インタビュー:『SHERLOCK 3(シャーロック 3)』

ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマンと脚本家のスティーブン・モファットが語る『SHERLOCK(シャーロック)』最新シリーズ

インタビュー:『SHERLOCK 3(シャーロック 3)』

世界的に話題を呼んでいる英国のテレビドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』の最新シリーズが、2014年5月24日からNHK BSプレミアムで、いよいよ日本でも放送が開始される。本国では今年の元旦に放送されるやいなや大変な反響を呼んだようで、シャーロックを演じる主演のベネディクト・カンバーバッチの人気も、今や国民的と言えるまでに沸騰しているようだ。昨年、英国での放送を前に、タイムアウトロンドンがカンバーバッチ、ワトソンを演じるマーティン・フリーマン、脚本家のスティーブン・モファットとマーク・ゲイティス(シャーロックの兄役も演じている)の4人にインタビューした記事を紹介しよう。


転落したホームズはどうやって助かったのですか?

ベネディクト・カンバーバッチ:みんなどう反応するのか怖いね。がっかりする人もいれば、びっくりする人もいるだろうな。

スティーブン・モファット:ロンドンの大半の人が、その種明かしの撮影を見ていたよ。これはトリックのあるマジックで、時にはトリックよりもマジックの方が面白いこともある。理屈はちゃんと通っていて、うまくできてるけど、地面に向かって転落している時、それを回避する方法なんてそうたくさんはない。コウモリに変身できるわけでもないしね。手加減なく、君たちを欺かせてもらうよ。

ホームズとワトソンはどのように再会を?

マーティン・フリーマン:ワトソンからしたらホームズはもう亡き人。マリー・モースタンという女性に出会って恋に落ち、結婚したいと思っている。彼は自分自身の人生を歩んでいるんだ。ホームズが再び目の前に現れたことによって、ワトソンは戦場でしか経験できないような狂気と興奮状態を思い起こす。戦場はホームズほど愉快ではないが、とにかくワトソンは激しい苛立ちを覚えるんだよ。

カンバーバッチ:ホームズは2年間も姿を消していて、人との付き合い方、とくに親友のワトソンやロンドンの街に対してぎごちなさを感じている。いつもの調子が出なくてね。見て行くうちになぜ彼がそうなったのがわかる。マルチメディアやポップカルチャーへ対するホームズの反応は愉快だけど、彼の身の上に起きた顛末を理解するのが実に面白い。

スティーブンに「一体どうしてこうなったわけ?」ってまず僕が聞いたんだよ。そしたらスティーブンは「どういう意味?だって、ホームズは天才じゃないか!」って。でも僕としては、自閉症やアスペルガーの延長線上で彼の性格をただの天才と表現するのは安易だと思った。それはあまりにも怠慢だよね。

マーク・ゲイティス:感動的な場面がたくさんあるんだ。2人の再会場面はぞくっとくるね。原作の『空っぽの家』では、ホームズが変装して戻ってきて、その姿を見たワトソンが気を失う。彼は一瞬怒るけど、すぐにホームズを許す。僕らは前から、この部分をもっと波風立てた方が面白いと思ってたんだよ。

熱狂的なファンも多いですが?

フリーマン:『ゴーワー街』を撮影している時は、ロックコンサートみたいだったな。どんな仕事だって、19歳の若い子達が400人も押し寄せたらはかどらないよね。でも(ファンから)プレゼントをたくさんもらったんだよ!僕の名前が韓国語で書かれた、大きなメタルピースももらった。なかなかきれいだったから、自分のガレージに飾ってあるよ。

モファット:ホームズが女子高生にキャーキャー言われるロックスターみたいになるのは予想外だった。

フリーマン:気を付けなきゃならないのは、視聴者が見たいと思っている演技をやり始めちゃいけないってことだよね。これは絶対にやっちゃいけない。細部にまでこだわりを持つべきで、僕は宣伝のために演じたくはない。

モファット:ファンの存在は嬉しい。けど、彼らと対話することはないよ。僕らは番組を作っているのであって、それを観ているわけじゃないんだからね。こんなに反響をもらえてとても嬉しいけど、マークと僕は、自分達の考えのもとに反響に応え、番組を作って行こうと考えるようになったんだ

2人の相性はどうなんですか?

フリーマン:最初にベン(カンバーバッチ)と本読みをした時は、なんて言うか、見事に噛み合った感じだったね。でもこれは仕事。気の合う友達ってだけじゃ2、3ヶ月も一緒にやってられないからさ。仕事仲間として、互いに協力する関係が必要だよ。

モファット:ベネディクト(カンバーバッチ)は変わり者で面白いんだよ。一緒にいて飽きない奴だ。いつも不思議なオーラがあって、どこか人と違う。一際目立つ風貌とブラスバンドのような声を持ってる。普通の役にキャストされることはないだろうね。マーティン(フリーマン)も一見普通に見えるけど、実際はかなり個性的。普通である中に、ユーモアと哀愁を醸し出せる存在だね。

新しい登場人物について聞かせてください。

ゲイティス:初めてホームズにあった時の彼はただの狂人。ワトソンがホームズの人間らしさを引き出し、ホームズはワトソンに生気を取り戻させる。だけど、いつまでもワトソンだけを驚かせているわけにはいかない。ホームズに驚愕させられる新しい人物も必要なんだ。

モファット:初期の原作では、ワトソンが妻のマリーと一緒に住んでいて、主に退屈している時、ホームズを訪ねる。原作では仲のいい友達であるホームズとマリーだが、ドラマでは互いに嫌いあう関係。でもホームズが誰かと友達になるところはいつも面白いんだよ。ワトソンと違って、マリーはいつもその人をどうしてもよく思わない。

ゲイティス:モリアーティに代わる敵役のチャールズ・オーガスタス・マグヌーセンは、原作の中では最高の悪役のひとり、チャールズ・オーガスタス・ミルバートンが元にしている。いい役で、すぐにラース・ミケルソン(『キリング』のトロールス・ハートマン) が候補に上がった。彼はバイキング的な冷たい雰囲気を持ってるからね。マグヌーセンは多くのこともせず、声高にしゃべる必要もない。他の人が思う様に動いてくれるものだと思ってる。

ホームズはまた続編があるのですか?

カンバーバッチ:そう願ってなければ、ここでこうして話してはいないよ。また時が来たら続編を作りたいね。

ゲイティス:3週間やって、さくっといなくなることはいいことなんだよ。人は必ず批判するからね。そういう人に悪口を言わせないためにもちょうどいい。あと続編ね。一度、ホームズを水から上がった魚のようにするのも悪くないかなぁ。ホームズはロンドンを自分の庭のようによく知ってるわけだけど、北京は知らない。ホームズを北京に放り込んで、どうなるか見るのも面白いかもしれない。ありえなくないな。でも必然性がないと面白くならない。50代のベネディクトとマーティンも見てみたいね。そのころ、世界はどんなように変わっているのかも知りたい。

モファット:もしベンとマーティンがもうやらないって言ったら、僕らももう作らないだろうね。何があってもピーター・キャパルディは起用しないよ!

原文へ(Time Out London)

インタビュー Katie Dailey
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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