ショパン生誕200周年を祝う

200年色あせない音楽の神髄を究める14の方法

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ショパン生誕200周年を祝う

『新ヤマハ銀座ビル ヤマハホール』

“ピアノの詩人”と言えば、クラシック音楽に精通していなくとも名前を挙げることができるであろう、ポーランドの天才音楽家『フレデリック・ショパン』のことだ。『英雄ポロネーズ』や『幻想即興曲』『小犬のワルツ』『雨だれ』『革命』『別れの曲』などは、映画やコマーシャルなど、さまざまな場面で使われており、馴染み深い曲に違いない。2010年は、そのショパンの生誕200年にあたる。ショパンの生年月日には諸説あるが、1810年2月22日か、3月1日に生を受けたと言われ、今年はこの近辺を中心に、ショパン関連のイベントやコンサートが各地で開催されている。ショパン国際ピアノコンクールに入賞し『ショパニスト』と称されるピアニスト達はもちろん、2009年、日本人で初めてヴァンクライバーン国際ピアノコンクールで優勝し、一躍時の人となった辻井伸行も、演目の中にショパンを取り入れる機会が増えている。名演奏家によるショパンの旋律を生で聴ける、またとないチャンス。繊細で、斬新、気品高いショパンの音楽にどっぷりと浸かり、200年近く色あせない音楽に身をゆだねよう。

東京の新名所、新ヤマハ銀座ビルで聴く『中村紘子ピアノ・リサイタル』

日本人で初めて、ショパン国際ピアノコンクールに入賞した『中村紘子』が、デビュー50周年と、ショパン生誕200周年を記念してピアノ・リサイタルを開催する。場所は、2010年2月26日にオープンする『新ヤマハ銀座ビル』内にある『ヤマハホール』だ。新ヤマハ銀座ビルは、旧ヤマハ銀座ビル跡地に新たに建築されたもので、楽器や楽譜などの国内最大級の販売スペースや、スタジオ、サロン、音楽教室スペースを設けた、ヤマハの旗艦店だ。ヤマハホールはアコースティックな音響を追求し、豊かな残響性能に加えて、ピアニッシモでも楽器の持つ音が際立つ最新の音響設計で、音の魅力や響きの多様性を存分に体感できる。この新たなホールで中村が披露するのは、ソナタ、マズルカ、ポロネーズ、スケルツォと多岐に渡る。東京の新名所で、日本を代表するピアニストによる、ショパンの調べは必聴だ。

中村紘子ピアノ・リサイタル
~デビュー50周年&ショパン生誕200周年記念スペシャル~
日時:2010年3月5日(金) 開場:18時30分 開演:19時00分
料金:6000円(全席指定)
ウェブ:www.yamaha.co.jp/about/yamahaginza/hall/

会場:新ヤマハ銀座ビル ヤマハホール
住所:東京都中央区銀座7-9-14
オープン日:2010年2月26日(金)
時間:10時30分から20時00分まで
休日:年末年始、点検日を除く年中無休
ウェブ:www.yamaha.co.jp/about/yamahaginza/main.html

ブーニンが幻のピアノを演奏、完全限定招待イベント『永遠のショパン』

ショパンの誕生日と言われている3月1日に開催されるサロン・コンサート。演奏者は、1985年のショパン国際ピアノコンクールで優勝した『スタニスラフ・ブーニン』と、14歳の国際的ピアニスト『小林愛実』で、ショパンが愛したプレイエルという大変貴重な名器を演奏する。プレイエル社は、フランスのピアノ製造会社で、ショパンはその音色を、「銀の鈴を鳴らしたような、やわらかな音色だ」と表現している。現在では年間にわずか20台程度しか製造されない。そのピアノをブーニンが弾くとなれば興味をそそられるが、このサロン・コンサートに参加できるのは、わずか12組24名。応募は2010年2月22日(月)まで受け付けているので、挑戦する価値はある。演奏曲目は『小犬のワルツ』『ノクターン』などを予定。音楽ジャーナリスト『伊熊よし子』によるトークショーも予定されている。ショパンに関する知識を増やす、またとないチャンスだ。

永遠のショパン
~ショパン生誕200年記念サロン・コンサート~
日時:2010年3月1日(月) 開場:13時30分 開演:14時00分
ウェブ:www.emimusic.jp/classic/chopin/news/?rssno=10

会場:松尾ホール
住所:東京都千代田区有楽町1-5-1
時間:10時00分から21時00分まで(月曜から金曜まで)
   10時00分から19時00分まで(土曜、日曜、祝日)
ウェブ:www.musicaljapan.ne.jp/hall/

ショパンの名曲をジャズアレンジで『オープニング・コンサート』

2月24日は、1818年にワルシャワで、わずか8歳のショパンが初めて公開演奏を行った日と言われている。その記念すべき日に、ショパンゆかりの地であるポーランドとフランス両国の大使館が、ショパン生誕200年記念オープニング・コンサートを行う。この日は、2010年に日本で行われる、ショパン関連の公演情報を紹介するとともに、ポーランドとフランスから招聘したピアニストによる演奏が行われる。ポーランドのジャズ・ミュージシャン『レシェック・モジジェル』は、ショパンのマズルカや前奏曲、夜想曲、練習曲をジャスにアレンジして演奏予定。『パトリック・ジグマノフスキー』は、フランス在住のピアニスト『池田珠代』とデュオ演奏を行い、ショパンの恋人『ジョルジュ・サンド』の書簡の朗読を交えた、趣のあるステージを披露する。

ショパン生誕200年記念オープニング・コンサートin Japan
日時:2010年2月24日(水) 開場:17時30分 開演:18時30分
料金:4000円(全席指定)
チケット取扱い:紀尾井ホールチケットセンター
電話:03-3237-0061(10時00分から18時00分まで/日・祝日休み)
ウェブ:www.kioi-hall.or.jp/calendar/concert_h.html

会場:紀尾井ホール
住所:東京都千代田区紀尾井町6-5
電話:03-5276-4500
ウェブ:www.kioi-hall.or.jp/

一流の演奏を低料金で『ショパンの宇宙』

今年で6回目を迎えるクラシック音楽祭『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン』。ゴールデンウィーク期間中、東京国際フォーラムを中心に、丸の内エリア全体がコンサートホールになる。今年のテーマは『ショパンの宇宙』に決定。詳細はまだ発表されていないが、約70万人が集まる見込み。毎年、目玉コンサートのチケットはあっという間に完売となるため、今から情報公開まで、まめにチェックしておきたい。有料公演プログラム、出演アーティストなどの記者発表は、2月23日(火)、チケット一般発売開始は4月初旬の予定。

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭2010
日時:2010年4月28日(水)から5月4日(火・祝日)まで
会場:東京国際フォーラム全館(5月2日から5月4日まで)
   丸の内周辺エリア(4月28日から5月4日まで)
有料公演:約170公演
関連イベント:約130公演
ウェブ:www.lfj.jp/lfj_2010/

フジコ・ヘミングによるショパン『東京芸術劇場』

帰宅時のラッシュアワーを避け、コンサートで癒しのひと時を過ごしてもらうことを目的に開催がスタートした『心のリフレッシュ・コンサート』。第4回の出演者は、数奇なピアニスト人生を送り、注目を集めている『イングリット・フジコ・ヘミング』。彼女のライフワークである動物愛護チャリティ・コンサートだが、今回はショパン生誕200年記念も兼ねて行う予定で、演奏曲目にショパンがリストアップされている。

ショパン生誕200年記念
東京芸術劇場 心のリフレッシュ・コンサート 第4回公演
イングリット・フジコ・ヘミング 動物愛護チャリティ・コンサート

日時:2010年6月3日(木) 開場18時00分 開演:18時30分
会場:東京芸術劇場 大ホール
料金:S席:6000円、A席:4000円、B席:2000円
   ※全席指定 チケット3月25日(木)発売

銀座のシャネルでショパンに酔う『シャネル・ピグマリオン・デイズ』

ピグマリオンとは、才能を信じ、支援して、開花させる人という意味。シャネルの創始者であるガブリエル・シャネルは、無名時代のピカソやストラヴィンスキー、ジャン・コクトー、ルキノ・ヴィスコンティなどのピグマリオンだったことで知られている。そのピグマリオン精神に基づき、シャネル・ブランドでは、現在も若手アーティストを支援しており、東京・銀座にあるシャネル・ネクサス・ホールでは、若手アーティストに演奏する機会を与えている。2010年、シャネルが支援している若手音楽家は6名。その内のひとり、ピアニストの『永野光太郎』が、2010年4月3日、全曲ショパンのコンサートを開く。シャネルが支援するピアニストによる、ショパンの演奏と聞くと、期待は高まる。ピグマリオン・デイズは無料だが抽選制。4月公演の応募は、3月5日に締め切られるので、早めにウェブサイトを確認してほしい。

シャネル・ピグマリオン・デイズ・クラシックコンサート『永野光太郎』
日時:2010年4月3日(土) 開演13時30分から14時30分まで
会場:シャネル銀座ビルディング ネクサス・ホール
電話:ネクサス・ホール・事務局 03-3779-4001
   月曜から金曜まで/13時00分から20時00分まで受付
   土曜日/12時00分から18時00分まで受付
   日曜・祝祭日は休み
ウェブ:www.chanel-ginza.com/nexushall/pygmalion/

辻井伸行が奏でるショパン『スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団』

2009年、ヴァンクライバーン国際ピアノコンクールで、日本人初の優勝を果たした『辻井伸行』が、スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団と競演する。演目はショパンの『ピアノ協奏曲第1番ホ短調op.11』。巨匠・スワロフスキー指揮による辻井の演奏は一見一聴の価値がある。しかし、残念ながらチケットはすでに完売。辻井のチケットは現在、手に入りにくいため、まめにウェブサイトをチェックし、今後の情報を入手してほしい。

スロヴァキア・フィルハーモニー管弦楽団
ピアノ:辻井伸行
日時:2010年6月15日(火) 開場:18時30分 開演:19時00分
会場:東京芸術劇場 大ホール

辻井伸行公式ウェブサイト
www.nobupiano1988.com/

フレンチや中華を味わいながらショパンを聴く『恵比寿ロビンズ・クラブ』

フレンチとチャイニーズを味わえるダイニングで、2010年2月21日(日)から3月1日(月)まで、ショパン生誕200年記念ショパンウィークが開催される。ランチ、ディナーの時間帯に、ピアニストによるショパンのピアノ演奏が無料で提供される。またショパンの生誕日3月1日は、スペシャル・コンサートが開催され、ショパンが好んだ料理『旬の白身魚の白ワイン蒸し ポンファム風に仕上げて』などが提供される。

ショパンウィーク
会期:2010年2月21日(日)から3月1日(月)まで
   但し、2月25日(木)、28日(日)のランディ・ディナータイム及び、
   2月27日(土)のランチタイムを除く

ショパン生誕200年記念コンサート
日時:2010年3月1日(月)
   第1部:12時00分から
   第2部:13時00分から

恵比寿ロビンズ・クラブ
住所:東京都目黒区中目黒1-1-29
電話:03-5704-7000
時間:11時30分から15時00分まで(ランチ)
   18時00分から23時00分まで(ディナー)
ウェブ:www.robbins.co.jp/yebisu/

ショパンの生涯と作品に迫る『ショパン生誕200年展』

民音音楽博物館・2階企画展示室で開催中の企画展。ショパンが愛用したものと同型のプレイエル・ピアノや、直筆の楽譜(複製・初公開)などを展示するほか、ショパンと同時代に生きた、関わりの深かった人にも光をあて、ショパンの人物像に迫っている。

2010年企画展 ショパン生誕200年展
会期:2010年7月1日(日)まで
会場:民音音楽博物館・2階企画展示室
住所:東京都新宿区信濃町8
電話:03-5362-3555
休日:毎週月曜(月曜日が祝日の場合は、翌日が休館日)
料金:無料
ウェブ:museum.min-on.or.jp/top.html

ショパンを深く知りたいなら『ショパンの秘密』

朝日カルチャーセンターで開催される、ショパンの講演。講師は音楽評論家であり、ピアニストの『下田幸二』。ショパンの楽譜に残されている緻密な書法を紐解き、ショパンの弾き手は、どのような点に注意すればいいのか、聴き手はどのように味わえばより深くショパンを理解できるのか、ショパンの秘密に迫る。

ショパンの秘密
生誕200年のショパン 弾く上、聴く上で知っておきたいこと

日時:2010年3月22日(月) 13時30分から15時00分まで
料金:2940円(会員)
   3570円(一般)
会場:朝日カルチャーセンター新宿
住所:東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル4階(受付)
電話:03-3344-1941
ウェブ:www.asahiculture-shinjuku.com/

若き才能に出会う『日本ショパンピアノコンクール2010』

2010年、ワルシャワで行われるショパン国際ピアノコンクールに準拠した曲目で開催されるコンクール。ワルシャワで評価される人材の発掘・育成が目的で行われている。予選、本選とも公開されており、本選はオーケストラとのコンチェルトで競われる。

第一次予選:2010年3月24日(水)午前10時開演
第二次予選:2010年3月27日(土)午前10時開演
本選:2010年3月29日(月)17時開演
料金:予選:(各日)一般1500円、学生1000円
   本選:一般2500円、学生2000円
問い合わせ:日本ショパン協会 03-3379-2803
ウェブ:chopin-society-japan.com/ivent/10/03.24-29/competition2010.html

会場:洗足学園音楽大学・短期大学 溝の口キャンパス
   洗足学園前田ホール
住所:神奈川県川崎市高津区久本2-3-1
ウェブ:www.senzoku.ac.jp/music/

ショパニスト宮谷理香が贈る『オールショパン・スペシャル・リサイタル』

1995年、ショパン国際ピアノコンクール第5位入賞を果たした宮谷理香によるリサイタル。開催場所は、浅草にある下町ワインレストラン『トライアール』。店内には金の装飾が施された白いグランドピアノがあり、定期的にサロン・コンサートなどが行われている。

宮谷理香ショパンコンクール入賞15周年スペシャルリサイタル
日時:2010年5月12日(水) 開場:18時00分 開演18時30分     ディナー19時30分から21時30分
料金:1万7000円(料理、ソフトドリンク、コンサート、税込み)
会場:トライアール
住所:東京都墨田区吾妻橋2-3-7
電話:03-3622-1139
ウェブ:www.tri-r.jp/

本場へ行きたくなったら『ショパンデスク』へ

最高級の旅を提案するJTBロイヤルロード銀座に『ショパンデスク』が開設されている。2010年はショパンの生誕地ポーランドでも、さまざまな記念イベントや音楽祭が開催されるため、チケットの手配やコンサルティングなど行ってくれる。これからの注目は、2010年8月1日から31日まで、丸1ヶ月行われる『ショパンと彼のヨーロッパ国際音楽祭』と、2010年10月2日から23日に開催される『ショパン国際ピアノ・コンクール』だ。東京で存分にショパンを堪能したら、本場へと向かうことも一考する価値がある。

JTBロイヤルロード銀座 ショパンデスク
住所:東京都中央区銀座6-6-7 東京朝日ビルディング2階
電話:03-3572-5890
時間:10時00分から18時00分まで(月曜から金曜日まで)
休日:土曜、日曜、祝日、振替休日
ウェブ:www.royalroad.jp/index.asp

ショパン生誕200年記念紙幣登場『ポーランド国立銀行』

ポーランド国立銀行では、ショパン生誕200年を記念して、2010年2月22日(月)から、20ズウォティ記念紙幣を発行する。ショパン・ファンは、見逃せない。

ウェブ:www.nbp.pl/homen.aspx?f=/srodeken.htm

テキスト 基太村京子
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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