平間至
2010年01月14日 (木) 掲載
タワーレコードの『NO MUSIC, NO LIFE』シリーズをはじめとする広告ポスターや、雑誌の表紙、布袋寅泰、サンボマスターなど数多くのミュージシャンのCDジャケットを手がけるカメラマン、平間至が、展覧会『LOVE CAT』を2010年1月15日(金)から開催する。平間の愛猫“ミーちゃん”の愛くるしい表情を始め、猫を愛する5人のカメラマンたちが「どれだけ猫が好きか」を自慢しあう猫好きにはたまらない展覧会だ。実は、平間は子供の頃から犬とともに暮らしてきていて、もともとは犬派だったそう。そんな彼が何をきっかけに猫派に転じ、猫を被写体として写真を撮り始めたのか、詳しく話を聞いた。
平間さんが猫派になったきっかけは何だったんでしょうか?
平間:ミーちゃんと出会ったからです。
僕は、小さい頃から家に犬がいて、両親が忙しかったこともあり、犬がお兄さん的役割をはたしてくれていたんです。犬に育てられた、という感覚すらあり、猫には興味がなかった。だいたい猫は僕に全然なつかなくて、近づいていっても逃げてしまうんですよ。だけど、大人になって、妻の実家が猫を飼っていて、ある日、その庭に紛れ込んできたのがミーちゃんでした。もともと家にいた猫にいじめられて怯えていて、僕に助けを求めてきた。足にまとわりついて、歩けないくらい。それで、かわいくなってしまった。
それにね、ミーちゃんと出会う随分前に、友人が予言していたんですよ。白い猫を拾うと良いことがあるよって。それが現実になったわけです。
本当に良いことがあったんですか?
平間:ミーちゃんの写真集が出たり、今回の展覧会ができたりとか。僕が撮るテーマや、写真の領域も広がりました。
人の表情と猫の表情と、それぞれ写真を撮るのにどんな違いがありますか?
平間:人もいろいろ、猫もいろいろ。人でも猫でも個々によって本当にいろんな表情がありますが、人には言葉が通じますよね。もう少し横むいて、と言えば横をむいてくれるけど、猫には聞いてもらえない。ミーちゃんが良い時に、シャッターをきるしかない。ミーちゃん主導です。だから、ミーちゃんが良い時を逃さずに撮るために、近くにカメラを置いておくようにしています。
今回展覧会を開催する『PIPPO』という場所についても教えてください。
平間:2009年6月にオープンしました。デジタルカメラ全盛の時代ですが、フィルムを使った写真を次の世代に残したいという思いから、ギャラリーとレンタル暗室を作りました。やはり、写真の原点はフィルムだと思います。写真を通して、人と人とがつながっていく場を作りたい。
PIPPOを浅草に構えたのはどうしてですか?
平間:下町は、人と人との結びつきがとても強い。PIPPOはお寿司屋さんの2階にあるんですが、シャッターをしめると、その音を聞きつけたお寿司屋さんに呼ばれて、一緒に飲みに行ったりするんですよ。それがとても楽しいんです。
東京で一番“絵になる街”はどこだと思いますか?
平間:歴史を感じさせる街が好きです。江戸はこうだった、という風情を残している街、例えば浅草のような。お寺が多い街も好きです。浅草寺はどちらかというと、観光地としてのイメージが強いですけどね。お寺だったら、京都の蓮華寺が良いですね。
写真好きが集まるサロンのような場所をお作りになったのに、お寺はひっそりしている場所を好まれるんですね。
平間:あ、本当だ(笑)。
Copyright © 2014 Time Out Tokyo
コメント