1年と200万円をかけた大失敗作

気鋭のアーティスト、前田真治の『カウンタック』チラ見せフォトギャラリー

フランス大使館旧庁舎で行われたアートエキシビションで、同国を代表する企業のロゴをふんだんにあしらった作品を大量に展示しようとしたものの叶わず、クローゼットに隠さざるを得なかったアーティスト、前田真治。そんな彼が、今度はタイムアウトカフェ&ダイナーのギャラリーにて、またしても大胆な展示に挑戦すると聞き、一足先に見てしまおうと現地に出向いた。

24時近くの静まり返った店内。5人のスタッフによって、組み立て作業は着々と進んでいるように見えたが、そこにあったのはまだ外側だけの美次元加速装置『カウンタック』。辺りにはこれから収納される部品が散乱し、「世界で最も美しい」はずのマシンは未だ指紋だらけ。完成には24日オープン初日の朝までかかるとのことであった。

「1年と200ウン万円をかけた大失敗作」と、前田は語る。だが、タイムアウトカフェ&ダイナーとリキッドルームというエンターテインメント空間に、エンターテインメントとは無関係の物体を鎮座させることには興奮しているようだった。さらに、すぐ隣が食事をする場所であることをどう思うかと聞くと、「(作品の目の前に)シートを敷いて、眺めながら食べるのもいいね」と新たな展示方法に目を輝かせていた。

作品が未完成ということもあるが、アーティストの意向を尊重し、ここでは全体を見せないことにする。ギャラリーが彼のランボルギーニの車庫であるかのようにぴたりとはまる姿を、ぜひ自身の目で見て欲しい。そして、彼が没頭した美しい装置の追求が、失敗に終わったのかどうか。それもまた判断して欲しい。

さらに、本日19時より行われるオープニング・レセプション・パーティでは、この作品を公道で走らせ、見事、道路脇の草むらに突っ込んだ時の映像を公開する予定とのこと。日本の山中で撮影されたSF近未来映画のような瞬間を気に入った方は、会場で販売されるポスターをチェックするのを忘れないで欲しい。「こっちは自信作」と前田が太鼓判を押したポスターを購入すれば、『カウンタック』の最高に美しい瞬間を永遠に自分のものにすることができる。


Countach 2012 -エギゾースト・ノートはエギゾースト・アートへと加速する-
日程:2010年11月24日(水)から2011年1月15日(土) ※好評につき会期延長
場所:タイムアウトカフェ&ダイナー

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テキスト / 撮影 道辻麻依
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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