2015年05月01日 (金) 掲載
1960年代からの幾度かのブームを経て、讃岐うどんは今やうどんの代表格と言える存在に成長した。東京でもセルフ式のチェーン店が増え、どこでも讃岐うどんを食べられるようになった。もちろん、本場の味を知る香川出身者やうどん通が「讃岐うどん」と認めるかは別の話だが、そんな彼らをも唸らせる名店が東京には確かに存在する。本場と言ってもうどん店が800店以上あるとも言われる香川。讃岐うどんに何を求めるかも人それぞれだ。ここでは本場の名店の味をストイックに追求する店から、関東風との融合をはかる店まで個性豊かな15軒を紹介。いかに本場に近いか、ではなく美味しいかどうかの基準でセレクトしているので、賛否はあるかもしれないが、このガイドを基にうどん愛を語り合ってほしい。
神田にある行列必至のうどん店は、香川の超有名店、山越(やまごえ)うどんにルーツを持つ。綺麗に折りたたまれた麺は、コシがあってもちもち、出汁は非常に優しい味わいで、香川のうどんを食べ歩いた人でも、東京でこれほどの讃岐うどんを食べれるとはと驚くほどのクオリティ。大きなテーブルがずらりと並んだ食堂のような店内も雰囲気十分。場所柄か来店客はサラリーマンや学生が多いが、女性が1人で入っても気にならないだろう。ランチタイムはいつも行列だが、比較的回転が速いので恐れずにトライするべし。写真:『かけ(冷)』(400円)、『上天』(120円)、『ちくわ天』(160円)
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人形町の谷やの店長である谷は香川出身で、高松の名店もり家で、8年間修行を積み店をオープン。店に入るとすぐのところに麺打ち台が置かれ、ガラス越しにうどんを打つ様子を眺めることができる。毎朝足踏みして仕込まれるうどんは、コシがしっかりあり、4時間かけて作られる無添加の出汁は、薄味ながら素材の味がしっかりといきている。天ぷらは注文を受けてから、揚げるためさくさく。野菜がたっぷり入った大きなかき揚げがおすすめだ。写真:『ぶっかけうどん かき揚げ』(850円)
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ちょうさでは、うどんに使用する小麦粉を100%国内産にこだわり、2種類を季節や天候に応じブレンドして使用。一晩熟成させることでもっちりとした食感を引き出している。メニューは豊富だが、はじめは『かけ』(480円)で出汁をしっかり味わってほしい。瀬戸内海産のいりこを中心に、真昆布などをあわせることで、豊かでやさしい味わいに仕上がっている。天ぷらも、『海老じゃこ天』や、『いいだこ』(各230円)をはじめ、讃岐直送のメニューが揃う。うどんは、無料で大盛りにできるのも嬉しい。
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こくわがたの店主は五反田のおにやんま出身。同じく立ち食いスタイルだが、麺の印象はかなり異なる。手打ち、手切りで仕上げたがっしりとした麺は強い歯ごたえがあり、若干の太さのムラにより、さらに強いインパクトを受ける。麺を楽しむため、はじめは『しょうゆうどん』などシンプルなものがおすすめだ。じゃこ天が入った愛媛、四万十海苔が入った高知など、四国の各県の名産を取り入れたメニューも面白い。『徳島地鶏ささみ天すだちしょうゆうどん』(大660円)は、大きく、柔らかいささみ天が乗った豪快な一品だ。
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狭いながらも落ち着いた雰囲気の根の津は、行列ができる人気店。今はなき銀座の名店、さか田で修行を積んだ店主が作る麺は、水を多く加えた長期熟成の手法をとっており、もちっとした食感と滑らかな喉越しを両立させている。人気メニューは温かいうどんと冷たいうどんが1.5人前づつ楽しめる『温・冷二種うどん』。うどんの魅力を余す所なく味わえ、870円とお得。釜あげのうどんに明太子とバターを絡めた変わり種『釜めんたいバター』もおすすめだ。
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新宿の慎では、もっちりとしたうどんの食感を堪能するべく『かしわ天ざる』(950円)を注文してほしい。注文を受けてから切る麺は美しく盛りつけられ、端正で艶やか。たくさん食べたければ無料の大盛りサービスを利用しよう。つゆは、いりこではなく、削り節と昆布の出汁を主にした関西風で、薄味で上品な仕上がり。さっくり揚がったかしわ天は、柔らかくジューシーだ。きれいなできたてを出すために提供されるまで時間がかかることもあるので、ゆったりとした気持ちで来店しよう。
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香川の山田家で修行した店主による本場の味を楽しめる蔵之介。2種類の国内産小麦をブレンドした、もっちりとしていながらしなやかな麺は、うどん通も唸るほど。出汁は冷温2種作り、香川伊吹産のいりこを中心に、讃岐の醤油で仕上げている。まず食べてほしいのが『讃岐ぶっかけうどん』(700円)。薬味やつゆは別で提供されるので、そのまま食べれば小麦の香りをしっかりと感じることができるだろう。付け合わせの天ぷらは半熟玉子、ちくわ、かしわの3種が食べられる『讃岐天』(450円、ランチはうどんとセットで200円引き)を是非。途中で玉子を崩し、とろりとした黄身をうどんに絡めるのも良いだろう。出汁が効きさらりとしたつゆの『カレーうどん』もファンが多い。
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錦糸町にある讃岐うどんの専門店。うどん生地には、福生の田村酒造場の仕込み水である、秩父奥多摩の伏流水を使用。角ばった麺は小麦を感じる固めの食感で、温かい出汁の中でもしっかりとした存在感。『かけうどん』は、うどん出汁ともに熱い「あつあつ」、出汁のみが熱い「ひやあつ」、両方が冷たい「ひやひや」が選べる。『しょうゆうどんセット』は、冷たいうどんの食感がシンプルに味わえる『しょうゆうどん』と『かけうどん』が少しずつ楽しめおすすめ。各100円の天ぷらは『とり天』や、『ちくわ』など、オーソドックスなものもあるが、名物は『こんぶ』。結ばれた一口サイズの昆布は甘めの味付けで、とろりとした食感が後を引く。
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四ツ木から徒歩13分のところにある賞讃の店舗は簡素な造りだが、讃岐でよく見かけるセルフ式の店のような雰囲気で、期待が高まる。『ぶっかけ元気玉』(550円)は、たっぷりの大根おろし、ねぎ、わかめ、天かす、温泉玉子が乗った同店の一番人気。強い弾力の麺は伸びがよく、ボリュームも十分。つゆが濃いめで関東風なのもユニークだ。途中で卓上にある特製の唐辛子を少量加えても美味しい。アクセスは決して良いとは言えないが、季節限定のメニューも多く、太めの麺の日なども設けられているので、何度も訪れて色々試してみたい。
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立ち食いの人気店おにやんまは、五反田駅前という立地ながら一番ベーシックなメニュー『温かけ』が280円という本場並の低価格。ランチタイムは行列必須だが、回転率も良いので、列のわりに早く食べられるだろう。狭い調理場を取り囲むような配置のカウンターは独特の緊張感が漂う。つるんとした麺と、透き通った薄味の出汁からは、立ち食いながら丁寧な仕事ぶりが感じられる。天ぷらは揚げても揚げても次々になくなっていくので常に揚げたて。下味がしっかりと付いたじゅわっと柔らかなとり天はこの店の一番人気だ。写真:『とり天ぶっかけ』(大490円)
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学芸大学のうどん恩家は11時から14時までの3時間しか店を開けず、営業時間であっても麺がなくなると閉店してしまう。行列ができることも多く、席の数も少ないが、心地よい接客で落ち着いて食事が楽しめる。出汁は、いりこの香りが強く立つが、まろやかで上品。小麦が香るぷりっと滑らかな麺は、かけでも食感が損なわれることはない。注文が入ってから揚げる天ぷらもクオリティが高く、種類豊富。ちくわはもちろんのこと、もちや半熟玉子もうどんとの相性が良くおすすめだ。写真:『冷かけ』(500円)、『ちくわ』(100円)
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四国屋は、讃岐うどんがまだ一般的でない1962年から東京で讃岐うどんを提供し続けている。天ぷらや、肉が乗ったものなど、メニューは実に豊富だが、なかでも『肉きざみうどん』(950円)は、忌野清志郎もこよなく愛したという人気メニュー。大きめにカットされた油あげ、ネギ、肉がいりこベースのスープにたっぷり入り、具材の甘みがスープにも溶け出している。たっぷりと入った麺はコシもあるが比較的柔らかめで、ほっとする味わいだ。
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香川の名店、宮武うどんで修行を積んだ店主が営むいわいでは、本家にならい、かけうどんを麺と出汁の両方が熱い「あつあつ」、同じく両方が冷たい「ひやひや」のほか、冷たく締めた麺に熱い出汁をかけた「ひやあつ」でも食べることができる。しっかりと茹でられた麺は、なめらかさとコシが両立しており、いりこと昆布ベースの出汁はすっきりとクリアな印象。並盛300円からと本場のようなリーズナブルな価格設定も魅力。揚げたての天ぷらは、ポン酢でさっぱりと食べられる『とり天おろしポン酢』(300円)がおすすめ。キムチが添えられているのもユニークだ。
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赤羽の住宅街の中にある手打ちうどん すみた。開店前から行列ができるほどの人気ぶりで、売り切れで早く店を閉めてしまうこともしばしば。その中でも一番人気があるのが『かしわおろしぶっかけ』(800円)だ。うどんは心地よいコシで、胡椒の効いたかしわ天は、あっさりとしながらも肉の味を堪能できる。大根おろし、白ごま、刻み海苔、万能ネギのトッピングと出汁の相性も抜群。こっくりした味わいの出汁でよく煮込まれた讃岐風おでんもあわせて楽しみたい。
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夫婦が切り盛りする八王子のあらた。店主は香川の名店もり家で修行を積んだ本格派だ。うどんは注文が入ってから打ち、時間をかけ茹でるため、提供まで少し待つことになるが、伸びがよくほどよい弾力の麺からは、店主の真摯な仕事ぶりが感じられる。うどんとセットにできる天ぷらは、鶏と季節の野菜が入り、こちらも揚げたて。かけ、ぶっかけともに熱いもの、冷たいものが選べるが、おすすめは、うどんの味わいをいかす薄口の出汁がたっぷりかかった『冷ぶっかけ天』(770円)。炊き込みご飯のついたセットメニューも人気だ。
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