』(850円)や、濃縮海老ダレをガッツリ混ぜる『海老油そば』(750円)がある。
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