パブリックアイ 第17

スティーブン・リボヴィッツ(42)原宿にて

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パブリックアイ 第17回

スティーブン・リボヴィッツ エディター

派手なスクーターですね。

スティーブン:素敵でしょう。一月に一度いろんなアーティストがペイントしてくれます。

月に一度ですか?

スティーブン:そうです。僕は『デザイン・フェスタ・ギャラリー原宿』で働いていて、月に一度さまざまなアーティストにスクーターをペイントしてもらっています。東京には、まだまだアートを生活に広めていけるポテンシャルがありますよ。例えばこのスクーターは街中を走り回って、アーティスト達の表現を東京中の人に見てもらえるわけです。

『デザイン・フェスタ・ギャラリー原宿』というのは、どういう場所ですか?

スティーブン:マクドナルドみたいに、皆が知っている有名な場所だと思っていましたが、そうでもないですね(笑)。貸ギャラリーとカフェがあって、作品の展示・販売、パフォーマンスができる場所です。 ファッションや音楽、写真やイラストなど、それぞれが個々に発表する場所はあるけれど、全部一緒にマッシュアップして表現できる場所を作ろうということで、今から15年前に始まりました。最初はどれくらい成功するかわからなかったけれど、800人のアーティストが参加したそうです。原宿のデザイン・フェスタ・ギャラリーは年中無休ですが、ここの他に、今では年に2回アートイベントもやっていて、2010年は5月15日、16日と、それから11月6日と7日に開催されます。世界中から8500人のアーティスト達が東京ビッグサイトに集まります。

8500人ってすごいですね。GEISAIとは違うのですか?

スティーブン:GEISAIより歴史がありますし、デザイン・フェスタはキュレーションしていません。ブース・ライブ・ショー・シアターなど、誰でも、あらゆるジャンルのアーティスト達が自由な形式で作品を発表、表現できます。まさに、アートのカオス、です。日本に限らず、さまざまな国のアーティストに出会えますし、作品を買うこともできますよ。

スティーブンさんもアーティストですか?

スティーブン:アートもするし、写真も撮るし、僕は少しずついろんな仕事をしています。週に2日はデザイン・フェスタ・ギャラリー原宿にいて、1日は高田馬場にある本屋さんで働いています。それから、日本語と英語のバイリンガル雑誌『ひらがなタイムズ』のエディターもしています。面白いと思えば何でもやってみたいと思っています。

東京に初めて来たのはいつですか?

スティーブン:初めて日本に来たのは、9年前、ハネムーンの時です。結婚した後すぐにはハネムーンに行かず、1年間お金をためてから世界をまわりました。まず、カナダのモントリオールからロサンゼルスに行って、タイ、日本、イギリスとまわって、モントリオールに戻りました。

モントリオールの方なんですね。

スティーブン:そうです。本当はハネムーンで中国に行きたかったのですが、僕の妻は中国系カナダ人で、「ハネムーン中に通訳をするのは嫌よ」と言われてしまい、それで旅先に日本を選びました。だけど、それで日本が気に入ってしまったわけです。東京に暮らし始めて5年になりました。妻は、私立の学校で英語を教えています。カナダに戻る理由が見つけられません。あ、でも母親は電話するたびに、「いつ戻ってくるの?」って答えるのが難しい質問をしますけど(笑)。

このあたりだとランチはどこで食べるのですか?

スティーブン:『デザイン・フェスタ・ギャラリー原宿』のカフェランチは、量が少なく見えるんですが、かなりボリューム満点でおすすめです。550円でチキンとライスにサラダがつきます。それから、すぐそばの駐車場に、カレーを売っているバンが止まっていて、とても美味しいので良く買いに行きます。ウェンディーズも好きだったけど、もう日本にないので残念ですね。

日本食は好きですか?

スティーブン:好きですよ。ただ、納豆は苦手です。納豆は臭いが嫌なんじゃなくて、ぐにゃぐにゃな歯ごたえが耐えられません。なんだか、輪ゴムを食べているような気分になりますよね(笑)。

さらに“スティーブンさん”から

「東京に来たばかりの時、中央線の満員電車にわくわくしました。今は……もう楽しくないので、スクーターを使っています。スクーターは、自転車のような開放感があるけど、もっと遠くへ行けるから好きです。いつもカメラを持っているので、渋滞中に道の真ん中で写真を撮ったりしています」

「東京は忙しいし、選択肢が多すぎると思う時もあるけど、毎日新しい冒険ができるとても楽しい街です」

「東京で一番好きな場所は、吉祥寺です。井の頭公園でボンゴをたたきながらチューハイを飲むのが好きです(笑)」

テキスト 東谷彰子
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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