東京に春をよぶ『深大寺だるま市』

元三大師の分身、梵字で開眼しただるまが福をもたらす

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東京に春をよぶ『深大寺だるま市』

梅も見ごろを迎え、春までもう一息というところ。東京調布市にある深大寺では2010年3月3日、4日に、東京に春を呼び込む風物詩『だるま市』が開かれる。この深大寺のだるま市は、“日本三大だるま市”のひとつとされている。

そもそもだるまとは、中国禅宗の始祖、菩提達磨の座禅姿を模して作ったもの。菩提達磨が赤い衣を着ていたことや、古くから赤は魔よけの色とされていたことなどが影響し、だるまは赤色が一般的だ。太いまゆにひげが描かれた勇ましいその顔だが、露店ごとに表情が違う。ユニークにアレンジされただるまを売る店もあるので、違いを見比べるのも楽しみ方のひとつだ。

だるま市は、厄除け祈願の大護摩供養を行う『厄除元三(がんさん)大師大祭』にあわせて縁日が立つ。元三大師とは、平安時代の天台宗の僧侶で、厄除け大師としても古くから信仰されている。江戸時代の文献には、元三大師の霊験にあやかり、深大寺に多くの人々が参詣したことが記されているほど、伝統的な行事でもあるのだ。クライマックスの見どころは、『お練り行列』と『元三大師御影供(みえく)』の厳修。雅楽衆、木遣り衆、講中とともに、御影供出仕の袍裳金襴七条袈裟に身を包んだ高僧が境内を練り歩く。“御影供”とは、大師像の掛け軸(御影)に、香、華、灯明などを供え、報恩の誠を捧げる天台宗の伝統的な法要として伝えられるもの。

境内で買い求めただるまは、元三大師堂前の特設だるま開眼所で深大寺の僧侶が目入れをしてくれる。深大寺の目入れは、だるまの左目に梵字の阿(あ)字を書き入れるという独特のもの。阿字はものごとの始まりを意味するため、願いが叶ったらものごとの終わりを意味する吽(うん)字を入れてもらい、納める。開眼しただるまは、元三大師堂内の護摩壇に灯されている本尊元三大師の智慧の火に僧侶がかざし、魂を入れてくれる。一足先に東京の春を感じるため、福をもたらす深大寺のだるまを買い求めに出かけてみるのはいかがだろうか。

『深大寺だるま市』

日程:2010年3月3日(水)、4日(木) 9時00分から18時00分まで
住所:東京都調布市深大寺元町5-15-1
電話:042-486-5511
行事内容:『百味供養』、『お練り行列』、『大護摩奉修』両日とも14時00分から
『大師堂護摩祈願』10時00分、11時00分、12時00分、13時00分、14時00分(大護摩)、15時30分、16時30分
『だるま開眼』大師堂西政所、9時00分から18時00分まで
ウェブ:www.jindaiji.or.jp/

テキスト 寺田愛
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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