2010年、東京がオペラで華やぐ

初心者でも楽しめるオペラを特集

2010年、東京がオペラで華やぐ

METライブビューイング2009-2010『アイーダ』

2010年は、東京でのオペラ上演がとても多い。しかし、オペラは難しそうだし、長くて退屈してしまうかも……などと“食わず嫌い”をしていないだろうか。新年には今まで体験していないことにチャレンジしたい、と思ったなら、オペラを観に劇場へと足を運んでみるといい。東京では、1年間に新国立劇場をはじめとして、さまざまなオペラが上演されている。海外から歌劇場(オペラハウス)ごと来日することも多い。オペラには恋をテーマにしたものが多く、愛の成就、嫉妬や絶望などを歌い手が巧みに表現するのも見どころのひとつ。特に日本で数多く上演されるビゼー「カルメン」やプッチーニ「トスカ」、ヴェルディ「椿姫」などは、聞き覚えのある名アリア(旋律的な独唱歌)がちりばめられていて、飽きることがない。生の公演ではないが、ニューヨークメトロポリタン歌劇場の最新シーズン・オペラをスクリーンで鑑賞できる「METライブビューイング」もおすすめだ。低価格なのもうれしいが、普段観られない舞台転換などの様子も興味深い。オペラの公演は、1回ごとに歌手、合唱、オーケストラや舞台スタッフを含めると300から500人もの人がかかわっているのだとか。まさに、手間ひまをかけたぜいたくな総合芸術だ。それでは早速、今すぐ観られるものから来年の予定までをチェックしよう。

新国立劇場オペラ2009/2010シーズン

プッチーニ「トスカ」
2009年12月2日(水)から13日(日)まで

数々の名アリアが登場する、イタリアオペラの醍醐味的な作品。1800年、ナポレオン軍が迫り、政情不安に揺れるローマを舞台に、美しく情熱的な歌姫トスカと画家カヴァラドッシの悲恋を描いたオペラだ。今回この「トスカ」を歌うのは欧米で活躍している実力派の歌手たち。トスカを演じるイアーノ・タマーは、ウィーン国立歌劇場などでイタリアオペラを中心に歌い、今、もっとも旬な歌手のひとり。リリコ・スピント(叙情的だが緊張感のある強い声)の美声を聴かせてくれる。

時間:12月2日、11日は18時30分から、5日、8日、13日は14時00分から
会場:新国立劇場オペラパレス
住所:東京都渋谷区本町1-1-1
電話:03-5351-3011(代表)
料金:S席2万3100円、A席1万8900円、B席7350円、D席4200円、Z席1500円
予約、問合せ:ボックスオフィス 03-5352-9999
ウェブ:www.atre.jp/09tosca/

2010年の公演日程
新国立オペラ・バレエ「ニューイヤーオペラパレス ガラ」
2010年1月5日(火)、6日(水)

ワーグナー 楽劇「ニーベルングの指輪」第2日「ジークフリート」
2010年2月11日(木・祝)から23日(火)まで

ワーグナー 楽劇「ニーベルングの指輪」第3日「神々の黄昏」
2010年3月18日(木)から30日(火)まで

新国立劇場オペラ研修所公演ファルススタッフ
2010年3月11日(木)から14日(日)

ドニゼッティ「愛の妙薬」
2010年4月15日(木)から25日(日)まで

R.シュトラウス「影のない女」
2010年5月20日(木)から6月1日(火)まで

ビゼー「カルメン」
2010年6月10日(木)から20日(日)まで

池辺晋一郎「鹿鳴館」
2010年6月24日(木)から27日(日)まで

ウェブ:www.nntt.jac.go.jp/opera/

アレーナ・ディ・ヴェローナ&プラシド・ドミンゴ in TOKYO 2010

イタリア・ヴェローナにあるアレーナ円形劇場は、紀元1世紀前半、アウグストゥス帝の治世末期からクラウディウス帝政期にかけて建設された。1913年、試験的に行われたオペラ公演が成功を収めてから、世界的に有名な野外劇場となった。今回、このアレーナ・ディ・ヴェローナを東京で再現する。東京公演では、この円形劇場でのデビューから40年、また世界三大テノールとしても知られるプラシド・ドミンゴがタクトを振る。豪華で大がかりな公演はたったの2日間。マエストロ・ドミンゴがどのようなオペラを観客に見せてくれるのか楽しみだ。

「ガラ・ドミンゴ」
2010年2月13日(土)

時間:17時00分から
会場:東京国際フォーラム ホールA
電話:03-5221-9000(代表)
指揮:ピエール・ジョルジオ・モランディ
演奏:アレーナ・ディ・ヴェローナ
料金:S席5万2500円、A席4万2000円、B席3万1500円、C席2万1000円
プログラム:
第1幕 ヴェルディ『オテッロ』
オテッロ:プラシド・ドミンゴ
デスデーモナ:ラッファエッラ・アンジェレッティ
第2幕 アルファーノ「シラノ・ド・ベルジュラック」
シラノ:プラシド・ドミンゴ
ロクサーヌ:イサベル・カバトゥ
第3幕 ビゼー『カルメン』
ドン・ホセ:プラシド・ドミンゴ
カルメン:ジェラルディーヌ・ショベ

ヴェルディ「アイーダ」
2009年2月14日(日)

時間:15時00分から
会場:東京国際フォーラム ホールA
指揮:プラシド・ドミンゴ ※オペラ出演なし
料金:S席4万7250円、A席3万6750円、B席2万6250円、C席1万5750円
予約&問合せ:キョードー東京 03-3498-9999
ウェブ:www.arenadomingo-tokyo2010.com/

東京二期会オペラ劇場公演 2009-2010シーズン

ヴェルディ『オテロ』
2010年2月17日(水)から21日(日)まで

東京二期会2009-2010シーズンは「オテロ」で幕を開ける。このオペラの原作は、シェイクスピアの戯曲だ。舞台はヴェネツィア共和国キプロス島。キプロス総督のムーア人オテロの愛と嫉妬、そして、部下イアーゴの妬みが絡み合い物語が進行する。オテロはテノールの中でも表現力を必要とするドラマティック・テノール(太く重い声)で、ごく限られた最高のテノールにしか歌うことができないと言われている難役。“オテロ歌い”とも呼ばれる。今回、オテロを演じるのは、日本を代表するオペラ歌手の福井敬と成田勝美。円熟味を増し、ますます磨きがかかったどちらの美声を聴くかがいちばん迷うところだ。

時間:2月17、18日は18時30分、20、21日は14時00分
会場:東京文化会館 大ホール
電話:東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650
指揮:ロベルト・リッツィ=ブリニョーリ
演出:白井晃 管弦楽:東京都交響楽団
料金:S席1万6000円、A席1万3000円、B席1万0000円、C席8,000円、D席6,000円、E席2,000円、学生2,000円
予約、問合せ:二期会チケットセンター 03-3796-4710(10時00分から18時00分まで、土は15時00分まで、日祝休)
ウェブ:www.nikikai.net/

レニングラード国立歌劇場オペラ -ミハイロフスキー劇場-

プッチーニ『トスカ』
2009年12月8日(火)、9日(水)

チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』
2009年12月10日(木)、11日(金)

ロシアの芸術文化の中心地サンクトペテルブルグ(旧レニングラード)で170年以上の歴史を誇るレニングラード国立歌劇場。日本でも重厚で美しいロシアン・サウンドのファンは多い。特に『エフゲニー・オネーギン』は、1820年頃のペテルスブルクを舞台にしている。つまりは“ご当地オペラ”ともいえる作品だ。彼らの得意分野をどのように表現するのかも見どころのひとつ。

時間:18時30分から
会場:Bunkamura オーチャードホール
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
電話:03-3477-9111(代表)
料金:S席1万8000円、A席1万5000円、B席1万2000円、C席9000円、D席7000円、E席5000円
予約&問合せ:光藍社 03-3943-9999(平日10時00分から18時00まで)
ウェブ:www.koransha.com/opera/led_opera2009/

ベルガモ・ドニゼッティ劇場

ドニゼッティ『愛の妙薬』
2010年1月9日(土)、11日(月・祝)

ヴェルディ 『椿姫』
2010年1月8日(金)、13日(水)

北イタリアの名門、ベルガモ・ドニゼッティ劇場。ミラノ・スカラ座に並ぶ歴史を誇る。なんとナポレオンも訪れたことがあるとか。前回の初来日から3年振りの来日を果たす。今回の演目は「愛の妙薬」と「椿姫」。どちらも人気の高いオペラだ。『愛の妙薬』で主役アディーナを演じるは、ウィーン国立歌劇場やパリ・オペラ座などからのオファーがひっきりなしに入るデジレ・ランカトーレ。また、「椿姫」のヴォレッタ役には、ベルカント・ソプラノとして完璧なテクニックと歌唱力に定評のあるマリエッラ・デヴィーア。人気歌手が顔を揃えた豪華なオペラになりそうだ。

時間:『愛の妙薬』2009年1月9日17時00分から、11日15時00分から
『椿姫』18時30分から
会場:東京文化会館 大ホール
電話:東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650
料金:S席2万9000円、A席2万4000円、B席1万9000円、C席1万4000円、D席1万0000円、学生7000円
2演目セット券S席5万3000円、A席4万4000円
問合せ:コンサート・ドアーズ 03-5217-6333
ウェブ:www.konzerthausjapan.com/performance02/

METライブビューイング2009-2010

126年の歴史を誇る、ニューヨークメトロポリタン歌劇場で上演されるオペラを日本にいながらにして、楽しむことができる『METライブビューイング』の2009-2010シーズンが始まった。これは全世界900ヶ所以上の映画館で上映され、欧米では現地と同時中継される。普段は見ることができない舞台装置の転換や幕間での歌手へのインタビューも見どころだ。第1作から9作まであり(第1作は終了)、オペラの名作揃い。どれを観ても外れがないはずだ。1作品3,500円で楽しめるのもうれしい。

第2作 ヴェルディ『アイーダ』
2009年11月28日(土)から12月4日(金)まで
上映時間:3時間31分(休憩2回)
※MET上演日2009年10月24日

第3作 プッチーニ『トゥーランドット』
2010年1月16日(土)から1月22日(金)まで
上映時間:2時間56分(休憩2回)
12月31日に歌舞伎座(東京・銀座)にて大晦日プレミア上映(チケット完売)
※ MET上演日 2009年11月7日

第4作 オッフェンバック『ホフマン物語』 新演出
2010年1月23日(土)から1月29日(金)まで
上映時間:3時間37分(休憩2回)
※MET上演日2009年12月19日

第5作 R.シュトラウス『ばらの騎士』
2010年1月30日(土)から2月5日(金)まで
上映時間:4時間20分(休憩2回)
※MET上演日2010年1月9日

第6作 ビゼー『カルメン』 新演出
2010年2月6日(土)から2月12日(金)まで
上映時間:3時間34分(休憩2回)
※MET上演日2010年1月16日

第7作 ヴェルディ『シモン・ボッカネグラ』
2010年2月27日(土)から3月5日(金)まで
上映時間:3時間15分(休憩2回)
※MET上演日2010年2月6日

第8作 アンブロワーズ・トマ『ハムレット』 新演出
2010年4月10日(土)から4月16日(金)まで
上映時間:3時間18分(休憩1回)
※MET上演日2010年3月27日

第9作 ロッシーニ『アルミーダ』MET初演
2010年5月22日(土)から5月28日(金)まで
上映時間:上映時間3時間54分(休憩2回)
※MET上演日2010年5月1日

上映場所、時間:東劇19時00分から(『ばらの騎士』『アルミーダ』のみ18時40分から)、新宿ピカデリー10時00分から、MOVIX昭島10時30分から、109シネマズ川崎11時00分から
※全作1日1回上映
料金:1作品につき3500円(特別鑑賞券3枚セット9000円)
ウェブ:www.shochiku.co.jp/met/

テキスト 寺田愛
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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