2012年06月15日 (金) 掲載
“洋食”を提供するレストランは、カジュアルなものから敷居が高いものまで、様々な種類のものが東京の街にも溢れている。だが、その店だけの“オリジナルメニュー”を扱っている店となると、その数はそう多くはない。ここでは、創意工夫を重ねた一皿を提供している東京の洋食レストランのユニークなメニューを紹介する。
大阪に本店がある老舗洋食店、ネスパ 東京店のオリジナルメニューが、『コロペット』。この愛嬌がある名前をもつ名物は、ネスパの創業者が考案したもの。メニューは、海老、牛肉、豚肉、鶏肉の4種類があり、それぞれ大ぶりな具をエバミルクを使用した濃厚なホワイトソースでくるみ、そして揚げたもの。外はサクッと、中はしっとり、そして具はずっしりとした、3拍子揃ったメニューだ。
築地市場内に店を構える、とんかつ八千代。店名に“とんかつ”とあるが、専門店ではない。車海老、あじ、帆立などのフライなども人気が高いメニューだ。こちらで味わえるのが、火・木・土曜限定で並ぶ『チャーシューエッグ定食』だ。この、分厚く噛めばホロっと崩れるチャーシューを煮込むのに時間がかかるため、曜日限定のメニューとなっている。1200円という値段は割高に感じるかもしれないが、極厚チャーシュー3枚、目玉焼きが2つ、ご飯、味噌汁、お新香、それぞれ相当なボリュームなので、満足いくだろう。
西洋のカツレツを起源にもつ、とんカツ。そんな、とんカツが名物の代官山・ぽん太。だが、味わうべきはとんカツだけではない。『メンチボール』もそのなかのひとつ。こちらのとんカツは、低温でじっくりと揚げるのだが、この『メンチボール』も同じように調理されている。一見するとあっさりとした色味だが、以外なほどにサクっとした食感。中にはふんわりとした豚挽き肉がたっぷりと詰まっている。ソースは、しょう油を使用した和風仕立て。あっさり、さっぱりとしているが、味わい深い一品だ。2800円とやや高めではあるが、一度、味わう価値はある。
銀座3丁目の老舗洋食店、煉瓦亭。100年以上も続く老舗中の老舗であるため、名物メニューは多い。だが、とくに注目したいのが、ふんわりと焼き上げられた『元祖オムライス』。このオムライス、よくあるチキンライスを卵で包んだものではない。豚挽き肉、グリンピース、玉ねぎ、マッシュルームなどの具、そしてライスを卵と合わせ、さっと焼き上げられたもの。そのため、調理したてのものを温かいまま、すぐに提供することができる。老舗がほこる定番メニューだ。
人形町・小春軒も100年続く老舗。今でもお昼時などは人が溢れる人気店だ。財布にも優しいコロッケから、ヒレカツ、エビフライなどの豪華なものまで、洋食メニューは一通り揃う。そして、他店にはないメニューが『洋風カツ丼』。もちろん、東京で一般的な、卵でとじたカツ丼ではない。蓋をあけると、ニンジン、玉ねぎ、ジャガイモなどのカラフルな煮物が見える。その下には目玉焼き、そしてご飯の上には、小ぶりなロースカツ。甘く仕上げられた洋風ソースと野菜、そして脂身のないカツのあっさりとした味わいを楽しんでほしい。
広尾一丁目の交差点近くにある、勝新太郎が愛した店、コニシ。こちらのオリジナルメニューは、なかでも一風変わった名前の『クラブクロメスキー』。カニクリームコロッケに近いもので、かわった点といえば、中にベーコンが入っているというところだろう。ふんわりとした優しい食感と、コクのあるホワイトソースの相性がよく、上品でバランスのよい仕上がりとなっている。日によってはメニューにないので、その場合は名物のハンバーグを注文するのもいいだろう。
フレンチをベースに、和・洋・中、様々なアレンジを加えた創作メニューを提供している、おまかせ亭。こちらの名物は、人気メニューのオムレツライスに和風の餡をかけた、和風オムレツライス。しょう油と出汁をきかせた餡がたっぷりとかかっており、バターの風味と、柔らかでとろっとした卵の食感、和風の味わいが一体となったメニューだ。オムレツを作ってライスの上にのせ、それを割ってオムライスにすることから、オムレツライス、という名前になっている。サラダ、デザートがセットで1050円。
麻布十番駅の近くにある、洋食屋 大越。無数の洋食メニューがある中、その独自の存在感を放っているのが『みかライス』だ。これは、ライスの上、半分にカレー、そしてもう半分にミートソースがかかったもの。カレーは、家庭で味わうような懐かしさのあるオーソドックスな味わいで、やや甘めな仕上がり。対してミートソースは、ドミグラスソースのようなコクがあり、非常に味わい深い。洋食のコントラストを味わうことができる、満足いく一品。
恵比寿南交差点近くにある洋食屋、チャモロ。ここで味わうべきは、やわらかい厚切りの牛タンがどーんとのった『牛タンオムライス』だ。バターが香るオムライスと、ホロッと崩れる牛タン、そしてたっぷりとかけられたデミグラスソース。これにサラダと味噌汁がついて1500円。
明治創業、100年以上も続く老舗洋食店、松榮亭。こちらで出されるオリジナルメニューが、文豪・夏目漱石も味わったといわれる看板メニュー『洋風かきあげ』だ。半月状のこの“かきあげ”、小麦粉と卵で作られたもので、つなぎには自家製ラードも使用、中には、コロっとした豚肉と玉ネギが入っている。歴史をかんじさせる名物ではあるが、その味わいも一昔前のもの、といったところだろうか。
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