東京でカナダを味わえる店 第1

知られざるベーグルの真髄にせまる

Read this in English
東京でカナダを味わえる店 第1回

ベーグルサンド『スモークサーモン&クリームチーズ』

バンクーバー冬期オリンピックの開催まで残すところあとわずか。日本人選手の活躍への期待が高まるが、オリンピックの開催地や他の選手たちの出身国についても興味を持ち、他国の文化に接する良い機会ともなる。

では今回の開催地であるカナダという国について、どのくらいご存知だろうか。そのイメージを尋ねると、多くの人から『ナイアガラの滝』『紅葉』『赤毛のアン』『サーモン』『メープルシロップ』という答えが返ってくる。これらは確かにカナダを代表するものなのだが、まだ広く知られていない魅力もたくさん秘めている。カナダはロシアに次いで世界で2番目に大きい面積をもち、西海岸から東海岸まで、それぞれの州で濃い文化が発展している国なのだ。

ここでは東京で味わえるカナダの味を追うことにした。東京は世界のあらゆるおいしいものを食べられる街。まずは“食べる”ことでカナダを身近に感じよう。第1回はカナダ東部の街、モントリオールから。既に日本でも人気に火が付いているベーグルとは少し違う、モントリオールスタイルのベーグルを紹介する。

ニューヨーク式とモントリオール式

日本で支持を得ているベーグルは、ニューヨークでの人気をきっかけに国内へと入ってきたため、ニューヨークスタイル、もしくはそこから発展した日本独自のスタイルである。では、モントリオールのベーグルとはどんなものなのだろうか。

まずは見た目に違いがある。ニューヨークのベーグルはかなり大きく、ふっくらとしているのに対して、モントリオールのベーグルは小ぶりで厚みもそれほどなく、一見固そうに見える。だが、食べてみると決して固くはなく、微かな甘さを不思議に感じる。その甘みこそが、モントリオール式ベーグルの特徴である。卵を入れ、作る工程で塩の代わりに砂糖を使い、茹でる湯にもハチミツを入れているのだ。これが実にクセになるポイントで、一度食べたらニューヨーク派には戻れなくなる魅力をもっている。

モントリオールには、24時間いつでも焼きたてで、いつでも行列ができている店があるほど、市民からの人気は高い。うれしいことに、東京にはそんなモントリオールスタイルのベーグルを食べられる店がある。続いて、2009年オープンしたモントリオール式ベーグルの専門店を紹介しよう。

日本初のモントリオール式ベーグルを食べる

2009年7月にオープンしたPoko Bagel Café(ポコ・ベーグル・カフェ)は、モントリオール式ベーグルの専門店である。日本では馴染みのないモントリオール式のベーグルを扱う理由はずばり、“カナダを愛する者が作ったカフェ”だから。店長の小野は高校時代にオンタリオ州に留学、キッチン担当の丸山はバンクーバーでベーキングの勉強をしていたという経歴をもつ。カフェを始めようとアイデアを練っているときに、自然とカナダに関係したものを扱いたいと思ったそうだ。その後、モントリオールのベーグルに目を付け、2人で現地へ飛び、ベーグルそのものはもちろん、サンドにいたるまで徹底的に調査をしたと言う。

研究に研究を重ねて生まれたPoko Bagel Caféのベーグルは、100%カナダ産の小麦を使い、石釜で焼くことにより、しっかりとした粘りと柔らかさをもつ絶妙な味わいに仕上がっている。レシピは本場に忠実とのことだが、そこに日本人特有の丁寧さが加わっているのか、正直なところ、本場モントリオールで食べるベーグルよりもおいしいと感じた。

食べ方は、通常のベーグルと同じくクリームチーズやバターを塗るのもいいが、この店では青森産ブルーベリーを使った手作りジャムとメープルウォールナッツクリームチーズを試して欲しい。さらにおすすめなのが『スモークサーモン&クリームチーズのベーグルサンド』。このサンドは、ほんのり甘いベーグルとのバランスを考え、ジューシーで味がしっかりしたサーモンが選ばれて使われており、リピート間違いなしの逸品である。

Poko Bagel Caféでもっとカナダ気分に浸る

モントリオール出身のカナダ人や、滞在経験のある日本人が訪れることも多いというPoko Bagel Café。店内では、ベーグルのほかにメープルシロップを使ったスウィーツベーグルや『モントリオール・フレーバーティ』というモントリオールをイメージしたスペシャルブレンドの紅茶を楽しめる。またソーダやトニックウォーターがカナダドライで揃えられていたりと、あちこちに“カナダフィーチャー”を感じられる店である。尚、フランス語が用いられるモントリオールのベーグルショップなので、Caféの“e”にはアクサンテギュを忘れないでいただきたい。

メニュー例
ベーグル(プレーン、セサミ、チョコレートチップ、いちじくなど)90円~
トッピング(クリームチーズ、ブルーベリージャム、ハーブソルト&クリームチーズ)80円~
ベーグルサンド(スモークサーモン&クリームチーズ、パストラミビーフなど)600円
ランチプレート(ベーグルサンド、スープ、サラダ、ドリンク付き)1100円

Poko Bagel Café(ヴェニュー情報はこちら

テキスト 道辻麻依
※掲載されている情報は公開当時のものです。

タグ:

この記事へのつぶやき

コメント

Copyright © 2014 Time Out Tokyo