映画へ行こう11/27公開作品

『デイブレイカー』『アメリア』『リッキー』ほか

映画へ行こう11/27公開作品

(c)2008 Lionsgate and Paradise Pty Limited, Film Finance Corporation Australia Limited and Pacific Film and Television Commission Pty Limited.

ハリウッドを始め、世界中で作られている映画で外せない人気ジャンルといえば“ゾンビ系”と“ヴァンパイア系”ではないだろうか。どちらも古典的な作品のリメイクから、今やティーン向けの青春ロマンス、ファミリー向けのホームコメディーにまで活躍のフィールドを伸ばしている。そんな多様化するヴァンパイア映画に、またひとつ新しい風が吹いた。近未来を舞台に、ヴァンパイアがマジョリティとなり、それまで地球の支配者としてトップの地位にいた人間が“絶滅危惧種”になるという、これまでの人間とヴァンパイアのパワーバランスが逆転したユニークな設定の映画『デイブレイカー』だ。

西暦2019年。かつて世界中を襲ったウィルスによって、全人類の大半が疫病に冒される。その症状は、人間の血を欲するヴァンパイア化だった。知性を備えたヴァンパイアたちは、旧来の人間たちに代わって生活秩序を構築し、昼夜逆転のライフサイクルを送っていた。が、やがて深刻な社会問題がヴァンパイアたちを襲う。人間の減少による慢性的な血液不足“食糧危機”、そして血に飢えた凶暴なモンスターに変異したヴァンパイアによる殺傷事件の勃発だ。自らがヴァンパイアでありながら、人間的な良心を保つ血液学者のエドワードは、血液不足を解消し、人間の絶滅を救うため、代用血液の開発を急ぐが……。

この新感覚のヴァンパイア映画を生み出したのは、オーストラリア出身の新進気鋭の兄弟監督、ピーター&マイケル・スピエリッグ。知的好奇心をそそる脚本、ブルー&ブラックの色合いを基調にした映像はクールで硬質的な近未来のイメージを演出。スタバのようなコーヒーショップで、ミルク代わりに血をトッピングする“ブラッド・コーヒー”や、血を搾取されるためだけに人間が機械に繋がれ飼われている“ブラッド・バンク”など、ヴァンパイアならではの生活様式は、SFホラーファンにとっても斬新なシーンの連続だ。主人公のエドワード役を演じるのは、出演作に強いこだわりを持つイーサン・ホーク。さらに、『スパイダーマン』シリーズのウィレム・デフォーや、『ジュラシック・パーク』のサム・ニールなどの名優が脇を固める。人間の減少で血液が不足し、ヴァンパイア社会がパニックに陥る状況は、まるで石油や希少な金属で熾烈な争奪戦を繰り広げている現代を皮肉っているようだ。

デイブレイカー

公開:2010年11月27日(土)
監督:マイケル・スピエリッグ、ピーター・スピエリッグ
キャスト:イーサン・ホーク、ウィレム・デフォー、サム・ニール、クローディア・カーヴァン、マイケル・ドーマンほか
配給:ブロードメディア・スタジオ
公式サイト:www.daybreakers-movie.jp/


アメリア

(C)2009 Twentieth Century Fox

女性初の大西洋横断、また数々の飛行記録を打ち立てた伝説の飛行士アメリア・イヤハート。輝かしい栄光の陰で彼女について回る、死への恐怖や挫折、誹謗中傷、そして孤独。そんなアメリアを支えたのはプロモーターで夫のジョージだった。1937年、アメリアは「夢に限界はない」と一度は挫折した“世界一周飛行”に再度挑戦することを決意するが……。空を愛し、空に挑み、そして空になったアメリア・イヤハートの伝記映画。演じるのは2度のアカデミー賞受賞歴を持つヒラリー・スワンク。自ら製作総指揮を務め、実在の人物を演じるため、操縦のレッスンも受けたという彼女の熱演ぶりに注目。

日本公開:2010年11月27日(土)
監督:ミーラー・ナーイル
キャスト:ヒラリー・スワンク、リチャード・ギア、ユアン・マクレガーほか
配給:ショウゲート
公式サイト:amelia-movie.com/


Ricky リッキー

(c)Eurowide Film Production – 2008 – Tous droits reserves

ある平凡な家族に生まれた“ちょっぴり変わった赤ちゃん”を通して、バラバラだった家族が再びひとつになっていく姿を描く。カティは郊外の団地に娘のリザと2人で暮らすシングルマザー。仕事先の工場と家を往復するだけの平凡な毎日を送っていた。そんなある日、工場に入ってきた新人のパコと出会い、カティ親子と家族として暮らし始める。やがてカティとパコの間に子供が生まれ、リッキーと名づけられた赤ん坊にある異変が起きる……。『8人の女たち』『スイミング・プール』のフランソワ・オゾン監督が贈る、家族再生をテーマに描いたヒューマンドラマ。

日本公開:2010年11月27日(土)
監督:フランソワ・オゾン
キャスト:アレクサンドラ・ラミー、セルジ・ロペスほか
配給:アルシネテラン
公式サイト:www.alcine-terran.com/ricky/


信さん・炭坑町のセレナーデ

(C)「信さん・炭坑町のセレナーデ」製作委員会

福岡県出身の辻内智貴による同名の原作を、『愛を乞うひと』の平山秀幸監督、脚本家の鄭義信が再びタッグを組み映画化。昭和38年。福岡県の炭坑町。離婚をした美智代は小学生の守を連れて帰郷する。出戻りの親子は小さな町で興味本位の目で見られるのだった。そんなある日、悪ガキたちに囲まれた守を、町いちばんの札付き少年、信一が助け出す。その事件をきっかけに知り合った信一に対して優しく接する美智代。早くに親を亡くし孤独だった信一は、いつしか美智代のことを母親のように慕いながらも淡い恋心にも似た感情を抱いていく。貧しいながらも明るく必死に生きる人々の日常を描いた感動作。

日本公開:2010年11月27日(土)
監督:平山秀幸
キャスト:小雪、石田卓也、池松壮亮、大竹しのぶ、光石研、岸部一徳、村上淳、中尾ミエほか
配給:ゴールドラッシュ・ピクチャーズ
公式サイト:shinsan-movies.com/

平山秀幸監督へのインタビューはこちら

テキスト 粕谷みさを
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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