9.11 新宿・原発やめろデモ!!!!

9月11日にデモを企画している反核デモ主催者『素人の乱』と語る

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9.11 新宿・原発やめろデモ!!!!

Protestors march through Shinjuku on June 11

3月11日の大地震と津波から6カ月を迎える9月11日(日)は、いつもよりも街が騒がしくなるらしい。15時11分(3.11)に、『素人の乱』率いるデモ隊が、パンクバンドやDJや“ドカドカうるさすぎるマーチングバンド!!!!!”らを引き連れて新宿アルタ前を出発するという。杉並区を拠点に活動するこの集団『素人の乱』は、4月10日に高円寺で発生した1万5000人規模に膨れ上がった反核デモ を主宰するなど、過去の重要なデモ活動を組織している。


もちろん彼らだけが運動を起こすと思ったら大間違いだ。この日は、平和活動家のBe-In Tokyoや環境活動家のEnergy Shift、そしてもっと政治的な活動を展開しているピープルズ・プラン研究所などが、都内のさまざまな場所でデモを行う予定だという。6月11日に行われたデモでは、マーチを始めようと新宿アルタ前に集まったものの、他のデモ隊が新宿周辺にいた為、警察によって数時間のうちに解散させられてしまったという痛い結果を今回は反映したという。


「僕らは、他のデモに関わった人たちと実際に会ってみて、今度は一緒にやってみた方が良いのではないかと思ったんです」と振り返るのは、素人の乱のメンバーである樋口。新宿のカフェ『Lavandería』で9月5日に開催された素人の乱のプレス会議の席だった。「だけど、みんなそれぞれが好きなデモのスタイルというものもある。かけ声をかけるやり方が好きな人もいれば、ただ行進するだけの人たちもいる。プラカードにまっとうな主張を書いて掲げて歩くのが好きな人もいる。新しい人たちにどんどんパレードに入ってもらうやり方の人もいる。他にも、大音量でサウンドトラックを流して歩く人たちも…」。


「だから、みんなでデモを一緒にやろうと思ったら、最後は喧嘩をして終わるだけなのではと」。


2003年に行われた反イラク戦争や、2008年の反G8の抗議活動などを行ってきたベテランの樋口によると、そのときにも同じような問題が起こっていたという。6月11日のデモのときに、個別に活動をしていたデモ団体がスタジオアルタの外で仲良くなってもっとやりやすい答えを見つけたのだが、とにかく協力しあって活動するほうが、異なるデモ団体だったとしてももっといい結果を出せることは容易に感じられたようだ。


別々に活動しようがそうでなかろうが、この6ヶ月の間、抗議活動家たちは大きく進歩してきたという。当時の首相だった菅直人が静岡県の浜岡原発を停止するよう要請したことは、そのすぐ後、5月6日に渋谷で予定されていた素人の乱のデモパレードに対する先手だったと、樋口は主張する。日本中に点在するその他の多くの原子力発電所も、定期検査の後には、使用されていない状態にあるという。現在は54基ある原発のうち、たった11基しか稼働していないことになるそうだ。そして、この流れが続いたとしたら、来年の5月までには全ての原子力発電所が停止することになるだろう、と。


しかし、管の代わりに首相となった野田佳彦は、前任者の管がとってきた反原子力のスタンスからはすぐに距離を置いた。早速、彼は就任してから最初の1週間で、「現在の日本経済を守る為には、原子力エネルギーは必須である」と発表した。


「管の次に誰が首相になっても、原子力は必要だという立場をとるのは避け難いことだった」と、過去5年間に様々な抗議活動家について書いているライターの雨宮処凛(www3.tokai.or.jp/amamiya/)はこう語った。「たとえ新しい首相が、管の言う“原子力への依存度を減らす”というポリシーを引き継ぐといっても、実際には原子力発電所を再起動させようと計画している。状況はさらに悪くなっている」と。この見方は、プレス発表に参加した他の参加者もみな賛同していた。


「どうして原子炉を停止させることを皆そこまで怖がっているのか、私には分からない」と語るのは、素人の乱のメンバーの1人であり、“たまご”というニックネームで呼ばれていた人物。「原子炉は明らかに危険なものだからだ。安全な原子炉があれば良いのかもしれないけど、実際には…」。


ここでひとつ、管が辞めたときの謎がある。辞めた時点での彼の支持率は20%を下回っていたにも関わらず、彼の“反原子力”という立場に対する支持は高いままだったということ。そしてそれは、もうひとつの謎へとつながっていく。もしも本当に70%以上の国民が原子力を廃止したいのだとしたら、どうして数十万人の人たちが反原子力のデモに参加しないのだろうか?どうして実際には沢山の人が集まったお台場・フジテレビでの反韓流デモのようにはならないのだろうか?


「今、社会は崩壊し始めているんです。沢山のものが入り込んできているのに、吐き出し口がないんです」と樋口はとつぜん哲学的な話を始める。「原子力発電所の事故や放射能の放出があったのだから、人々は反核デモに参加するべきなのですが、むしろそうではなく、フジテレビ抗議デモのような活動に参加してしまう。それは論理的な行動ではないのですが、それが実際に起こっていることなんです」。


素人の乱による過去のデモに3回参加した松本るきつら(twitter.com/#!/luquitwora)によると、「フジテレビのデモは、反核デモのパロディーみたいなものだった。まるで半分冗談まじりのように感じた」という。しかしながら、もちろん彼らのデモをもっと真剣に捉えている人たちもいる。


“たまご”は「素人の乱のデモに参加した人たちは、政府に対して怒りを覚えていたり、政府の放射能や今の現状のやり方に怒りを覚えているんです」と語る。「だけどフジテレビで行われたデモの人々は、まるでフジテレビの前に集まれば救われるかのように、ほとんど宗教に近い気持ちでそこに集まっていました。もちろん怒ってもいました。しかし、それがなんなのか、分かっていない者もいたと思います」。


この過去数年の間、日本中で抗議運動が増加しているという。特に若い人たちの間で。ただ、彼らが主張したいこととは違ってきていることもあるという。「僕が北海道に帰ったとき、僕は親友の1人に対して自分がどれだけ強く核の問題について考えているか説明しました」と語る。しかしその親友は、「今は反原子力のデモに参加しているときではない」と答えたという。「フジテレビのデモの方がずっと重要」だと。


もしも、納得いかない人たちがここにいたとしたら、日曜の午後にどこに行けば良いのか、もう分かっているだろう。


9.11 新宿・原発やめろデモ!!!!! は、9月11日(日)15時11分、新宿アルタ前をスタートする予定

By ジェイムズ・ハッドフィールド
翻訳 西村大助
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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