東京、変わり種ラーメン 15

レモン、パイナップル、パイ生地など独創的な素材づかいのラーメン

東京、変わり種ラーメン 15選

牛骨らぁ麺マタドール『贅沢焼牛らぁ麺』

麺好き民族といっても過言ではない日本人。そのなかでもラーメンは国民食としての市民権を勝ち得ているが、広く愛されているからこそ、より細分化しているジャンルともいえる。ここでは、一見すると風変わりに思えるような、独創的な素材使いをするラーメンをフィーチャー。キワモノかと思いきや、意外なほど美味しい一杯へと昇華しているラーメンの数々は、食べ歩く楽しみの幅を広げてくれるはず。これほど変わり種素材を使ったラーメンが楽しめるのは、世界でも日本だけ。ジャパンカルチャーのひとつとしてのラーメンを楽しんでいただきたい。

トマト 『ajito』

大井町駅より徒歩7分、住宅街の中にある隠れ家的な店。イタリア料理店で修業を積んだ店主による、ベジポタ系の創作ラーメンが特徴だ。『つけ麺 醤油』(並780円)、『つけ麺 ロッソ(トマト)』(並800円)などの基本メニューに加え、曜日別メニューも楽しめる。おすすめしたい『つけ麺ロッソ』は、8種類の野菜が溶け込んだ濃厚スープに、鶏や豚などの動物性のコクが加わり、トマトの酸味が効いていて絶妙。麺には粉チーズとバジルペーストが載せられ、パスタを彷彿とさせる。一見すると変わり種だが、つけ麺としてもハイレベルでラーメン通の舌も唸らせている。また、各メニューともに、つけ麺の割スープの要領でライス、チーズ、半熟玉子、ソースを加えて〆のリゾットも楽しめる(プラス200円)。

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ハマグリ 『不如帰』

幡ヶ谷駅北口からほど近い『不如帰(ほととぎす)』は、無骨な黒一色で統一された店内が印象的なラーメン店。豚清湯系貝汁そばと呼ばれる、動物系と貝をベーストする出汁のバランスがよく取れている。旨さの秘訣は、特にハマグリが醸し出す深い味わいによるもの。『味玉そば(醤油)』と『味玉塩そば』のどちらを頼むか悩ましい。 また、毎週木曜日限定で『裏不如帰』として営業する時にだけ楽しめる、煮干しを使った『極にぼ』も捨てがたい。

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パイナップル 『パイナップルラーメン屋さん パパパパパイン』

西荻窪駅南口を右に進むと「パイナップル」ののぼりと黒地に黄色いパイナップルがプリントされた看板が見えてくる。高田馬場の名店『渡なべ』で修業した店主が作り出すのは、店名に掲げるパイナップルを主役にした、『パイナップル塩ラーメン』(700円)。スープはパイナップルジュースと魚介出汁がブレンドされたもので、パイナップルの酸味と甘味の後に、煮干しや昆布の魚介系の塩味が広がっていき味わい深い。トッピングは缶詰のパイナップルと、パイナップルジュースをタレに使った甘味のあるチャーシュー、海苔など。追加で頼める味玉の中にまで、パイナップルの味が染みているという徹底ぶりだ。キワモノに見えがちだが、さっぱりとした独特の美味しさを確立している。

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アユ 『鮎ラーメン』

二子玉川駅から少し行った商店街の中にある『鮎ラーメン』は、大きく「鮎」と描かれたのれんが目印。ここで提供されるのは、店名の通りアユをふんだんにつかったラーメンだ。スープはかなりあっさりした塩ラーメンといった印象だが、アユの出汁がしっかり効いていて、口いっぱいにその旨みが伝わってくる。麺は細縮れ麺。『鮎まるごとラーメン』(1,000円)はアユまるごと1尾にタデの葉とネギ、海苔が載る。後味もさっぱりしていて、ついついスープも飲み干してしまうほどだ。シンプルでありながらも味わい深く、何度でも食べたくなるあっさりラーメンの芸術品と言っていいだろう。

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ワタリガニ 『蟹専門 けいすけ北の章』

首都圏に14店舗を展開しているけいすけグループが、カニにこだわったラーメンを提供している『蟹専門 けいすけ北の章』。看板メニューの『極上渡り蟹の味噌ラーメン(味玉入り)』(950円)は、ワタリガニのカニミソを加えた濃厚スープが何ともいえない深みのある味で、口に含むとカニの香りがぶわっと広がる。濃厚な味わいだが、くどさを感じさせない。北海道の形を模した特製どんぶりもまたユーモラス。東京駅直結というロケーションも立ち寄りやすい。

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牛骨、牛肉 『牛骨らぁ麺マタドール』

北千住駅東口より徒歩5分、赤い看板が目印の『牛骨らぁめんマタドール』は、『ちゃぶ屋』などの人気店で修業を積んだという店主が営む店。発想のヒント焼肉店で得たという、牛骨や牛スジ、牛アキレスからとった、少し脂の浮くスープが特徴。まるでローストビーフのような大判の牛チャーシューが載る『贅沢焼牛らぁ麺』(1,000円)は、牛づくしの一杯でおすすめできる。少しとろみのあるスープはなめらかな味わいで、思わずグイグイ飲んでしまう。平打の細麺ともよく合っている。見た目のダイナミックさとは裏腹に、非常に繊細に作り込まれており、奥行きがあるラーメンだ。

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大豆、ゴマ、ピーナッツ 『T'S たんたん』

『T'sたんたん』は東京都内で唯一のベジタリアンラーメン専門店といえるだろう。東京駅直結というロケーションが便利な店でもある。肉、魚介といった動物性食材をまったく使っていないこの店の看板メニューは、白練りゴマとピーナッツを合わせたコクのあるスープがベースとなった「担々麺」だ。数種類揃うメニューのなかでも、『緑たんたん』は、たっぷりの水菜、大豆ミートを使ったそぼろ、パンプキンシードが載ったヘルシーな一品で、肉を使う一般的な担々麺と比べれば濃厚さの点では劣るが、食後感は満足のいくものと言える。

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焙煎素材 『焙煎汐蕎麦処 金字塔』

赤羽駅前から線路と平行にのびる道を5分ほど歩いたところにある、塩そば専門店。濃厚な鶏スープと中細縮れ麺の塩ラーメンで知られている。スープをとる前に鶏ガラなどの素材を焼いてから使うことで、独特の焙煎香が楽しめる。スタンダードな人気メニュー『しおそば』(680円)は、クリアーな鶏スープに『浅草開花楼』のコシのある縮れ麺がよく合う。ネギ、メンマ、ほうれん草、チャーシューのトッピングが載る。食べ進めてから、特製のコーヒーオイルを加えてみると、また違った焙煎香がふんわりと広がるのがユニーク。不思議とはまる味だ。

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パイ生地 『UMA』

立川駅から徒歩3分ほど、8台分の駐車場も完備されたロードサイドのラーメン店。同店のラーメンは、ルックスからしてインパクト大の一杯だ。おすすめは、アツアツのつけ汁を提供するために、器にパイ生地で蓋をして、そのままオーブンで焼き上げる斬新なスタイルの『極UMAつけ麺』(850円)。見た目はまるでパイ包みシチューのようですらある。つけ汁は、ゲンコツや鶏ガラなどの動物系と魚介、野菜を煮込んだスープで、魚介風味が前面に出ている濃厚な味。麺は胚芽入りの自家製麺で、程よいコシ。しっかり煮込まれたトロトロの肉厚チャーシューも美味しい。パイをそのままつけ汁に落としながら食べられるのもおもしろい。

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レモン 『りんすず食堂』

大島駅からすぐ、新大橋通り沿いに店を構えるラーメン店。蕎麦店での修業経験を生かし、日本蕎麦からヒントを得たラーメンが非常に特徴的だ。そばつゆの要領でサバ、カツオ節を煮詰めた醤油だしをベースとし、そこに鶏主体の動物系、昆布や干し椎茸の精進系スープが合わさる。 定番メニューの『中華そば』(650円)は上品な味わい。スライスしたレモンがたっぷり載った『レモンラーメン』(650円)は、レモンの酸味がスープをぐっと底上げしている。また、トッピングの『鳥天』(200円)は必ず頼みたい一品で、もし食べきれなくても持ち帰り可能という寛容さもうれしい。日本蕎麦とラーメンが上手に融合した名店といえる。

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キノコフレーク 『MILE STONE』

京急蒲田駅から徒歩5分、環八沿いにある『MILESTONE』は、バーのような雰囲気のラーメン店。通常は『麺屋ながれぼし』という店名で営業するが、月曜日と火曜日は店名を『MILESTONE』と変更して別メニューを提供する。その目玉となるメニューは、澄んだ色の塩味をベースとしたスープに、特製「キノコフレーク」が載った『淡麗塩ラベルラーメン』(700円〜)。スープを口に運ぶと、一瞬で芳醇なキノコの香りが口の中に広がり、とてもあっさりとしているにも関わらず味わい深い。麺はストレートな細麺。メンマの代わりに載るのはタケノコ。塩だけでなく、『醤油ラベル』のほうも、キノコが非常に合う特徴的なラーメンだ。

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サメ節 『麺恋処 一幕』

桜上水駅から徒歩7分ほど、甲州街道沿いにあるラーメン店。大きな看板が目立つ店構えだ。同店のメインとなるメニューは、青森県で水揚げされたネズミザメを使った「サメ節」から出汁をとった『鮫節そば』(700円)。サメの他に、鶏やゲンコツからもとられたスープは、サメのイメージからは想像つかない、さっぱりとした深みのある味で臭みなどほぼ感じられない。ストレート麺と歯ごたえのあるチャーシュー、ネギ、細長いメンマが添えられ、シンプルな組み合わせがちょうどいいバランスだ。絶妙なコクのスープは、ついつい最後まで飲み干してしまう。

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チーズ 『九十九とんこつラーメン』

渋谷橋の交差点近くにある『九十九とんこつらーめん』は1990年代後半にオープンして以来、15年以上安定した人気を誇る店。なんといってもここの目玉は、商標登録もされている『元祖○究チーズラーメン』(900円)。モヤシ、コーンがトッピングされた味噌ラーメンの上に、粉チーズがたっぷり載ったオリジナリティ溢れる一杯だ。チーズは、北海道の花畑牧場でジャージー牛を中心とした高品質乳から作られるナチュラルチーズを使っており、味噌とチーズが混ざり合うのがたまらない。スープに少しずつ溶かしつつ、中太の縮れ麺とからませながら食べるのがいいだろう。麺の固さも調節でき、テーブルには様々な薬味が置かれているので、自分好みの味を試せる。

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カレー 『凛』

渋谷、宇田川町にあるラーメン店『凛』では、二郎インスパイア系のがっつり麺が楽しめる。『二郎』から派生したラーメン店は多いが、同店は既に数店舗展開中と広がりを見せており、独自のハイクオリティの一杯には定評がある。特徴的なのは『しょうゆ』(800円)だけにとどまらす、『味噌』(800円)、『カレー』(900円)、『カレーチーズ』(1000円)、『ポン酢』(800円)など幅広い味が楽しめること。スタンダードの醤油はもちろん、どの味もクセになる味わい。おすすめはカレーソースの上にチーズが載った『カレーチーズ』と、高級ポン酢として有名な旭ポン酢を使った『ポン酢』。いずれもシャキシャキのモヤシ、コシのつよい太麺によく味が絡み、不思議なほど箸が進むので、ヘビーボリュームでもペロリと食べられる。

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エビ 『五ノ神製作所』

新宿高島屋近くにある、エビの出汁を使用したつけ麺専門店。人通りの少ない場所ながら、店の前には常に行列ができている。ベーシックな『海老つけ麺』(750円)もいいが、おすすめは『海老トマトつけ麺』(850円)。バジルペーストが載ったバゲットが付いてくる、ラーメン店らしからぬプレゼンテーションがユニークだ。スープはメインとなるエビに鶏と豚、トマトが加わって濃厚な味わい。カフェのような雰囲気も手伝い、女性客もひとりで利用しやすい。

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企画協力・テキスト メンチャック
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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