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2010年10月20日 (水) 掲載
人の一生とは、脇役のときもあれば、主役のときもある。華やかなスポットライトが当たらないときでも、違う角度から見れば、さまざまな喜びに満ちあふれていたりするものだ。そんな“脇役”を代表するといっては失礼かもしれないが、日本映画・演劇界が誇る名脇役の益岡徹が、デビュー30周年にして初の長編映画での主演をつとめたのが映画『脇役物語』だ。永作博美、津川雅彦、松坂慶子ら豪華共演陣とともに、人と人のつながりが希薄な現代社会において、自分の役割を見失ってしまいがちな現代人に贈る、ロマンスあり笑いありの人生讃歌だ。
バツイチで万年脇役俳優のヒロシは、仕事も私生活も脇役キャラ。街を歩けば店員や警備員、果ては誘拐犯に間違われる始末。家では有名劇作家の父親から半人前扱いされている。ある日、そんなヒロシのもとに思いがけないチャンスが到来する。それはウディ・アレンの映画の日本版リメイクに主役で出演するという、夢のような話だった。ところが、ひょんなことから今度は大物議員の妻の不倫相手と間違われ、映画の話は泡と消える。落ち込むヒロシに、今度は新人女優とのロマンスが……。ヒロシの人生にスポットライトが当たる日はやってくるのだろうか。
原案・脚本・製作・監督をつとめたのは、これまでビデオアーティスト、俳優、脚本家として米国やヨーロッパを拠点に活動してきた緒方篤。本作ではよく人違いされる自身の経験を“脇役俳優の人生”という、ありそうでなかった題材に昇華させ、欧米仕込みの軽快なテンポで描き出した。前作短編映画『不老長寿』は、ニューヨークの近代美術館MoMAとリンカーン・センター共催の映画祭『ニューディレクターズ・ニューフィルムズ2007』で、日本から唯一入選。そのほか世界各国の映画賞を受賞し、多方面から長編映画デビューを待ち望まれていた。その才能の本格デビューを待ち望んでいたのは日本映画界だけではない。なんと、今作の出資は多国籍で9カ国。というのも監督はハーバード大学を卒業後、日本の富士通に入社、その後MITの大学院で勉強し、映画監督になった。少し変わった経歴をもつ、彼の海外経験の多さも興味深い。
公開:2010年10月23日(土)
監督・原案・脚本・製作:緒方篤
キャスト:益岡徹、永作博美、津川雅彦、松坂慶子、柄本明、前田愛ほか
配給:東京テアトル
ウェブ:wakiyakuthemovie.com/
フランスの実家に帰省したオドレイは、医者である母親とのぎこちない関係を避けるため、亡くなった祖父の家に住むことに。そこで長年隠されていたある一冊の日記をみつける。それは50年前に突然姿を消した祖母ルイーズのものだった。その日記をもとに、封印されていた謎が次第に解き明かされていく。3世代に渡って、それぞれの時代に生きる女性たちを見つめたヒューマンドラマ。
公開:2010年10月23日(土)
監督・脚色・脚本:ジュリー・ロープ=キュルヴァルキャスト
キャスト:カトリーヌ・ドヌーヴ、マリナ・ハンズ、マリ=ジョゼ・クローズ、ミシェル・デュショーソワ、ジャン・フィリップ・エコフェ、キャロル・フランク、ジェラール・ワトキンスほか
配給:アルシネテラン
ウェブ:www.alcine-terran.com/diary/
新聞社への就職を希望するエリンは、ニューヨークの新聞社の研修に参加する。その夜、バーで出会ったギャレットと意気投合し、2人はつきあい始めるが、6週間の研修を終えたエリンはサンフランシスコへ戻らなくてはならなかった。そして地元紙での内定が出たため、2人は遠距離恋愛の関係になるのだが……。現代の恋愛事情を描いたロマンティック・コメディ。西海岸と東海岸の遠距離恋愛に翻弄されるのは、実際の恋人だったというドリュー・バリモアとジャスティン・ロング。
日本公開:2010年10月23日(土)
監督:ナネット・バースタイン
キャスト:ドリュー・バリモア、ジャスティン・ロングほか
配給:ワーナー・ブラザース映画
ウェブ:www.enren.jp/
1974年に初版を発行して以来、ベストセラー絵本として人気の『ねずみくんのチョッキ』『りんごがたべたいねずみくん』をはじめ、『ぴょーん』『しりとり』など、ポプラ社の人気絵本5作品を最先端3D映像化した作品。昨今の3Dアニメというと、鮮やかな色味に少しめまぐるしい展開を思い浮かべるが、この映画は3Dでありながら、原作のもつ素朴さを活かした画風と、ゆったりとした口調で、子どもはもちろん大人まで観る者をニッコリさせる。
日本公開:2010年10月23日(土)
読み聞かせ:堀江美都子
配給:ローソンエンターメディア
ウェブ:www.ehon3d.jp/
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