2012年11月21日 (水) 掲載
2012年の最後、鐘の音で邪念を払い、すっきりと新しい年を迎えよう。過ぎゆく年を惜しみ、一年の最後を締めくくる、新しい年を迎えるための行事のクライマックスが、寺院の梵鐘(ぼんしょう)を108回鳴らす除夜の鐘。除夜の鐘とは、年の改まる12月31日の深夜から鐘をつきはじめ、仏教において言われる、人間にある肉体的な欲望、精神的な欲望、他人に対する怒り、執着など108の煩悩を振り払うための行事だ。寺院によっては、108の数にこだわらず、参拝者に鐘をつかせてくれるところもある。こたつで暖をとり、テレビから流れる鐘の音を聞きながら年を越すのも良いが、今年は自分自身で鐘をつきに出かけてみるのはどうだろうか。大晦日の夜、ひんやりと澄んだ空気に鐘をつけば、響き渡る鐘の音に邪念は消え、訪れた心の静寂をもって、新しい年を迎えることができるだろう。
大晦日に一般の人でも除夜の鐘をつくことができる東京の寺を紹介する。事前に整理券などを配布する寺もあるので、確実に除夜の鐘をつきたい場合は、準備に情報の確認をおすすめする。
真言宗豊山派の寺で、西新井大師の通称で親しまれている。弘法大使がたちより、悪疫流行に苦しむ人々を救おうと祈祷を行い、枯れ井戸から湧き出た水 によって癒したと伝えられている。除夜の鐘は、2013年1月1日午前0時より始まり、人数制限がなく、並べば全員、無料で鐘を撞くことができる。
京都にある浄土真宗本願寺派本願寺の別院。建築家・伊東忠太が設計した本堂の建物は、インド様式の石造りで、ライトアップが非常に美しい。本尊は聖徳太子の作と伝えられている。除夜の鐘をつくには、2012年12月31日の22時から本堂で配られる整理券が必要。23時からの除夜会(法要)に参拝した後、鐘をつくことが可能だ。築地本願寺の鐘をつくことができるのは、1年でこの機会だけとなっている。
新選組ゆかりの地、土方歳三の菩提寺で、関東三不動のひとつに挙げられる。本尊の丈六不動三尊は、総重量1100キロを超え、日本一と伝えられる巨像で、国の重要文化財に指定されている。除夜の鐘をつけるのは、当日先着した限定108組で、昼ごろから配布が予定されている整理券が必要だ。
今からおよそ七百数十年前、日蓮聖人が弘安5年(1282)年に61歳で入滅(臨終)した霊跡。法華経の教えを伝えるために、仏法に耳を傾け、静かに経文を書き写して心の安らぎを得る『法話と写経の会』や、一泊二日の修行体験で、心の塵を洗い流す『洗心道場』など、さまざまな体験を行っている。除夜の鐘への参加は整理券が必要。整理券は2012年12月31日23時から、鐘楼堂の前で先着600人に配布される。参加は無料だ。鐘は6人ずつでつく。
品川寺(ほんせんじ)の鐘、大梵鐘(だいぼんしょう)は、何らかの理由によって海外に持ち出されたものがスイスのジュネーブで見つかり、昭和5年に返還されたもの。“鐘”が 返ってきたことと“金”をかけ、「金がかえってくる」とし、縁起をかついで鐘をつきに来る人も多い。除夜の鐘は2013年1月1日0時から。鳴らす回数は108と決まっているが、何人かで鐘をつくなどして、なるべく希望する全員が鐘をつけるようにしてくれる。境内では23時から、古いお札やお守り、1年間使った生活道具を火にくべて新年の幸せを 祈願する『おたきあげ』も行われる。
麻布十番駅近くにある1000年以上の歴史を持つ寺院。平安時代に弘法大師が真言宗を関東一円に広めるため、開かれた。境内には樹齢推定700年のイチョウの木があり、 国の天然記念物に指定されている。除夜の鐘は、2012年12月31日の23時くらいから参拝者が並び始め、人数制限がなく、並べば全員つくことができる。
厄除けのお寺として、江戸時代から大勢の参拝者が訪れる寺院。境内には、仁王門、鉄門、御成の間、祖師堂など、東京都指定文化財や国指定重要文化財 に指定されている建造物がある。仁王門の左右に安置される金剛力士像は、徳川四代将軍家綱公が寄進したとされている。除夜の鐘の人数制限はなく、2013年1月1日午前0時から始まる除夜の鐘は一般参拝者も並んだ順に、 26時頃までつくことができる。 また、正月三が日の3日間は、福を招くとされる小槌『“やくよけ招福”打ち出の小槌』で『鐘楼の大鐘』をつくことができる。最寄り駅は新高円寺。
浄土宗の七大本山のひとつ。三解脱門(三門)や、絵画『紙本着色法然上人伝』など、国や都の指定文化財も多い。梵鐘は、高さ2メートル42センチあり、関東地方最大級の大きさを誇っている。除夜の鐘は、年明け、元日の午前0時に、1番鐘が鳴らされる。増上寺法主によって鐘が打ち鳴らされるが、鐘つき券を、冥加料2000円で一般にも配布しており、一般の人も鳴らすことができる。
*鐘つき券は、2012年12月1日午前9時から配布されている。
眼病平癒のお守りが有名な寺。絵馬は『めめ絵馬』と呼ばれ、“め”と、逆さ文字になった“め”の2つが描かれている。除夜の鐘は2012年12月31日23時30分ごろから並び始め、人数制限はなく、1時30分までに並べば全員鐘を撞くことができる。108回までは、お守り付きで500円、それ以降は浄財にて奉鐘できる。午前2時には終了する。
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