至極の音、アリストホールオープン

トップエンド・オーディオ機器を集めたサロンの地下に、ホールが完成

Read this in English

グラモフォンやデッカの蓄音機といったヴィンテージから、ドイツ・アヴァンギャルド社のTrio+Basshornなど最新の超ハイエンドを揃える、南青山のオーディオサロン『アリストクラト』の地下に、105人を収容するコンサートサロン『アリストホール』がオープンした。オーナーは、『アリストクラト』を運営する倉田泰輝。自身の引っ越しで、新しい家の空いたスペースに置くオーディオを購入したことをきっかけに、オーディオの世界へとのめりこんでいったという。そんな倉田が、ついにクラシックの生演奏を“最高の音”で楽しめるホールを完成させた。ブルーノート東京や、BODY&SOULなど、さまざまな音楽ヴェニューが集まる南青山エリアを、さらに“いい音”の溢れる街として活性化させたいという倉田に、ホールについて話を聞いた。

どうしてこのようなホールを作ろうと思われたのですか?

倉田:友人のクラシックの演奏家たちが、ふらっとやって来てリサイタルがひらけるようなホールがないというのが理由のひとつです。それから、子どもたちに、“いい音”でクラシックに触れてほしいというのが、もうひとつの理由です。

具体的に、子どもたちが“いい音”のクラシックに触れ合えるイベントを企画しているのですか?

倉田:N響の若手ミュージシャンの方々に、リサイタルを開催する場や経験を提供する代わりに、子どもたちが本物の音楽に触れ合える場を提供してもらうことになっています。ミュージシャンにとっても、ソリストとして演奏することがプラスになると思うし、いろんな相乗効果が生まれれば良いと思っています。

リサイタルには、いくつくらいの子から来られるのですか?

倉田:始めは3年生くらいからと思っているのですが、1年生から来てもらっても良いと思っています。子ども向けのコンサートにも、ここ何年か通っているのですが、ぐぐっとこないんですよ。プレイヤーたちは、演奏しながら、子どもも大人も変わらない、って言うんですが、ぐぐっとこない。やっぱり、子どもが聴いている時は、本当に気合い入れてやってもらわないとダメだと思うんです。すでに音楽を好きになった人間だったら、聴きに来て、これは良いとかダメだとか言えるけど、子どもは、初めて聴く体験がすべてになってしまうかもしれないから。音楽教育の欠陥というのかな。本当に良いものを聴いていれば、豊かに音楽を受け入れられるようになると思いますよ。

ホールには105人は入れるんですよね?

倉田:そうです。105人です。子どもたちのピアノの発表会などにも使えるサイズですよ。そんな風に利用してもらえたら嬉しいですね。ただ、105人って言っても、通常のホールだと、ひとつの腕おきを2人で使いますけれど、ここでは十分に余裕をもって椅子を配置しているので、補助椅子を出せば、もっと座れますよ。贅沢にスペースを使っています。

このホールを作るのに、一体どれくらいの予算をかけたのですか?

倉田:5000万円くらいでしょうか。スピーカーは、サロンにもあるドイツ・アヴァンギャルドの少し小ぶりなのを使って、アンプはトーストが焼けるくらいの、エコ反対派(笑)なものを使っています。音は、生演奏やライブだけではなく、レコードやCDの音も聴けるように調整しています。

10月以降、倉田が厳選したミュージシャンによるコンサートが予定されている。ぜひ、足を運んでほしい。


元ベルリンフィルコンサートマスター レオン・シュピラーとN響の仲間たち

2010年10月21日(木)
詳しい情報はこちら

テキスト 東谷彰子
撮影 道辻麻依
※掲載されている情報は公開当時のものです。

この記事へのつぶやき

コメント

Copyright © 2014 Time Out Tokyo