ジブリル・シセと松嶋啓介が巡る原宿

サッカー界のファッショニスタ、ジブリル・シセが選ぶ原宿ショップ5選

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ジブリル・シセと松嶋啓介が巡る原宿

プライベートで妻・ジュードと共に日本を訪れたフランスサッカー界のスーパースター、ジブリル・シセ。タイムアウトカフェ&ダイナーでのパブリックビューイングに参加したことも記憶に新しいところだが、実はその前に彼が訪れていたのは東京ファッションの聖地、原宿。ロングフライトで日本に到着した翌日にも関わらず、疲れも感じさせずに朝10時から夕方までの原宿ショッピングクルーズを敢行した。「日韓ワールドカップの時を含めて日本は3回目だけど、東京は初めて」と言う彼をナビゲートしたのは、彼の友人でもあり、ニースに構える自身のレストランが5年連続でミシュランの一つ星を獲得した松嶋啓介。共にフランスを代表する2人の、気ままな原宿ショッピングクルーズをお届けする。

朝10時、松嶋が原宿に構えるレストラン『レストラン アイ』で待ち合わせ。シセは、カジュアルなチェックのシャツに、インナーは黒のリブタンクトップ、『Jeremy Scott』のスウェットパンツ、同じく『Jeremy Scott』×『Adidas Originals』の羽の生えたスニーカー、『Cazal』のサングラスで登場。見るからに間違いなくファッションアディクトな彼がまず訪れたのが、『BAPE STORE(R) 原宿』。

BAPE STORE(R) 原宿

シセと『A BATHING APE(R)』との出会いは、彼がロンドンのリーグでプレイをしていた時。「ロンドンにBAPE STOREがあるからよく行ってたんだ。ロンドンにもニューヨークにもお店はあるけど小さいし、パリだと『Colette』に入っているくらい。さすが東京のショップは大きくていいね」。松嶋は、「ヨーロッパのブラックの人達は、みんなわりとHip Hopが好きなんですよ。その流れで『A BATHING APE(R)』もすごく人気がありますね」と話す。

『Wonderwall』の片山正通が手掛けたという内装は、アメリカンダイナーをイメージ。2階から3階へ上がる階段の脇には、BAPEのマークを象ったテーブルを配している。それを見たシセは、「あのテーブルは売ってないの?あれが欲しいんだけど!」と早速スーパースターぶりを発揮。困り気味のショップスタッフをよそに3階へ上がると、カウンター奥にあるマネキンに掛けてあったEFFECTOR BY NIGOのメガネをうれしそうに試着。大のサングラス好きなんだそう。それ以外の服はほとんど試着もせずに、一番大きいサイズを購入。ソックスやハンチングなどの小物から『RIMOWA』のゴールドスーツケースまで、合計11点、22万1970円のショッピングを楽しんだ。

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GO SLOW

原宿の裏通りに並ぶショーウインドウに目を奪われながら北へ進み、次にシセがロックオンしたショップは『GO SLOW』。先に原宿にあった『Tools Infinity』の系列店として5年前にオープンしたこのショップは、セレクトとオリジナルブランドを織り交ぜた、アメリカンカジュアルを取り扱う。

「通りに出してあったパンツがとても気になったんだ」と話すシセが手に取るのは、ここのオリジナルブランドである『Gargoyle』のサルエルパンツ。シルエットが美しい8分丈のサルエルパンツは、毎年登場する定番アイテムでバリエーションも豊富。

その他、『SLOW WEAR LION』のブーツや、『Ben Sherman』のパナマハットなどを手に取るものの、彼に合うサイズが欠けていたりで断念。結局そのサルエルパンツを柄違い、素材違いで7本購入して店を後にした。お買い上げ金額は、4万320円。

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International Garelly BEAMS

続いて向かったのは、松嶋がシセにレコメンドした『International Gallery BEAMS』。日本を代表するセレクトショップ『BEAMS』の中でも、国内外のデザイナーズブランドが多く揃い、ラグジュアリーなブランドも取り扱うハイセンスなセレクトが魅力的なショップだ。松嶋自身も、この日の数日後に『BEAMS』の代表取締役である設楽洋と雑誌で対談をするとのこと。個人的にも交流のあるこのショップをシセに紹介したというわけだ。

まずは、地下1階のレディスフロアで、シセの妻・ジュードがお買い物。『dolce vita』のショートブーツを試着するも、サイズが合わずに断念。その後、大好きだという『MARC JACOBS』にはしゃぎ、『GIVENCHY』のボーダータンクトップを手に取る。シセは「奥さんの買い物に付き合うのは好きだよ」と話しながらも、妻の手に取った物はさりげなく値段をチェック。「自分の服は、ばんばん買うのに、奥さんの買い物は値段を見るの!?」と松嶋の笑いを誘っていた。

その後、2階のメンズフロアに移動。ここでもまた、怪物シセの豪快な大人買いがスタート。広いフロアを隅々までチェックし、気に入ったアイテムの一番大きいサイズを注文すると、試着もせずにお買い上げ。レジカウンターには、シセが選んだ商品が次々と運ばれて山を作っていく。彼が手に取ったのは、ドメスティックブランド『Psycho Bunny』のポロシャツやゴルフパンツ、ロンドンの気鋭ブランド『GARETH PUGH』のTシャツ。どうやら気に入った物はまとめ買いが彼のセオリーのようで、それぞれ色違い、柄違いで2点、3点とまとめて購入する。

「服を選ぶ時にブランドは気にしない。単純に物だけを見て選んでるんだ。この赤のチェックのシャツも欲しいんだけど、赤は敵のチームカラー(ギリシャ・スーパーリーグのオリンピアコス)だから着られないんだよ。着てるとチームメイトに怒られるから(笑)」。

ブランドの価値に捕らわれず、自分の価値観だけで服を選ぶという、いかにもファッショニスタなシセ。どうやらアニマルモチーフやスタッズがお気に入りのようで、妻に否定されながらも自分の価値観重視で次々と手に取り、合計14点をお買い上げ。セール中だったこともあって、合計金額は35万9184円でここでのお買い物は終了。

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LACOSTE BOUTIQUE 原宿オリンピアアネックス店

松嶋の『レストラン アイ』に戻り、ゆったりランチを楽しんだ後は、神宮前交差点の角にある『LACOSTE』へ。シセの母国フランスのブランドだが、彼のお目当てはジャパニーズ・プロダクト。世界中で展開するこのブランドは、地域ごとに別企画でエリア限定のアイテムを展開している。

まずは、鮮やかなカラーが美しいパープルのポロシャツを試着。同じく鮮やかなグリーン(シセの所属するパナシナイコスのチームカラーはグリーン)のポロシャツも試着し、両方とも購入を決定。ジュードはその間にニットキャップを手に取るも、ややサイズが合わず残念そうに戻していた。一方、シセは気に入ったというベレーを色違いで3点購入、さらに首元にさりげなくトリコロールカラーがあしらわれた、日本限定のポロシャツもプラスし合計7点、7万4445円の大人買い。

ずっとシセのナビゲートに徹していた松嶋も、やっと1点シンプルなポロシャツをお買い上げ。最後に、レジ奥の壁に貼られた『LACOSTE』のポスターにサインをして、店を出る。テニスラケットを持った創始者ルネ・ラコステのヴィジュアルに(LACOSTEはテニスウェア発祥のブランドなので当然なのだが)、サッカープレイヤーのサインということを考えて見れば、なかなかシュールな面白さがある。ぜひ、ショップを訪れて一度確認してもらいたい。

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ラフォーレ 原宿

そのまま、表参道を渡った向かいにあるラフォーレ原宿へ。シセも妻・ジュードも、初めから「必ず行きたい」と挙げていたショップの1つだ。ドメスティックからデザイナーズブランド、国内外のセレクトショップが軒を連ねるこのファッションビルは、東京ファッションの縮図とも言える。海外にはデパートは存在するものの、このような日本のファッションビルに相当する物はあまり見かけない。その存在自体が日本的であり、外国人には新鮮に映るのかもしれない。

まずは、明治通りに面している『Kitson studio』で、今度はジュードがお買い物。ジュードはさっきからフリンジのアイテムが気になるようで、似たタイプのフリンジトップスをいくつか手に取っていたが、ここでやっと1着購入。   ラフォーレを奥へと進んでいき、1階のサングラスショップ『C.C. COUNTRY』で足を止める。大のサングラス好きというシセ、『Cazal』からスパイダーマンフォルムのサングラスまでジュードと試着を楽しんだ後、『SABRE』と『Jeremy Scott』の物を1点ずつ購入。数えられない程だという彼のサングラスコレクションに、また新入り2点が加わった瞬間。

階段を2階へ上がり、次に入ったのは『DOUBLE STANDARD CLOTHING PARADOX』。メンズとレディスを共に扱うこのショップで、シセはバンドジャケットを数点試着。2009年の秋冬から人気が継続しているこのジャケット、ショップのオリジナルブランド『D/him』では、デニムやコットンサテンなど、素材やデザインのバリエーションが豊富に揃っている。BEATLESの衣装ばりのデコラティブなデザインは、ファッション上級者以外は手を出しにくいなかなか難易度の高いアイテム。シセのファッショニスタぶりはここでも発揮され、それらを何なく着こなしていた。どれも似合っていたのだか、この日だけでも数回見た光景、「トープチ」と言って残念そうに少し落ち込むシセ。too petit=too small、そのまま小さ過ぎるということなのだが、ただでさえ比較的小柄な日本人に合わせられたサイジングは、外国人でしかもアスリートという彼の体にはなかなかフィットしない。しかし、そのジャケットはとても気に入った様子で「他で見付からなかったら、また戻ってくる!」と言い残し、シセに気付いた外国人ファンと談笑を始めた。

メンズとレディスのフロア構成がほぼ半分で構成されているこのショップは、ジュードも居心地がよかったようで、彼女もショッピングを満喫。『Kitson studio』ですでに購入したフリンジトップスによく似たアイテムを発見し、買うのを悩んでいるところをシセに相談すると、「それも買えばいいんじゃない?」との返事が。器の大きなスーパースターの大船に乗り込み、またもフリンジトップスを購入、他にもダメージスウェットトップス、カーゴパンツを買って合計3万4860円。ここまでほとんどシセの買い物に付き合っていた感じのジュードも、満足そうに店を後にした。

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サッカー界のファッショニスタ、ジブリル・シセ。街ごと買ってしまうのではないかという勢いで買い物をしていたが、「原宿での買い物は楽しい。明日も来たい」と、満足げな笑顔を浮かべ、1日を締めくくった。

テキスト ERI IMAMURA
撮影 菊池良助
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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