2013年04月16日 (火) 掲載
廣山直人とRie fuのユニット、delofamiliaの4作目となる新作『archeologic』が完成。NAOTOのルーツであるUKロックやビート・ミュージックのエッセンスを独自に消化したサウンドは、エレクトロニックでありながらオーガニック。そんな様々な要素を煮込んだトラックを、Rie fuの歌声が自由に舞う。二人のコラボレーションにますます磨きがかかった新作について話を訊いた。
ー今回もRie fuさんが歌詞、NAOTO君が曲、という役割分担だったんですか?
Rie fu そうです。10曲くらいまとめて送ってもらって、その歌詞を、だーっと書いていく。ただ、これまではアルバムがリリースされてから、NAOTOさんのブログで曲に関するコメントを読んで「そうだったんだ」って思ってたんです。でも、今回は先に知りたいと思って、曲をもらった時に「こういう曲に影響を受けた」というコメントをもらいました。それで今回はUKロックがテーマになっているみたいだとわかって。
ー先にコメントが欲しいと思ったのは、どうしてですか?
Rie fu 前作のリリース後にコメントを読んで、「先に知っていれば、また違う歌詞ができたんじゃないかな」って思ったんです。もちろん、知らないからこそ新しいものができる、といこともありますが、delofamiliaも参加させて頂くのは今回が3回目だし、もう少し深く関われたらと思って。例えば『In a Zoo』は「スミスの曲をモチーフにした」ということだったので、歌詞はちょっと反抗的な感じにして、あまりビブラートをつけずに男っぽく歌ったりしてみたりしました。
ーNAOTO君は、先にコメントを見せることには抵抗はなかった?
NAOTO それで深いものができるのなら全然。前までは、何も考えずに「はい」って渡していただけなので、先にコメントを伝えるというアイデアをもらった時は、そこで新しい世界観ができそうだな、という期待もありました。それにコメント書くことで、曲を書いた時のこととか、細かいディテールを思い出せて良かったです。
ーRieさんが書いた歌詞で、とくに印象に残ったものは?
NAOTO 『Delicious』は今までにない感じでしたね。僕は薬味が好きなんです(笑)。ネギとか、紅葉おろしとか。
Rie fu みょうがとかね(笑)。ループっぽい曲だったので回転寿しを連想して、それで食べ物の歌詞になったんです。歌詞を書いた時、レリッシュというものを作っていて、それはジャムの甘くない版みたいな、パンにつけて食べたりするものですけど、それを歌にしたって感じです。
ー美味しそうな曲ですね(笑)。この曲以外も、全体的にビートがこれまで以上に際立っているような気がしました。
NAOTO そうですね。ツアーをやってるなかで、ビートものってdelofamiliaでやると面白いと思うようになって。四つ打ちではない、ヒップホップとかから来ているようなビートですね。最近のビートは、痛いキックとかハットが多くて長いこと聴いていられないけど、もっと丸くてモチモチしたボトムな感じを意識して、自己主張はしないけど存在感があるビートを出すために、何種類かのリズムマシーンを組み合わせて試しました。
ーレコーディングでは、すべての楽器の音をマイクで拾って録音したそうですね。
NAOTO そういう録音に興味があったんです。試しにやってみたらすごく良くて、全面的に取り入れました。マイクの位置とかいろいろ調整して、そうすることで空気感が作り込める。空気感とか雰囲気とか、そういうところを大切にしたいと思って。
Rie fu 前作から音作りをzAkさんにお願いしているんですけど、音も自分の声も聴いたことがない感じになってきた。パソコンで聴いても、ヘッドフォンで聴いても聞こえ方に差がないのもすごいですね。そういえば『Delocious』では、ヘッドフォンをマイク替わりに使ったんです。
NAOTO ちょっと音が硬くなって、ラジオから聞こえる音みたいになるんだよね。
Rie fu ヘッドフォンの持ち方をいろいろ工夫してみたりして面白かったです。
ーいろいろな要素が詰まった新作ですけど、delofamiliaのサウンドを食べ物に例えるとどんなものだと思いますか?
NAOTO やっぱ、俺はラーメンしかないと。パッと見わからないくらいいろんなものが入ってるじゃないですか?スープは美味くても麺についてこないラーメンって多いんですよ。スープは美味しいのにおかしいなって。ラーメンはシンプルな料理に見えて奥が深い。ラーメンというのは……(ラーメン談義が続く)。
Rie fu それ、好きな料理にこじつけてるだけじゃないの(笑)。
ーラーメンは哲学だと(笑)
NAOTO 食べ過ぎ注意(笑)
ーRieさんは?
Rie fu 私はさっき話したレリッシュかな。いろんなものを詰め込んでコトコト煮込むので、パスタとか、チーズとか、パンとか、いろんなものとあわせて食べるとスパイスになる。それと同じように、delofamiliaの音もいろんな生活のシーンや場所にあわせて飽きずに聴いてもらえるんじゃないかなって思います。
NAOTO レリッシュって知らなかったけど、ラーメンに乗せたら美味しそう。
Rie fu あ、あうかもね(笑)。
delofamilia 『archeologic』リリースツアー 東京公演
日程:2013年4月18日(木)
会場:渋谷クラブクアトロ
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