2012年12月17日 (月) 掲載
ホッピー通り、または煮込み通りという名を聞いたことはある人は、きっと大衆酒場好きか浅草好きのどちらかに違いない。浅草の浅草寺境内西側、場外馬券場近くにある全長70〜80メートルにも満たない通りだが、店前にせり出すように置かれるテーブル席で開放的かつリーズナブルに酒を楽しめる店が軒を連ねている。これらの店がここ数年浅草を訪れる若い世代や外国人観光客らの目を引きはじめ、いつしか「ホッピー通り」の愛称で親しまれるようになった。かつては、競馬新聞片手に日も高いうちから酒を飲むというような客が主流だったが、今では平日週末問わず、競馬客と観光客、子連れの家族客などが入り交じって楽しそうに酒を酌み交わす姿が目につく。ここでは、短い通りにひしめき合う居酒屋の中から、煮込みのタイプ別におすすめできる店を5軒紹介する。
浅草の場外馬券場はす向かいに店を構える『正ちゃん』は、ホッピー通りに面してはいないものの、この界隈ではベストと言い切っても過言ではない店。甘辛い江戸っ子好みの味付けの『牛煮込み』は、とろとろの牛すじ、味のしみたコンニャク、じんわりと甘いタマネギに豆腐というシンプルな具材だが、こっくりとした味わいがたまらない。持ち帰りにして、赤ワインのお供にも最適。
ホッピー通りの端に位置する『たぬき』は、さっぱりした醤油味の『牛すじ煮込み』が人気。ていねいに下ゆでした牛すじは、ねちっとした触感が特徴だ。牛すじの大きさに合わせて小角に切ったコンニャクとともに頬張ると、触感の違いが楽しめる。脂が少なめでさらりとした口当たりの煮込みで、さっぱり味を好む人にはおすすめ。『たまごかけごはん』とともに味わうのもたまらない。
ホッピー通りなかほどに位置する『浩司』は、テレビで紹介されることも多い人気店。客のほとんどが必ず注文する『煮込み』は、醤油ベースのこっくり味。ねっちりした牛すじと、コンニャク、やわらかく煮込んだ端肉の触感が絶妙のバランス。
浅草の人気もんじゃ焼き店『つくし』が営む『もつくし』は、ホッピー通りの中では比較的新顔。同店の人気メニューは、醤油味の『牛すじ』、塩味の『牛もつ』、味噌味の『豚もつ』3種を少しずつ楽しめる『煮込み3品盛り』(950円)。さっぱり味からピリ辛、部位ごとの触感の違いなどあれこれ食べ比べられるのがうれしい。
煮込み通り中ほどにある『鈴芳』は、煮込みと焼き鳥が人気の店。味噌味の『和風牛もつ煮』は、ニンニクの香りが効いた味噌べースのスープで牛モツをやわらかく煮込んでおり、ふんわりとろとろの触感が味わえる。ピリ辛味の『牛すじ煮』もおすすめ。
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