浅草橋、ご近所ガイド

下町、花街、問屋街、クラフトタウンならではの食べ歩きと買い物ガイド

浅草橋、ご近所ガイド

柳橋より浅草橋を臨む

浅草と比べると見どころが少なく、いまひとつ認知度の低い街、浅草橋。歴史的に見れば、神田川から大川(隅田川)をのぼって、吉原へと繰り出すための船遊びの要となる船宿、料亭、そして辰巳と並んで気っ風の良さで知られる柳橋芸者を抱える花街として、かつてはにぎわいを見せたエリアだ。現在ではところどころに点在する小さな料理屋に往時の面影が残る程度になってしまったが、人形問屋や繊維問屋、アクセサリーパーツやクラフト用の皮革などを扱う小さな店などが軒を連ねる、小さいけれど人情味のある界隈となっている。ここでは、下町で美味しい食べ歩きをするなら外せない店と、せっかくこの街を訪れるなら立ち寄ってみたいヴェニューを15軒紹介する。


粋筋に好まれる手土産を買うなら

逸品会

政財界や演劇界などにファンが多い『逸品会』は、趣味よく、味よく、品のいい手土産が見つかる名店。掛紙や挨拶文など、TPOに合わせた心遣いなど細やかな気配りをしてくれる。上方の菓子とはまた違う上品さが特徴的で、誰に贈っても喜ばれる。つぶあんと生クリームを合わせた『生どら』や、ひきわり納豆にネギと芥子が香る『納豆あられ』といった変わり種も揃うが、ふたを開けると色とりどりのチップスが吹き寄せのようにあしらわれて目に華やか、味をさまざま楽しめる『宴の華』がおすすめ。

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梅花亭

柳橋のたもとにある小さな和菓子店『梅花亭』では、ひとくちサイズの小さな『子福餅』や、鮮やかな青エンドウの餡をたっぷり詰めた『三笠山』など、誰からも好まれる上品な菓子が揃う。他に、店名に掲げる梅花をかたどった『梅最中』はつぶ餡、こし餡、白餡の3種展開で、見た目もかわいらしく、春先のご進物に最適。

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柳ばし 小松屋

柳橋のたもとに店を構える小松屋は船宿も営む老舗だが、江戸前の佃煮専門店としての顔も持つ。冬期限定の『牡蠣の佃煮』や『生のり佃煮』などは、酒のアテに最高の逸品。通年販売する『糸切昆布』や『一と口あなご』など、下町好みの味が揃う。ご進物用の詰め合わせにも対応しており、ちょっとした手土産に喜ばれる。

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鮒佐

浅草橋駅から歩いてすぐ、江戸通り沿いに店を構える『鮒佐』は、その創業をさかのぼること1862年(文久2年)という歴史ある佃煮専門店。真っ黒といっていい程しっかりと煮染めた佃煮は、ごぼう、あさり、昆布、小はぜ(期間限定)など6〜7種ほどが揃う。中でもごぼうは酒のアテにちょうどいいだけでなく、細かく刻んでご飯に混ぜたり、ワサビとともにお茶漬けにすると絶品。下町好みのさっぱり辛口の味わいは、ちょっとした手土産にも喜ばれる。

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浅草橋グルメを満喫するなら

百万石

花街柳橋の空気を味わいたくなったら、是非『百万石』へ。小料理屋然とした作りの店で、坪庭を囲んで茶室や座敷なども備えた店内は風情たっぷり。とんかつ専門店として愛されるこの店では、『ロースかつ』や有頭海老をロース肉で包んで揚げる『海老かつ』などの揚げ物が充実。口数少なく昔気質の店主と常に笑顔を絶やさずきびきび接客する女将も魅力の店だ。

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ブラッスリー・ジョンティ

アルザス料理とワインにこだわる『ブラッスリー・ジョンティ』では、『シュークルート』やアルザス風パスタの『スパツェッレ』、『タルト・フランベ』といった郷土料理とアルザスワインをカジュアルに楽しめる浅草橋随一のビストロ。おしゃれすぎない店内の雰囲気と、程よい距離感と適切なアドバイスを常に欠かさないスタッフのサービスも、まさにアルザスにあるビストロのようで妙に居心地がいい。現地さながらのポーションで提供される『シュークルート』は、肉々しい骨太な料理を好む人にはぜひすすめたい一皿。

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水新菜館

浅草橋駅近くでひときわ目を引く、赤い看板が目印の中国料理店。街で愛される昔ながらの中国料理店といった店で、たっぷりの野菜が入る『広東麺』やボリュームたっぷりの『あんかけ焼きそば』を求めて、昼時ともなれば行列が絶えない。気さくに話しかけてくる店主も魅力の店。黒酢を効かせたイベリコ豚の酢豚など、紹興酒やワインと合わせたくなる料理も豊富な夜もおすすめだ。

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洋食大吉

浅草橋駅から歩いて5分ほどのところにある『洋食大吉』は、池波正太郎の食エッセイにも登場する、花街柳橋にある洋食店。ギンガムチェックのビニール製テーブルクロスがぴかぴか光る店内は、洋食屋というより下町の食堂といった雰囲気だが、具沢山の『ナポリタン』をはじめ、分厚く切った岩中豚を使った『トンテキ』などボリュームたっぷりの洋食メニューが充実。

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西口やきとん

浅草橋界隈で、もつ焼きで一杯やりたくなったらここへ向かおう。串はすべて100円、定番人気の『塩煮込み』と『こつ皿(皿なんこつ)』は200円という庶民派値段。串にさしたフランスパンを炭火であぶって供するのもユニークで、煮込みのスープや焼きとんの肉汁をぬぐってパクつけるというのもいい。1,500円もあれば十分に満足できるはず。

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よし田

B級グルメもいいが、一品料理をつまみながらゆっくり飲みたいという人には、ふぐと鰻の専門店『よし田』を勧めたい。鰻は蒲焼き、白焼きだけでなく、たたきや塩焼きで楽しめるのがユニーク。焼いた鰻を自家製の味噌に漬けた『よ多漬』は、ここでしか食べられない逸品で、手土産に最適。小上がりで熱燗でもやりながら、自家製ポン酢で食べる『おでんちり』をつまみながら、鰻が焼き上がるのを待つのもいいだろう。

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クラフトタウン、浅草橋を満喫するなら

貴和製作所 浅草橋別館

ビーズやアクセサリーパーツで知られる貴和製作所の別館は、スワロフスキー社より推奨店としての認可を受けているパーツ専門店。クリスタルの品揃えが充実しているほか、店内1階には、アクセサリー制作の講習会を定期的に開催する「制作室コジカ」を備えており、さまざまな講師を招いてのワークショップを開催している。

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Gallery T

ガラスビーズで有名なトーホービーズが2012年10月にオープンしたギャラリー。半吹き抜けとなっている1階は展示スペース、2階はワークショップスペースとなっている。ビーズを使ったアートワークの講習会、ビーズを編み込むリリアンの講習会などを不定期で開催する。

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金田油店

浅草橋にある『金田油店』は、食用油を中心に手作り石けん用の油なども取り扱っている油専門店。ココナッツオイルやパームオイル、アーモンドオイルなど石けん作りに欠かせないオイルや、純正ホホバ油やシアバターといったコスメ向けオイルも扱う。また、オリジナルブレンドのサラダ油やえごま油、ヘーゼルナッツ油をはじめとする食用油の品揃えと品質もすばらしい。

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今夜のおかずを買うのなら

鳥豊

大正元年創業の鶏肉専門店『鳥豊』は国産地鶏や合鴨などの精肉を扱うが、総菜や店頭の焼き台で香ばしく焼き上げる焼き鳥もおすすめ。卵焼きや鳥そぼろなど、おかずに最適な一品も充実。なお、侮れないのが『キーマカレー』で、程よい辛さとスパイスの具合がご飯に合う。家の近所にあってほしいと願いたくなるような店。なお、焼き鳥の販売は夕方から。

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忘れちゃいけない

柳橋

神田川が隅田川へと流入する河口にかかる柳橋は緑の鉄橋が目を引く優美なデザインで、ひとつ川上にかかる浅草橋との間に神田川沿いに今もなお船宿を数軒残しており、橋のたもとや川沿いで風にそよぐ柳の木も風情を見せる。大川(隅田川)での船遊びや、辰巳と並ぶ気っ風の良さで知られた柳橋芸者を抱える江戸随一の花街として栄えたが、今ではごく一部にその面影を残すにとどめている。

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By タイムアウト東京編集部
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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