ローカル直伝 2011年のスターたち

タイムアウトエディターが選ぶ2011年に聴くべきミュージシャン

ローカル直伝 2011年のスターたち

Anna Calviは、ロンドンとニューヨーク両方が選んだ唯一のアーティスト

タイムアウトロンドンとタイムアウトニューヨークが2011年のスター(Music stars of 2011)として挙げたミュージシャンをチェックしよう。どれも、まもなく(現地で)ライブを行う人ばかりだ。来日公演や日本盤のアルバム発売が発表されているアーティストはほとんどいないが、現地のことはローカルに聞くのが一番。“要チェック音楽リスト”に加えるべき、新しい名前を見つけてみよう。

タイムアウトロンドン

James Blake(ジェームズ・ブレイク)
いわゆるポスト・ダブステップと呼ばれるジャンルにおける主要人物の1人、若きジェームズ・ブレイクが2011年のトップ・アーティストの座についた。ヒップホップに影響された彼のスタイルは、ソウル&ダブステップ。2月にリリース予定のデビューアルバムは、2011年のベスト・デビューアルバム1枚に入れられるだろう。

ウェブ:jamesblakemusic.com/

Jessie J(ジェシー・J)
突っ張った態度の22歳、エセックス生まれのシンガー・ソングライター(とりわけマイリー・サイラスのような)は、BBCによる『Sound of 2011』リストのトップにランクイン。彼女のR&Bポップ/エレクトロ・ソウルはリアーナを思わせる。

ウェブ:www.jessiejofficial.com/splash.htm

In New Music We Trust: Funeral Party + Jamie Woon + Sleigh Bells + White Lies
BBC Radio 1のゼイン・ロウがホストする、彼自身の今年熱いバンド(チャート上位者であることが証明済みのホワイト・ライズも参加)を集めた無料イベント。引きつけられずにはいられない、ラプチャーのようなパンク・ファンクバンド、LAのフューネラル・パーティやニュー・ソウル/ダブステップ・ボーカリスト、ジェイミー・ウーン、そしてニューヨークのヒップスターなエレクトロデュオ(M.I.Aにも支持されている)スレイ・ベルズが出演する。

ウェブ
フューネラル・パーティ:www.funeralpartymusic.com/
ジェイミー・ウーン:www.jamiewoon.com/
スレイ・ベルズ:www.infinitybells.com/

Teengirl Fantasy(ティーンガール・ファンタジー)
清涼感のあるハウス/エレクトロニカ、サイケデリック・ポップ、そしてフィラデルフィア・ソウルをミックスするオハイオの慎重かつ調子狂いのコンビは、タイムアウトの2011年おすすめアーティストのひとつ。

ウェブ:www.myspace.com/teengirlfantasy

Clare Maguire(クレア・マグワイア)
彼女のソウル・ポップの平手打ち具合がアスリート風にやや強いものだとしても(アリソン・モイエのことを考えてみて)、マグワイアはジェイ・Zやリック・ルーベンたちが争って彼女と仕事をしたがった。デビュー・アルバムは『Light After Dark』。

ウェブ:www.claremaguire.co.uk/

Anna Calvi(アンナ・カルヴィ)
ニック・ケイヴとエルボーに高く評価され、やはり2011年のビッグ・シングスに連ねられたカルヴィは、スコット・ウォーカーとフラメンコの伝統を取り入れた、目眩がするようで少しドラマティックな曲たちを披露する。

ウェブ:www.annacalvi.com/

The Pierces(ザ・ピアシーズ)
ニューヨークを拠点に活動するアリソンとキャサリーン・ピアースの姉妹デュオは、幻覚のような、少しキャバレー調な曲で注目を集める。その楽曲はロック、そしてフォーキーなフリートウッド・マックを彷彿させる。

ウェブ:www.thepiercesmusic.com/

The Vaccines(ザ・ヴァクシーンズ)
ある人からは「ブリティッシュ・ギターロックの救世主」と、またある人からは「ザ・ストロークスとザ・ジーザス・アンド・メリー・チェインのクローン」と書かれた若い4人組は、フィル・スペクターとザ・ラモーンズへの愛を明白にした、エネルギッシュで全力のポスト・パンクを好んでいる。

ウェブ:www.thevaccines.co.uk/
来日公演の詳細はこちら

Esben and The Witch(エスベン・アンド・ザ・ウィッチ)
このバーミンガムの3人組はデンマークの残虐なおとぎ話からバンド名を取ったというが、それは彼らのネオ・ゴシックスタイルとぴったりとマッチしている。彼らのデビューアルバム『Violet Cries』に収録された、チラチラと光り、地下室のように冷たいメロディと不思議なエレクトロニック・ノイズは、大いに期待できるものだ。

マイスペース:www.myspace.com/esbenandthewitch

The Naked And Famous(ザ・ネイキッド・アンド・フェイマス)
人気上昇中で、パッション・ピットやMGMTに似たテイストをもつニュージーランドのエレクトロ・ポップバンド。だが、パンチが効いていてエネルギッシュなところに、ニルヴァーナ、ライド、ザ・ケミカル・ブラザーズに対する彼らの愛が表れており、それらはなぜ彼らがたくさんの“2011年の音”リストに挙げられているのかを示している。

ウェブ:www.thenakedandfamous.com/

原文を読む

タイムアウトニューヨーク

Anna Calvi(アンナ・カルヴィ)
アンナ・カルヴィは、血のように真っ赤な唇がこの世の最後の防衛線の役割を果たしているロンドンのルーキーだ。何からの防衛線かと言えば、彼女の気難しいギターでのみ高められる、深くて、ゴシック・ドラマで渦を巻くようなハスキーな声である。もし、この文章に親しみを感じるならば、カルヴィのセルフタイトルEP(ドミノから3月1日に発売予定 ※日本盤はホステスより3月22日発売予定)がロブ・エリス、これまでにPJ ハーヴェイのような若いイギリス人のデビュー・アルバムを手がけてきた人物、との共同プロデュースであることをメモしておくといい。カルヴィはハーヴィのように、音節、コード、そしてすべての静寂から演劇的なパッションを引き出している。ポーズや振る舞いは別にしてーーこんな涙を流す22歳はいないーー音楽はとても強烈でしっかりと心を掴むものだ。海外ではすでにブライアン・イーノやニック・ケイヴといったファンシーなファンを獲得している。

ウェブ:www.annacalvi.com/

Colin Stetson(コリン・ステットソン)
新作『New History Warfare Vol. 2: Judges』には、ローリー・アンダーソンがゲスト参加しているが、結局それは彼がどれほど助けを必要しないかを強調しているだけだ。このサクソフォニストの自給自足の感覚を知るために、彼をレコード契約にサインしていないシンガー・ソングライターだと考えてみよう。彼の循環呼吸と重音奏法を操る能力はエリスペリメンタル/インプロヴィゼーションファンの注意を引くだろう。だが、ステットソンの本当の素晴らしさは、こうした生の素材を、無意識に頭の中でループしてしまうような完全に装備されたチューンへと導いてしまう、錬金術的な手法である。2月3日にthe Stoneで行われる彼のギグをアンダーソンがクラッシュしてしまっても驚かないように。反対に、彼女がうまくやれなくても心配しないように。

ウェブ:colinstetson.com/home.html

Oh Land(オー・ランド)
ナンナ・エラン・ファブリシウスは、デンマークからウィリアムズバーグへ引っ越した年に、彫刻のようなバレリーナから『オー・ランド』として知られるシンガーに転身。トウシューズをシンセサイザーに変え、メキメキと頭角を現した。クールで滑らか、しかし魅力的なエレクトロポップ・ソングと上品なステージ、まばゆいファッションセンスをミックスするオー・ランドは、すでにビョーク、フローレンス・アンド・ザ・マシーン、カイリー・ミノーグ、そしてポーティスヘッドなどに例えられている。実際はそのどれでもないが、これらの名前は彼女がもつ莫大な潜在力と同様に、スタイルについてのヒントを与えてくれている。2010年9月にはEpicからセルフ・タイトルEPをリリース、フル・アルバムは3月に発売予定だ。

ウェブ:www.ohlandmusic.com/

Theophilus London(セオフィラス・ロンドン)
「ショーの時には、ベイビーたちが薔薇をくれるんだ」。ラッパーのセオフィラス・ロンドンがブログに書いた通り、女性たちはロンドンを愛している。最近行われたシャツなし姿での写真撮影は、こうした意味では困ったことにはならなかったが、このブルックリンのMCを本当に興味深い人物へと変えたのはその音楽である。ロンドンは都会で生きていくための術を、エレクトロビートと80年代のグルーム・ポップのひねりが効いたシンセ(証拠にデビュー・シングル『Humdrum Town』をチェックしてみて)をミックスしたサウンドに乗せてラップする。2010年に素晴らしいミックステープをいくつかリリースし、デイヴ・シーテック(※TV オン・ザ・レディオ)の『Maximum Balloon』プロジェクトに参加し、ソランジュ・ノウルズとデヴ・ハインズ(※元テストアイシクルス)とはドリーミーなシングル『Flying Overseas』で一緒に仕事をした。ロンドンの最新ビデオには、リンジー・ローハンが出演。デビュ−アルバムは2011年にリリース予定だ。

ウェブ:theophiluslondon.com/

Yuck(ヤック)
イギリスのノイズポップ・グループ、ヤックが2010年の深刻な騒ぎで稼ごうと身繕いをしていたちょうどその時、まさにそのせいで10月のCMJ ミュージック・マラソンへの出演をキャンセルするに至ってしまった。がっかりしたことは、地元の音楽誌『’Sup』のエディター、キャメロン・クックが、彼らのキャンセルのためにフェスティバル断ちを誓ってしまったこと。それより良かったことは、バンドが単調なアンセム『Rubber』や7分にわたる降り注ぐスコールに浸かっているようなトラックといった大量のMP3をウェブで流出させてくれたことだ。デビュー作となるフル・レングスアルバムは、2月にリリースされる。

ウェブ:yuckband.blogspot.com/

原文を読む

アーティスト・ウェブサイトおよび(※)はタイムアウト東京で挿入

ロンドン 原文 タイムアウトロンドン編集部
ニューヨーク 原文 タイムアウトニューヨーク編集部
翻訳 道辻麻依
※掲載されている情報は公開当時のものです。

この記事へのつぶやき

コメント

Copyright © 2014 Time Out Tokyo