2010年01月06日 (水) 掲載
ミシュランのお膝元、フランスはニースで4年連続一つ星を獲得し、ニューズウィークの"世界が尊敬する日本人100人"にも選ばれたシェフ、松嶋啓介は、昨年、原宿の東郷神社敷地内にフレンチレストラン『レストラン アイ』をプロデュースした。『レストラン アイ』のバー『Rendez-Vous』では、国内外で数多くの賞を受賞し、常にグラフィックデザイン&アートの先端を走る、川上俊の作品展示が行われている。川上俊は、東京をベースに活動するビジュアルデザインチーム『artless inc.』の代表で、アートディレクター、グラフィックデザイナーとして活躍している人だ。松嶋、川上はともに1977年生まれ、原宿を拠点としながらも世界に飛び出し、果敢に挑戦を続けているという共通点があるという。この2人のサムライ達は、どこで出会い、何を思い、今回のこの展示を実現させたのか。その経緯を松嶋が、熱く語ってくれた。
TOT:なぜ、レストランのバーに、アート作品を展示しようと思ったんですか?
松嶋:ニース周辺のレストランでは、店内にアートを飾る事が頻繁に行なわれていて、そして歴史があります。レストランが芸術家を育てたという雰囲気もあります。
サンポールという街、ニース、カンヌ、エズ、ヴァンスなどでは、画家たちはレストランに絵を置いて、その絵が売れたお金で生計を立てていたという話も聞きます。
ある一定レベル以上のレストランには、感性の高い人たちが集まります。なので、レストランに飾っていろんな人に日本の若いアーティストの才能を見てもらいたい。そう思ったから飾りました。芸術家は育てる物です、シェフも同じようにお客から育てられます。
僕は東郷神社からチャンスを頂き、こういう場所で仕事をできています。同じように若い僕らの世代にも人に見てもらうチャンスを作ってあげたいとも思っています。
TOT:なぜ川上俊さんの作品を選ばれたのでしょうか?
松嶋:彼の作品がとても日本を意識していたからです。日本人らしさをとても理解していると思いました。 世界で戦うぞ、という魂も感じました。 彼の作品の魅力は、日本のアイデンティティをうまく使っている点!! 海外からみた日本という演出がされていることですね。
TOT:松嶋さんと川上さん、2人に共通する部分は何ですか?
松嶋:世界で戦う日本人! 日本を誇りに思っています。共通の友人がいて、僕と同じ77年生まれだということで紹介してもらいました。意識しているところが同じ海外だったので、すぐ意気投合でした。
TOT:食とアートの親和性、そして、相乗効果はどのように生まれると思いますか?
松嶋:センスと味は同じだと思います。 なので、交わる事でいろんな事を感じ合い、お互い良い刺激を受けると思っています。
アートにはその背景の世界観があります。 僕ら77年生まれはロストジェネレーションなど言われていますが……実はそんな事あまり気にしていません。 日本を見渡してもチャンスがない…だったら海外で勝負しよう、その為の思いがアートや料理には込められていると僕は思っています。
TOT:川上さんのアートと相性の良いお酒は?
松嶋:日本のワインでしょうか??
TOT:レストランアイでこの時期一番おすすめのメニューは?
松嶋:冬野菜を使った料理!今はいろんな根菜があります。
TOT:寅年なので、最後に、ひとこと、ほえてください。
松嶋:がるるるるーーーーー
ではなく、新しい事にチャレンジして新しい価値を生む事!! 最初は白い目で見られる事も…結果を出す、誰かに評価されれば…それがあたらしい価値になるはずです。 こういう時代だからこそ、今までなかった事を創造して行きたいです。とは言っても全てが創造された世の中、価値の再発見になると思います。 いろんな事に気づきたいです。
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2010年1月23日(土)には、『レストランアイ』のバー『Rendez-Vous』にて、松嶋啓介と川上俊による、アートと食についての対談が開催される。参加費は5,000円。問い合わせは、『レストランアイ』03-5772-2091まで。
松嶋啓介(写真左)
2001年、20歳で渡仏。各地で修業を重ねた後、25歳の誕生日に、フランス・ニースに「Restaurant Kei's
Passion」をオープンした。開店から3年目となる2006年に、日本人最年少でフランス・ミシュランガイドで
1つ星を獲得。その後、店名を「KEISUKE
MATSUSHIMA」に改め、拡大オープン。2010年まで、4年連続で星を獲得している。2009年には、原宿に『レストラン
アイ』をプロデュースした。ニューズウィークの"世界が尊敬する日本人100人"にも選ばれている。
川上俊(写真右)
artless Inc.代表。グラフィックデザイン、アートディレクション、ブランディング、インタラクティブ、映像、インスタレーション、空間演出など、ジャンルやカテゴリーに縛られず、広い視野でデザインを考え、幅広く活動している。また、国内外でのエキシビションやプロジェクトの参加及びキュレーション、各メディアへアートワークの出品など精力的にアーティスト活動も行い、その評価はいずれも高い。NY ADC賞、One Show、グッドデザイン賞、東京インタラクティブ・アド・アワード等を受賞。
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