©都築響一
2013年09月11日 (水) 掲載
海外から、はるばる東京を訪れたゲストを迎えるにあたり、日本人ならば限られたその滞在期間の中で、この街の魅力を存分に伝えたいものだ。定番の浅草や原宿を観光した後、この広い都市のどこに向かえばいいのか。よりディープなこの国の文化に触れてもらうならば答えは明白、行き先は新宿しかないだろう。今回は「テンプラ」「カラオケ」「クールジャパン」といった定番から、日本人の我々も知っていて損はない穴場まで、5つのスポットを紹介する。
※本企画を同時展開しているISETAN PARK net版も同時公開中。
東京都庁近く、壁面に巨大な赤い亀が描かれた、ド派手な黄色いビルをご存知だろうか。その土地で創業50年以上を数える、作業着や事務服、安全用品などを販売する専門店だ。2フロアある店内は決して広いとは言えないが、所狭しと商品が並び、在庫品も含めると実に10万点の商品は常時取り揃えられていると言う。ニッカーボッカーズや地下足袋など定番商品は、さまざまな色や柄を品揃え、ハイファッションのランウェイにでも登場しそうな、鮮やかなショッキングピンクやミントグリーンカラーのヘルメット、ハローキティのつなぎ、欧米男性用にデザインされたという超特大ニッカーボッカーズなど、実にバラエティ豊かにアイテムを展開している。単なる作業着、作業用品として捉えればそれまでだが、商品を一点一点を見ると機能性、そしてデザイン性にも優れ、日常に取り入れられるファッションアイテムであることがわかる。目から鱗の掘り出し物に出会えるはずだ。
天ぷらが高くなければいけない理由などあるのだろうか。新宿にそびえる現代的なビル郡の中で生き残った古びた木造の建物を見ると、戦後初期へタイムスリップしたかのような感覚に陥る。店は朝から晩まで、周辺で働く人はもとより、ここ「つな八」の総本店の味を求めに客足が途絶える事は無い。創業以来、ごま油を使用しているという天ぷらは、あっさりとしていて香ばしく、暴食しない限りは食後の胃もたれを心配することもないはずだ。おすすめは平日限定の『天丼』。大きな海老が2本、小海老のかき揚げ、肉厚な穴子、野菜の天ぷらがのった盛りだくさんの丼。この内容で1,995円という、良心的な価格設定もこの店の魅力のひとつだ。
紀伊国屋書店新宿本店の隣、ビルの3階にあるショップ。ディスク・ユニオンとブックコーディネーターの内沼晋太郎がコラボレートし、「本のある生活」をコンセプトにセレクトしたアイテムが取り揃えられている。店内は、木製の本棚や陳列棚、フローリングで統一され、木のぬくもりを感じる、居心地の良い空間になっている。ディスク・ユニオンが運営する店だけあり、書籍は音楽と関連のあるカルチャー中心にセレクトしたものが中心。新旧さまざまに、小説、エッセイ、写真集、雑誌などを販売している。また、同店は読書にまつわるオリジナルのグッズを多数展開。ブックカバー、ブックマーカー、メンテナンス用品から本棚まで、細部にまでこだわったデザイン性の高いアイテムは、ギフトにしても喜ばれるだろう。
『BIBLIOPHILIC&bookunion 新宿』の詳しい情報はこちら
新宿マルイ本館裏手、ビルの4階にあるイタリア料理店。ディナーのみの営業だが、朝4時まで営業(日曜・祝日を除く)しているので重宝する。店内にはテーブル席の他、ゆったりとしたスペースを持つカウンター席も設けられており、1人でも利用しやすい。ワインは種類豊富に取り揃えており、ボトル/2,000円台~と価格設定も良心的。前菜はハムやチーズの盛り合わせをはじめ、大きめにカットされたじゃがいもと、厚切りのハムの上にチーズとポルチーニのエキスたっぷりの濃厚なソースがかかった『ポテトのグラタン、ポルチーニ茸風味』など、温前菜の種類も豊富。2、3品を注文し、シェアするのがいいだろう。〆には店の看板メニューともなっている、巨大なパルミジャーノ・レッジャーノの中で絡めて作る『チーズリゾット』を是非頼みたい。抜群の米の芯の残り具合に、チーズの香り、とろける舌触りがたまらない。満腹に食べて飲んで、1人4,000円程度(もちろん個人差はあるが)の支払いで済むのだから、新宿の穴場と呼ぶにふさわしい店だ。
歌舞伎町の区役所通り沿い、雑居ビルの5階にあるカラオケスナック。入り口を入ってまず目に飛び込んでくるのが、漫画家、プロレスラーのサイン。そして、壁を埋め尽くすイラストや絵画の数々、ずらりと並ぶギターのコレクションに圧倒される。この店の何よりの特徴は、マスターの生ギターとママの生サックス、この生演奏付きでカラオケが楽しめること。音楽好きによる、音楽好きのための名スナックだ。歌舞伎町で朝まで熱唱したくなったら迷わずここを勧めたい。
タイムアウト東京がリコメンドする、伊勢丹新宿店で今しかできないこと
この秋、10周年を迎え、リモデルされる伊勢丹新宿メンズ館。それに先立ち、パークシティイセタン5・2階に、メンズ・レディスのスポーツウェアとレディスゴルフウェアが展開される、イセタン スポーツ ゲートがオープンした。スポーツにまつわるアイテムはもちろん、スポーツシーンの前後のライフスタイルまで幅広く網羅し、商品をセレクト。タウンユースできるファッション性と機能性を兼ね備えた新しいスポーツのかたち、「タウンクルージング」の提案や、メンズだけでなく、レディストレッキングウェアの紹介もスタート。また、店内にはリゾートカジュアルをイメージしたカフェ『トリーツ・アンド・カンパニー』を併設。季節の野菜やフルーツを取り入れたフレッシュなメニューをはじめ、旬なアスリートや医学博士、ヨガのインストラクターなどによる、コラボレーションメニューも提供される予定だ。
『イセタン スポーツ ゲート』パークシティイセタン5・2階
※次回『新宿でしかできない101のこと Vol.6』は2013年9月11日(水)公開予定
【バックナンバー】
■新宿でしかできない101のことVol.1
■新宿でしかできない101のことVol.2
■新宿でしかできない101のことVol.3
■新宿でしかできない101のことVol.4
■新宿でしかできない101のことVol.5
■新宿でしかできない101のことVol.6
■新宿でしかできない101のことVol.7
■新宿でしかできない101のことVol.8
■新宿でしかできない101のことVol.9
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