Courtesy of Mizuma Art Gallery
2010年02月05日 (金) 掲載
東京のギャラリーは入れ替わりが早い。見方によっては、東京ならではのスピード感があるとも言えるが、同時に非常に残念なことでもある。その理由は、短期間でのリース契約、街の開発事業における立ち退き、ギャラリー拡大に向けての移転など様々だ。評論家や出版社の「東京のアートマップを作成する」という意向には沿わず、ギャラリー側は次々と変わるロケーションでギャラリーを軌道に乗せることに精一杯だ。
東京にはアート専門のエリアがないため、ギャラリー街に一日費やして疲労困憊することは少なく、何かのついでに立ち寄れる気軽さがある。この形により、アート好きの人々の生活には自然とギャラリーが溶け込んでいる。また、あちこちに散在している東京のギャラリーを目的にすることで、普段は行かないような東京のスポットへと足を運ぶチャンスにもなる。
2009年5月、裏原宿にオープンしたイベントスペース。「アートを通じて人々に出会いを提供し、アイデア交換をする場にしたい」との思いから、単なるイベントスペースとしてではなく、アートギャラリーとしての機能も併せ持つ。運営しているNo Ideaの永井は、「Vacant のミッションはアートを人々の日常生活の一部にすることです」と話す。アート展示の他、ブックフェア、蚤の市、演劇、ライブなどのイベントが開催される。この場所の特別な魅力のせいか、自然とインディースピリット溢れる好企画が多く開催されている。東京のカルチャーシーンを先取りしたい人は、ここでのイベントや企画をチェックすると間違いない。特にイベントが無い時も1階のスペースは通常営業していることが多いので、気軽に立ち寄ってアートや飲食が楽しめる。
住所:東京都渋谷区神宮前3-20-13
電話番号:03-6459-2962
時間:13時00分から22時00分
定休日:月曜
ウェブ:www.n0idea.com/
2005年に渋谷の地下にできて以来、Nanzuka Undergroundは渋谷にあることと、活気のある雰囲気を持つことから、アートというよりは、ストリート文化やクラブにより近い存在として知られてきた。“Underground”とは地下にあるからというだけではなく、「単なる美術品だけではないオリジナリティのある作品を求める」というオーナー南塚の思いも含まれている。2009年4月、Nanzuka Undergroundは新しく開発された白金アートコンプレックスに移転した。この移転により、Nanzuka Undergroundはアート業界の異端児とは見られなくなったものの、南塚は渋谷にあった“柔軟性がありリミットのない若者の観点”が失われたことを嘆いている。しかし、白金アートコンプレックスのビルには、山本現代ギャラリーや児玉ギャラリーも入っており、訪れる者は3つのギャラリーをまとめて楽しめるという利点もある。
住所:東京都港区白金3-1-15 白金アートコンプレックス2階
電話:03-6459-3130
時間:11時00分から19時00分
定休日:祝日
ウェブ:nug.jp/
オーナーの三潴末雄は、日本を大事にする日本人アーティストに目を向けている。アーティストは、海外の客にアピールするため、日本という“概念境界”を持つべきだと三潴は言う。実際、彼の集めたアーティストは多岐に渡り、最近の展示会では、青山悟のまるで写真のような刺繍作品、宮永愛子のナフタリンでかたどったオブジェ、天明屋尚の“ネオ日本画”などが展示された。2002年より中目黒の廃屋にもギャラリーをオープンしており、最近は、マイアミから釜山まで、あちこちのアートフェアに顔を出している。2009年11月には、市ヶ谷に新しいギャラリーをオープン。6メートルの高さの天井は“壮大な施設”という概念にぴったりで、「建物内に何が入っているのか想像しやすい」と三潴は言う。一方、若く知名度の低いアーティストのための展示スペースである中目黒のミヅマ・アクションは、2011年までオープンの予定。
住所:東京都新宿区市谷田町3-13 神楽ビル2階
電話:03-3268-2500
時間:11時00分から19時00分
定休日:日曜、月曜、祝日
ウェブ:mizuma-art.co.jp/
ミヅマ・アクションから歩いて行くと、その名の通りの青山|目黒に行くことができる。ガラス張りの建物で、歩行者は建物内の展示品やオフィスを見ることができる。2004年、自宅アパートに青山|目黒をオープンした青山英樹は、2007年夏にギャラリーを現在の中目黒へと移転。以前は配送会社のオフィスであったという同ギャラリーは、漸進的なスキーマ建築計画によるデザイン。“happa”という総称で、2つの展示会やジョイント展示会などが開催されている。実はミヅマアートギャラリーで数年間働いていたことのある青山は、“潤沢なアイディア”を持つアーティストを探しているため、青山|目黒の展示会はコンセプチュアルアート中心になることが多い。ほぼ常時行われている田中功起、佐藤純也、ロッテ・ライオンらの展示会は必見。青山|目黒は、2004年に7つのギャラリーが結成したNew Tokyo Contemporariesの創立メンバーでもある。
住所:東京都目黒区上目黒2-30-6
電話:03-3711-4099
時間:11時00分から19時00分
定休日:日曜、祝日
ウェブ:www.aoyamahideki.com/
森美術館、サントリー美術館、国立新美術館からなる六本木アート・トライアングル近くに、タケニナガワのアートギャラリーはある。大通りを少し外れた静かな場所にあるものの、六本木や麻布十番まで歩いて行ける距離だ。蜷川敦子が2007年末に開廊したこの新鋭ギャラリーは、マイアミで行われたNADA(ニューアートディーラーアライアンス)や、国内アートフェアに積極的に参加。ギャラリーでは、カラフルで遊び心のある河井美咲などの若手日本人アーティストをはじめ、2008年からは大竹伸朗の新作を展示している。大竹は既にアート界で活躍しており、直島で更地を探して一から作り上げた、実際に入湯できる美術施設『I♥湯』で注目を集めている。タケニナガワは、青山|目黒、アラタニウラノ、ゼンシ、Misako & Rosen、無人島プロダクション、ユカササハラギャラリーらと共にNew Tokyo Contemporariesの創立メンバーでもある。
住所:東京都港区東麻布2-12-4
電話:03-5571-5844
時間:11時00分から19時00分
定休日;日曜、月曜、祝日
ウェブ:www.takeninagawa.com/
流行の影響や物理的な面から、都内の多くのギャラリーが現れては消える中、清澄白河コンプレックスは、現代アートを見るには一番堅実で効率的な場所と言える。ビルの6階の半分と7階を占める小山登美夫ギャラリーでは、奈良美智や蜷川実花などの有名な日本人アーティストの作品を見ることができる。タカ・イシイギャラリーには、森山大道や荒木経惟の写真家のほか、シュウゴアーツの新鋭アーティストの作品が展示されており、またヒロミヨシイ・ギャラリーも同ビル内に入っている。銀座にあるTKGエディションズでは、小山登美夫ギャラリーのアートグッズを購入することも可能だ。
住所:東京都中央区銀座1-22-13
電話:03-5250-1561
時間:11時30分から19時00分
定休日:日曜、月曜、祝日
ウェブ:www.tomiokoyamagallery.com/tkgeabout_en/
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