2010年08月31日 (火) 掲載
前回、前々回と、東京の“こだわり”かき氷を紹介してきた。どの店舗もこだわりに満ちた強豪ぞろいだったが、それ故に、価格が比較的高めであったり、人気のあまり長時間行列に並んだりしなければならない、というハードルがあった。だが、毎日でも氷を食べたい、そんな“氷好き”にとっては、いささか高すぎるハードルだ。
そこで、今回はワンコイン、つまり500円以内で食べられるかき氷を集めた。また、曜日を選べば行列も避ける事ができ、のんびり食べられる店舗ばかり。繁華街から距離があるところが多いが、もし自宅や職場などから近い店があれば、ぜひ立ち寄ってみてほしい。人には教えたくない、そんな店舗ばかりである。お彼岸や9月末で氷を終了する場合もあるので、確認の上、来店したい。
入口には「氷」と書かれた大きなのれん。外観はもちろん、店内も昭和にタイムスリップしたかのような懐かしい雰囲気で、年季の入った椅子とテーブルが並ぶ。もちろんエアコンはない。壁にかけられた手書きメニューも味がある。涼しげなガラスの器に盛られた氷はキンキンに冷えているが、量は多くないので、食べ進めても寒くはならず、ちょうどよく体が冷える。
かき氷のほか、いそべ巻(180円)、おぞう煮(180円)、クリームあんみつ(250円)等、各種軽食や甘味も手頃な価格で提供している。
こちらの店舗は蜂蜜専門店。冬期にはハチミツ焼、夏期に氷を提供している。かき氷は、店頭で販売している蜂蜜を使ったシロップを使用。古い機械でかかれた雪のようなサラサラ氷と、濃厚なシロップがマッチ。ハチミツと夏みかんの柔らかい甘酸っぱさがクセになる。シロップがトロリとしているので、混ぜながら食べよう。器も食器もプラスチックだが、氷のクオリティは高い。
『蜂蜜の専門店 花めぐみ 三軒茶屋本店』の詳しい情報はこちら
どらやきで有名な、人気の和菓子屋。夏には店内の小さな喫茶スペースでかき氷が楽しめる。ここは、かき氷自体もリーズナブルだが、何よりもトッピングが手頃なのがうれしい。抹茶、ミルクのトッピングはそれぞれ30円、そして白玉は1個10円。予算や腹具合に合わせてトッピングを楽しみたい。ガラスの小振りな器にほどよく盛られた氷は、手作りの甘酸っぱいいちごシロップが下に沈んでおり、上に載せた濃厚なミルクと良く合う。ほどよい量のシロップに、ほどよいボリュームの氷。エアコンもないので、体が冷えすぎることもない。
和菓子を求める客がひっきりなしに訪れており、喫茶室も比較的混んでいるので、休日は避けた方が無難。
池上本門寺近くの甘味処。休日は比較的混んでいるが、長時間並ぶ程ではない。丁寧に作られた氷は空気を含んでふんわりと盛られており、見た目も素晴らしい。まんべんなくかけられた甘さ控えめのあんずシロップは、サラッとしたミルクと相性抜群。口に入れた途端スッと溶け、くどさがない。シンプルな味なのに奥が深い。ひとえに店主の腕だろう。いつまでも食べていたくなってしまう、そんなかき氷だ。
都立松原高校そばの軽食屋。エアコンはない。高校の近くには生徒が気軽に立ち寄れるリーズナブルな飲食店があるものだが、こちらの店舗はまさにその類い。『ニグロ』とは、ミルク金時にミカンとあんずをトッピングした、いわゆる“全部入り”。メニュー名は、当時通っていたラグビー部の生徒のあだ名から。彼がこのトッピングを毎度指定していたためだそう。
氷はフワッとしつつもサクサクとした食感が残り、甘酸っぱく大きなあんずとミカンが清涼感を誘う。あずきも入っているので食べ甲斐もある。歌手の渡辺美里も松原高校の生徒で、当時はここの常連だった。ちなみに彼女のお気に入りはカルピスあんず(300円)。ファンも時折訪れるという。氷は9月いっぱいまで。
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