ホテルニューオータニ提供
2009年11月27日 (金) 掲載
先ごろ、大阪市内のホテルで第1回アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクールが行われ、トゥールダルジャン東京に勤務する森覚が優勝した。また同じく、トゥールダルジャン東京に勤務する谷宣英が、3位入賞を果した。このコンクールは現在、3年に1度開催される世界最優秀ソムリエコンクール(次回は2010年にチリで開催)の予選大会とも言えるが、アジア・オセアニア地区大会を行うのは初めてのことだ。この地区でのワインの普及がいかに急速に進んでいるかがわかるが、なかでも日本のソムリエの知識の豊富さと、サービスの素晴らしさを実感する結果となった。
決勝に残ったのは森、谷に加え2位入賞を果したオーストラリア在住のフランス人、フランク・モロー。3人は壇上で、厳しい最終審査に火花を散らした。単にブラインド・テイスティングだけではなく、最終審査として課せられたのは3つのテーブルでの様々なテストだった。
第1のテーブルでは、カップルにシャンパンをサービスする。そして料理のメニューを調理法も含めて説明し、そのメニューに合わせたワインをレコメンドする。ここでは森がやや硬い表情ながらもメニューをそつなく説明し、国産ワインを含めたオリジナリティあふれるレコメンドで余裕を見せた。また個人的な印象では谷のシャンパンのサービスは優雅で流れるように美しかった。
第2のテーブルには10人の客が座る。1本のワインをそれぞれにサービスした後、間違ったワインリストを正しく直して客に伝える。これは全員がかなり苦戦していた。思わず眉間にシワが。また2位になったモローはコルクを途中で割ってしまうというアクシデントがあったが、うろたえずに処理してその場をきれいにまとめた。
最後のテーブルが、ブラインド・テイスティング。まずは3種類のワインを。そして6つのスピリッツをテイスティングして、種類と産地を言い当てる。3人ともワインはかなり苦戦していた。最初の白のグラス「ソーヴィニヨンブラン」という品種は全員当てたものの、その個性からか「ニュージーランド」との回答。これが実はチリ産のMONTESであった。いかに新地域でのワインの品質が向上しているかということだ。
優勝した森は若干32歳。「全部の課題に緊張しました。特に今日のサービスは硬かったと思います。世界に向けてもっと語学力も身につけ、日本人らしい身のこなしをできるようになりたい」と語っていた。日本人らしい身のこなし。まさに森も谷もその点では実に細やかな印象で合格だったのではないかと思う。現在、森はパリのトゥールダルジャン本店で研修中だが、谷のサービスは東京・千代田区のホテルニューオータニ内のトゥールダルジャンで受けることができる。特別な日のシャンパンは、彼のような一流のサービスで飲みたいものである。
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