東京の天然温泉めぐり 10

裸の付き合いで、日本の温泉文化を知る

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東京の天然温泉めぐり 10選

大江戸温泉物語

日本は世界有数の温泉大国だ。2008年に環境省が発表した日本の温泉地の数は3139。ドイツやフランスなどヨーロッパ地域も温泉文化が根づいているが、その数は100単位で桁が違う。これは、湯に浸かる入浴が日常的な日本人が、温泉を積極的に掘削し、温泉事業を開発しているからだ。東京もその例にもれず、ここ数年、天然温泉をうたったレジャー施設が増えている。特に都内にある温泉は、大人が楽しめるよう趣向がこらされ、仕事帰りや休日に、ゆったりと過ごせるようになっている。わざわざ近県に移動しなくても、源泉掛け流しの温泉や、富士山を望める本格的な温泉もある。ここでは東京にある天然温泉を紹介する。ふらりと立ち寄り、湯の効能を存分に味わってほしい。

江戸時代にタイムスリップする『大江戸温泉物語』

江戸の街をイメージして作られた館内に、大浴場、露天風呂、サウナなどの温泉施設と、食事処、縁日・占いスペース、買い物、宿泊施設などが設けられている温泉複合施設。温泉は地下1400メートルから汲み上げられたナトリウム−塩化物強塩温泉で、神経痛、筋肉痛、関節痛などに効能がある。浴場は6種類あり、横に寝ころびながら温泉に浸かる“寝湯”や、“ぬる湯”などがある。また疲れた犬たちを癒す愛犬専用の温泉“綱吉の湯”もあり、家族だけでなく、愛犬も一緒に楽しめる。700坪の日本庭園内には、東海道五十三次がテーマの足湯の場もあり、全長50メートルの湯の道を、足裏を刺激しながら歩ける。古い角質をついばむドクターフィッシュのいる足湯もある。毎週水曜日と木曜日はレディースデーで、さまざまなサービスが用意されている。料金も一般料金以外に、ナイター料金、朝風呂料金、期間限定のキャンペーン料金などがあるので、ウェブサイトをチェックしてから出かけてほしい。

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水と庭にこだわった『バーデと天然温泉 豊島園 庭の湯』

水と緑の遊園地としまえんの敷地内にある温泉複合施設。温泉は日本が誇る造園設計家“小形研三”が手掛けた1200坪の庭園内にあり、四季の移り変わりを楽しませてくれる。地下1445メートルから湧き出る天然温泉は、ナトリウム−塩化物強塩温泉で、神経痛、筋肉痛、関節痛に効能がある。蛇口からでる水は軟水化した水を利用し、肌への刺激を避けるよう工夫されている。浴場はお風呂ゾーン、露天ゾーン、サウナゾーンのほかに、水着を着用する『バーデゾーン』があるのが特徴。バーデとはドイツの伝統的な温浴法で、ここではバーデを基本にして、東洋のマッサージ法を取り入れた、新しい入浴法が楽しめる。バーデゾーンの湯は、体温とほぼ同じ温度に設定されており、水の特性である浮力、動水圧などを利用して、身体の各部位のマッサージやストレッチを行いやすいようになっている。またミネラルが豊富なイスラエルの死海の塩を利用したプールもあり、湯の中で浮く体験ができる。中学生未満は利用できないので、静かな中、存分にリラックスできる。

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天然石にこだわった低温サウナが充実『ラクーア』

東京ドームシティ内にある温泉複合施設。地下1700メートルから湧き出た天然温泉はナトリウム−塩化物強塩温泉で、冷え性、肩こり、神経痛などに効能があり、露天風呂やアトラクションバスなどで楽しめる。5種類の低温サウナには、それぞれ、トルマリン、黄土、麦飯石、セイント鉱石、ゲルマニウムなどが使われており、遠赤外線やマイナスイオンの働きにより、血行促進、老廃物除去、新陳代謝の活性化などが期待できる。マッサージやビューティサロンも充実しており、タイ古式マッサージ、あかすり、ハワイアンロミロミ、アロマトリートメントなどの施術も受けられる。

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富士山が望める『瀬田温泉 山河の湯』

水戸徳川家の屋敷跡4000坪の敷地内にある天然温泉施設。源泉から一切の水を加えず、すべての浴槽にそのままの温泉を注いでいる100%天然温泉が自慢。泉質はナトリウム-塩化物泉。また等帳性(アイソトニック)という、人間の体液とほぼ同じ浸透圧な性質のため、身体への負担が少ない。“けやきの湯”では、樹齢300年を越えるけやきの木を望むことができる。また多摩川を見下ろす丘“歓喜の丘”には、露天風呂“スパ・キューピッド”があり、天気が良ければ、富士山を望むことができる。夕焼けに染まる富士山は格別だ。

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風水温泉が自慢『深大寺温泉 ゆかり』【閉店】

神経痛、筋肉痛、関節痛に適応しているナトリウム-塩化物温泉が湧き出る温泉施設。内風呂、滝見風呂、香り風呂、五右衛門風呂など、男湯、女湯合わせて、全14種類の浴場がある。中でも興味深いのが風水温泉。風水学に基づいて設計された露天風呂には、玄武(北)、青龍(東)、朱雀(南)、白虎(西)と刻まれた石があり、これらの石にもたれて湯に浸かると、それぞれの願望が叶えられるという。たとえば、金運アップを願うなら西にある白虎の石にもたれれば、エネルギーがもたらされるとか。施設内には食事処、無料休憩所などもある。

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貸切露天風呂がある『府中駅前天然温泉 縄文の湯』

海水の成分に似たナトリウム-塩化物泉で、湯冷めしにくいことから“熱の湯”と言われている。貸切の露天風呂は天気がよければ富士山を望むこともできる。食事処では刺身や煮物など純和風の松花堂弁当が味わえるほか、土日祝日限定で、和食約20種類がそろうバイキングを味わうこともできる。

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高井戸駅前にある『美しの湯』

自然の木々と岩を配した本格的な露天風呂が自慢。上の湯から下の湯に向かってお湯が流れているため、下の湯は温度が低めになり、熱い湯が苦手な人など、温度を選んで温泉を楽しめる。内風呂にはアトラクション風呂があり、水流や気泡を利用したバスで、エステ気分が味わえる。泉質はナトリウム-塩化物強塩温泉。神経痛、筋肉痛、関節痛に効能がある。

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ジムが併設されている『天然温泉 平和島』

天然温泉を中心とした、バラエティに富んだ浴場が楽しめる温泉施設。泉質はナトリウム-強塩化物温泉で、神経痛や冷え性に効能がある。かぶり湯や部分浴、気泡浴、露天風呂のほか、お風呂上がりには、テレビ付きチェアやマッサージチェアでくつろぐことができる。また無料でエアロバイクやウエイトマシーンが利用でき、専属トレーナーによる指導や、ストレッチ体操などのトレーニングコースも利用できる。

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日本庭園のサクラが美しい『東京染井温泉SAKURA』

ソメイヨシノ発祥の地で、地下1800メートルから沸きだした温泉が楽しめる施設。東京の温泉では珍しく無色透明。泉質はナトリウム−塩化物強塩泉で、天然のミネラル成分を豊富に含んでいる。温泉以外に、岩盤浴ゾーンがあり、約40度に温められた天然岩盤の上に寝転がり、遠赤外線とマイナスイオンにより、リラックスすることができる。施設内には日本庭園が広がり、春にはサクラを眺めることもできる。

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源泉掛け流し『天然温泉 ロテン・ガーデン』

地下1381メートルから沸き出した温泉。泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉で、神経痛、筋肉痛、関節痛に効能がある。屋上の露天風呂は、源泉掛け流しで、夕焼けや星を眺めながら温泉を楽しむことができる。

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テキスト 基太村京子
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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