2012年11月14日 (水) 掲載
「オーディエンスが増えれば競技者人口が増え、競技者人口が増えれば、競技全体のレベルは上がり、種目全体をとりまく状況は成熟する」。スポーツの世界の話でよく言われる話だが、これは芸能や外食産業にもあてはまる。さて、東京のラーメン店といえば、外食産業のなかでも最もポピュラーなジャンルであり、最も競争が激しい世界だ。博多系、横浜家系、二郎系……ファンの増加、嗜好の変化とともに味の系譜は多様性を増し、白濁したスープの奥底にはそれぞれの職人による文脈を跨いだ挑戦の成果、はたまた強者どもの夢が沈殿している。
そんな超激戦区・東京23区のラーメン店のなかで、定番といえるものは? タイムアウト東京編集部が年間200杯を食べ歩くラーメンハンターと協議した結果は以下の通りだ。もちろん、泣く泣く漏れた選もあれば、今後の定番というべき新潮流もある。読者の皆さんにも、TwitterやFacebookで定番セレクションを是非教えていただきたい。
東京を代表する、中華そばの傑作
東急池上線 荏原中延駅からすぐにある、15年以上営業している店舗。一番人気のある王道の一杯は、秋田比内地鶏の濃厚なコクと、煮干しの甘みが合わさった、東京を代表するような中華そばの傑作。あさっりとしているが、しっかりとコクがあり、本当に美味いの一言。
みそ汁感覚で毎日食べたくなるラーメン
東京メトロ 門前仲町駅から徒歩5分の店舗。オープンから10年以上が経っているにも関わらず、連日客足が絶えない。その理由は脂を使わない、魚介ダシの効いた、まろやかな味の一杯にある。みそ汁のような感覚で毎日食べたくなるラーメンを目指したというだけあり、品質や調味料にもこだわりをおき、栄養のことも考えられた優しい味に仕上がっている。
カウンター6席を狙う、タンメンファンの列
西荻窪駅南口を出て、路地を入ってすぐの場所にある、半世紀以上も営業を続けている老舗。古い民家の1階で、カウンター6席のみの小さい店舗。来店客に絶大の支持を受けているのはタンメン(700円)である。みずみずしさを保ったシャキシャキのキャベツ、もやし、ニンジンののった、塩味のラーメン。
「二郎系」の総本山
毎日多くの人がジローのラーメンを求めて三田駅に訪れるほどで、ここのラーメンは都内一の人気を誇るといっても過言ではないだろう。スープは油こってりの醤油ベース。麺は太麺でキャベツと豚の薄切りが入っている。1968年のオープン以来、三田本店で修業を積んだ従業員たちが30店もの姉妹店をオープンしているが、それらの全店が本店をベースにしたオリジナルレシピ。本店と同じ味の店はない。
都内随一のワンタン麺
『八雲』の魅力は何といっても、絶品のワンタンに尽きる。そのプリッとした食感のワンタンと黄金スープ、歯切れよい麺からなる至福の一杯は、都内随一のワンタン麺といっても過言ではない。おすすめは、『黒だし特製ワンタン麺』。
二毛作ラーメン店の先駆的存在
2000年にオープンした世田谷の有名店。二毛作営業の先駆けで、昼は『ひるがお』として塩ラーメンを、夜は『せたが屋』として煮干しを押し出した魚介系のダブルスープを味わえる。
創業60年、老舗の醤油スープ
渋谷・道玄坂にある1952年創業の老舗ラーメン店。焦がし葱が浮かんだ醤油スープに平打ち麺が入り、トッピングはもやしと煮卵、チャーシュー。素朴な台湾ラーメンが美味しい。
フレンチ、和で修行した店主の刺激的メニュー
品川駅の高架下に位置する、フードテーマパーク『品達ラーメン』内にある店舗。フレンチを12年、和食を5年手がけた経験のある店主の竹田敬介の放つ、黒いスープの黒味噌ラーメンは他に類を見ないような驚きの味。7種類のみそに竹炭を混ぜたという個性のある、香ばしい油のきいた味噌スープに、動物系のダシ、海老風味が薫る。
昼のみ営業、つけ麺の名店
東京農大のすぐそばの、昼のみ営業のつけ麺の名店。毎朝店主自らが打っているという麺はパン用の小麦粉を使った強力なコシの中太麺。つけ汁は、煮干しやカツオ節など香り深い魚介だしと鶏がらなどの動物だしを合わせた、超濃厚スープ。その上に、ほのかにエビ油が香る。この自家製麺とつけ汁の相性は意外にも抜群。
六本木、西麻布でのナイトライフの〆に
西麻布交差点近くのラーメン店。創業1946年の本格的博多ラーメンの店として、関東に上陸した1号店だ。平打ち細麺に醤油仕立ての白濁豚骨スープの『らぁめん』(700円)は、本場のさっぱりとした味わいと深みのあるだしで、思わず『替え玉』(150円)したくなるはず。朝5時まで営業。
つけ麺ブームを担った人気店
明治通りを挟んだ先にある『やすべえ』と共に渋谷のつけ麺ブームを担った人気店。自家製の麺がここの売り。一番太い平打ち麺は幅3cmほどの帯のような形状で、噛み応えと小麦の風味が抜群だ。
毎日食べても飽きない、久我山の名店
京王井の頭線久我山駅の南口を降りた、人見街道と神田川沿いに位置する、のれんの下がった小さなラーメン屋。店主が毎日食べても飽きない様なシンプルな味を追求したという、魚介ダシのキレのある醤油味の『つけめん』(650円)が人気。
シンプルながら中毒性の高い豚骨スープ
千駄ヶ谷で、屋台ラーメンスタイルの味わいを継ぐ老舗。シャキシャキのもやし、昔ながらのチャーシュー、何とも歯切れの良い太麺。これはホープ軒にしか出せない味。そして、ホープ軒ファンならば、絶対にはずせないのはニンニクと黒胡椒。ニンニクと黒胡椒との相性は抜群で、味がより引き締まる。
爽やかで奥行きあるワンタンメン
神泉駅から徒歩5分ほど、無化調そして、あっさりの醤油ラーメンが味わえるのがこちら。水菜が乗ったスープは爽やかなのに奥行きがある満足行く味わい。お腹に余裕があれば密かな人気メニュー“ワンタンメン”をぜひ。
激戦区・高田馬場に構える隠れ名店
高田馬場より馬場口の交差点を左に曲がった路地裏に位置する店舗。外観は一見すると、割烹風で隠れ家的な風情を感じる。ここの特徴は何といっても、濃厚な豚骨魚介スープ。濃厚な魚介の味、豚骨のこってりさのバランスがよく、細めの麺がよく絡む。
蛤の味わいも深い、『豚清湯系貝汁そば』
幡ヶ谷駅北口からほど近いラーメン屋。L字型のカウンターが囲む店内は武骨な黒一色に統一されている。『豚清湯系貝汁そば』と呼ばれる動物系と貝系の出汁のバランスが旨さの秘訣であり、特に蛤の深い味わいが見事だ。
鶏白湯スープをベースにした両国の名店
スープは6時間ほどしっかり煮込み、ここは鶏のうま味を最大限引き出した、鶏白湯スープをベースとし、そこに特製の塩ダレをかけあわせている。程よい塩加減と、鶏の風味、見た目以上にとてもあっさりとした飲み口で、何杯でも食べられてしまいそうなほど美味しい。
荻窪に構える老舗の王道醤油スープ
荻窪駅北口のロータリーを抜けた商店街に位置する。1949年創業、創業60年を超える老舗で、店構えからもその歴史や風格を感じる。そんな老舗が提供する一杯はシンプルな醤油味の中華そば。スープは鶏がらと魚介のだし、少しだけ濃い目の醤油の香ばしさやコクが絶妙に混ざり合った優しい味になっている。
海外進出も果たした凪ブランドの原点
ゴールデン街らしい風情のある店舗。店内に入るそばからそのにおいが立ち込めているが、ここの魅力はインパクトのある煮干だしだ。大量の煮干しを半日以上かけて、煮込んで作られたスープは圧巻、そして美味。
辛ウマ系ラーメンの代表店
上板橋駅より徒歩8分に位置する、首都圏に15店舗を展開している、辛くてうまいラーメンの代表格と呼べる中本の本店がこちら。ラーメンの真っ赤な外観からもわかる通りだが、秘伝の辛味噌ダレとタンメンの深いコク・うま味、キャベツ・人参の甘味、そしてニンニクの味がちょうどよい具合に口の中で混ざり合う。
Copyright © 2014 Time Out Tokyo
コメント