東京、深夜の〆ラーメン15

西麻布、渋谷、池袋、浅草、吉祥寺、帰宅の前に禁断の一杯

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東京、深夜の〆ラーメン15選

づゅる麺 池田

酒席の後の、夜のラーメンはどうして美味しいんだろうか。アルコール分解のために血糖値が下がっているから、身体が塩分を求めるから、舌の感覚が麻痺して濃い味のものを食べたくなるから……どれも科学的には正解なのかもしれないが、「深夜営業の飲食店のなかで、ラーメン屋が最も幅が広く、美味いから」というシンプルな理由もあるだろう。深夜の食事が多少身体をいじめるとしても、否、だからこそ、食べる以上は美味しい一品で締めたいわけで。

たくさんの反響をいただいた『東京の定番ラーメン 20選』に続いて、今回は深夜営業のラーメン店を15店チョイスした。カロリーと快楽のバランスをとりながら、あなたの行動エリアの〆ラーメンを楽しんでいただきたい。幸い、深夜のラーメン摂取はいまのところ法律で禁じられていない。

西麻布 『かおたんラーメンえんとつ屋 南青山店』

西麻布交差点から歩いて3~4分、青山墓地の南端に位置する『かおたんラーメン』は、西麻布・六本木界隈で夜遊びした後の、禁断の“〆タン”スポットとして愛され続けている老舗ラーメン店。ここでは、まずニンニクの風味が効いた『味付けもやし』をビールで流し込み、『腸詰』を頼んでから『ラーメン』を注文するのがおすすめ。すっきり醤油ベースのスープに、細麺と香ばしい揚げネギが好相性。今にも潰れてしまいそうな、バラック小屋のような店そのものも、東京の文化遺産としての魅力がある。

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渋谷『凪 豚王』

渋谷を六本木通り沿いに上がり、青山学院裏手のOATHや青山蜂で遊ぶ人には馴染みのラーメン屋。濃厚豚骨スープが売りだけあって、足下が油でぬめっとしているのだが、そこはご愛嬌(床の滑りは最近は改善されたようだ)。黒油によるスープの色も濃厚さを物語る黒王、豚骨ラーメンの豚王などが美味い。ご飯党は明太ご飯と一緒にオーダーするといいだろう。

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恵比寿『AFURI』

恵比寿駅から徒歩5分ほど、渋谷川沿いにたつ人気ラーメン店が、このAFURI 阿夫利。ご飯どきでなくとも店外まで並んでおり、ラーメン店にしては女性客も多い。特徴のひとつは、さっぱりとした仕上がりの塩ラーメン。鶏ガラや魚介、昆布などでダシをとったスープは、さっぱりとした『淡麗』と、鶏油を加えた『まろ』の2種類から選べる。ゆずが香る『ゆず塩麺』は、そんな黄金色に輝くスープと極細の麺がよく合う。そして歯ごたえのある炙ったチャーシューが薄味のなかのアクセントに。

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新宿『どうとんぼり神座 新宿歌舞伎町店』

大阪道頓堀発、都内では3店舗展開しているラーメン屋。新宿歌舞伎町のど真ん中、前面ガラス張りの店構え。ラーメンの枠を越えるため、元ホテルシェフの店主が「違和感」をテーマに試行錯誤の末、完成させた一杯『おいしいラーメン』は、記憶に残る味だ。醤油ベースの甘めなスープ、麺は中太、その上にシャキシャキした白菜と柔らかな豚肉がのる。この白菜が神座独特の風味を出しているが、おすすめは途中からニンニクをいれること。この甘めの醤油とニンニクが非常に合う。この甘めのスープはすき焼きによく似ている。1度目は理解できない味、2回目はやみつき、3回目は中毒になると店内にも書かれているが、まさに中毒性の高い一杯。24時間年中無休で営業している。

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池袋『無敵家』

池袋駅東口明治通り沿いの超人気店。スープは背脂たっぷりの豚骨しょう油系で見た目以上に独特のクセがない、濃いめの味で非常に飲みやすい。そのスープに中太麺がほどよく絡み、食べ応えがある。卓上には高菜やニンニクの薬味トッピングが準備されているが、ニンニクとの相性は抜群。柔らかい食感のチャーシューも美味しい。メニューは一番人気の本丸麺(800円)、背脂少なめのマイルドな仕上がりのげんこつ麺(700円)、つけ麺メニューも充実。なんでいつもこんなに人がいるのかというほど、どの時間にいっても行列を作ってはいるものの、テキパキしたスタッフの対応もあってか、比較的回転は早い。営業時間4時までやっているので、〆の一杯を狙って、行列が緩和されてくる23時以降が狙い目。

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銀座『五行』【閉店】

有楽町駅、銀座駅からほど近い、ショップやレストランが入る銀座ベルビア館の7階にあるラーメン店。天井が高く、ラーメン店とは思えないゆったりとした雰囲気の店内では、黒いスープが特徴的な焦がし味噌麺や焦がし醤油麺などのほか、つけ麺やポテトサラダ、抹茶ブリュレなども楽しむことが出来る。

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赤坂『揚州商人 赤坂店』

赤坂見附駅より徒歩5分ほど、バリエーション豊富な中国ラーメンを提供している、中国ラーメンチェーンの赤坂店。都内を中心に多数店舗を展開している同チェーンだが、ラーメン通の人から見ても安定感のある味の一杯を届けてくれる、安心のお店。季節限定のメニューなども多く、豊富なメニューを提供してくれているが、おすすめはスタンダードな一杯である、スーラータンメン(910円)。程よい酸味と辛味が混じったスープがとても美味しい一杯。麺は細麺と刀削麺の2種類から選べる。その他の定番メニューに胡麻のコクが効いた担々麺(910円)など。深夜4時までやっており、飲みの後の2軒目としても、深夜の腹ごしらえにもぴったり。

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目黒『づゅる麺 池田』

JR目黒駅すぐ近くの権之助坂の下り右手に位置する、つけ麺をメインにした店舗。一見すると、流行りのつけ麺に近いが、特徴的である。つけ汁は魚介×鶏のWスープで、魚介が強くなりすぎず、非常にバランスのとれた美味しい味。そして、特に印象的なのは、手打ちの中太平打ち麺で、コシが強く、食べ応えがあり、その上にそっと置かれたカットレモンが酸味を効かせている。おすすめは美味しい味玉がのった、味玉つけ麺と、重量感のあるチャーシューが追加されるチャーシューつけ麺。その他にも、塩をベースとした塩つけ麺や通常のラーメンも提供してくれる。

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品川『ラーメン 鳳』

品川駅高輪口を出て、ロータリーの右側に出店している屋台の店。品川駅前で30年ものあいだ営業されているという老舗店で、味のある昔ながらの屋台の風貌で、周囲に香る鶏ガラスープの臭いが食欲をそそる。味は鶏ガラの味が出たスープと縮れ麺に、チャーシューと海苔がのった、古き良き醤油ラーメンといった感じで、シンプルに美味しい一杯。屋台ラーメンでもしっかりとした美味しさを出しており、屋台の域を超えている。このシンプルで優しい味は飲んだ後の一杯にぴったりで、飲んだ後の方がより美味しくいただける。メニューは『ラーメン』、『玉子麺』、『ワカメ麺』、『ニンニク麺』、『スタミナ麺』、『焼豚麺』と意外にも豊富。手間ひまかけて、長年のあいだ、ほぼ毎日届けられてきたこの味はしっかり後世にも伝えていきたい味。東京の隠れた名店。

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五反田『きみはん』

五反田駅よりすぐ、山手線の高架下に位置するお店。高架下は雑多なイメージがあるが、清潔感のある店内で、活気のあるスタッフが対応してくれる。人気ブランドである『つけめん TETSU』のセカンドブランドとして立ち上がった、煮干中華そばを提供してくれる。いわゆる中華そば的なルックスのスープは、ラードがかぶっているが、煮干の良い香りがし、味は鶏ガラの旨味にそれを上回る煮干の旨味が効いている。麺は中細縮れ麺で、重量感もあり、スープとよく絡みます。トータル的には非常にバランスの取れた味になっており、煮干も濃すぎることなく、美味しくいただける一杯。おすすめは特製中華そば。もちろん、TETSUブランドだけあって、魚介を効かせた、つけめんも絶品。チャーハン、ぎょうざ、わんたんなどのサイドメニューも充実。麺のお持ち帰りサービスも。深夜営業しているところも良い。

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御徒町『えぞ菊』

御徒町のJRのガード下にある、昭和の雰囲気を出した、朱色の看板が目を引く、お店。本店は高田馬場にある。昨今はラードののった濃い味の味噌ラーメンが人気だが、ここのスープは昔ながらの味噌ラーメンの様相で、クセのない味噌味を提供してくれる。麺は少し黄みがかった中太の縮れ麺で、何より目を引くのががっつりとのせられた野菜(モヤシ)とメンマ。テーブルには胡麻、ニンニク、唐辛子が置かれており、こちらで味の濃さを自由に調節できる。味はよくも悪くもスタンダードな味噌ラーメンで、懐かしさを感じる味。メニューは味噌ラーメン、味噌つけ麺、塩、醤油と味噌以外のラーメンも提供してくれている。深夜5時まで営業。

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浅草『美登里』

浅草千束通りから少し裏道の路地に入ったところにある、2010年オープンのお店。佐賀の有名店『精養軒』の味を継承しているという、東京では珍しい佐賀ラーメンの専門店。和風の看板がついた店構えが浅草の街にも溶け込んでいる。豚ゲンコツのみから取ったというスープは臭みがなく、豚骨の旨みのみ抽出されたような、マイルドで甘めだがコクのある味が印象的。この優しい味は昼間はもちろん、飲んだ後の胃にぴったりで〆の一杯としてぴったり。メインの一杯は味自慢ラーメン。夜の時間はおつまみ料理も充実している。おすすめは油揚げの味付けに佐賀の醤油を使用した、稲荷寿司。甘辛さがラーメンとも相性が良い一品。深夜3時まで営業。

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月島『月島ロック』

月島駅のすぐ近くにある、ショットバー風の内装のお洒落な店構えのラーメンバー。町田の有名店「69'N'ROLL ONE」の店主と旧知の間柄だった縁で生まれたお店。その「69'N'ROLL ONE」とのコラボである、軽い口当たりで醤油が香る正当派醤油ラーメンである月島ロック(850円)が人気メニュー。熱を閉じ込めた熱々のスープは優しいアプローチで、一口で旨みが広がる。するするといけてるが、存在感のある細麺も抜群に合う。その他の人気メニューはホタテや昆布だしを加えた6/8(ハチロク)(850円)などがある。こちらも魚介ダシの旨みを閉じ込めた、上品な一杯。深夜は1時まで。夜はバー営業をしており、お酒も提供している。この優しい味はお酒を楽しんだ後に、〆で注文するのにもばっちり。

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蒲田『らーめん潤』

新潟の酒麺亭『らーめん潤』の東京1号店としてオープンしたお店。スープはゲンコツをベースとした動物系に、煮干しを中心とした魚介系を加えた、すっと香りが入ってくる醤油味。毎日新潟から届けられるという自家製の太麺はモッチリとした、食べ応えがある。燕三条ラーメンの特徴でもある、たっぷりの背脂は甘みを引き出しており、5段階より選べ、お好みに寄って調節ができるようになっている。最多の"鬼油"を注文すると、表面が雪のように覆われる。おすすめは全部トッピングになるマル得ラーメン(1000円)で、メンマ、チャーシュー、煮玉子に加えて、スープとの相性抜群の岩のりがたっぷりとのる。その他のメニューに、中華そば(730円)、岩のりそば(950円)、みそらーめん(900円)など。営業時間も深夜2時(L.O.15分前)までやっており、終電後にも寄れるのも嬉しい。

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吉祥寺『洞くつ家』

吉祥寺公園口の駅近くにある、人気の家系ラーメン屋。横浜六角家の系譜にあり、鶏ガラ、豚骨を煮込んだ濃厚なスープ、ほうれん草と共に太麺のラーメンが登場する。かなり濃厚なので、はじめての方は注文の際脂少なめで注文してみるとよい。夜の来店の際は、キャベツとチャーシューを刻んで特製タレにつけこんだ『キャベチャー』をまず頼んで、ビールを啜りながらラーメンを待つのがオススメだ。

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企画協力・テキスト メンチャック
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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