2009年12月21日 (月) 掲載
少なくとも東京では、銀座がバー文化の中心地だという定説がある。他の場所では満足のゆくドリンクが飲めないというわけではないが、この高級エリアのバーテンダーたちは、まるで寿司職人が魚を操るよう、アルコールを操る。
その定説を裏付けるかのように、先だって行われた日本バーテンダー協会(NBA)による全国バーテンダー技能競技大会では、3名の優勝者のうち、実に2名が銀座のバーテンダーだった。1年をかけて日本全国で行われた大会の最終大会には選ばれた40名が残り、先週の日曜日(2009年6月7日)に新宿の京王プラザで最終決着となった。東京の3名の優勝者をここに紹介する。
男性率の高いバーテンダーの世界ではあるが、最終選考者は女性が多かった(40名のうち11名が女性)。野口はその中でも注目の存在で、オルタンシアカクテル(フランス語でアジサイ)はベストネーミィング賞および創作部門で優勝した(レシピは下記)。最終選考では総合第3位。
総合優勝は銀座の重鎮、バー・オパが手に入れた。銀座を代表する者はすでに様々なレベルの戦いをくぐり抜けてきた強者たち。全員がなんらかの賞に値するといっても過言ではないだろう。バー・オパは以前も総合優勝者を出している。田畑道崇は大会内の全てのレベルにおいて優勝者と呼ばれるに相応しい戦いを見せた。彼のカクテル、「カンタービレ」は創作部門では第3位。鮮やかなピンクのフルーティなカクテルは、男性はオーダーしないだろうが、女性には人気になるだろう。
田畑と野口は他の部門で上位にのぼったが、吉川厚志は課題部門で渋谷を代表して堂々一位に輝いた。吉川はNBA関東地区本部技術研究副部長である石垣忍の元で修行したのだから、当然かもしれない。競技者は大量のジン、ベルモット酒、ミントリキュールをミックスし、5つのカルーソーを作る。このカクテルはオペラ史上最も有名なイタリア出身のテノール歌手、エンリコ・カルーソーの名前から付けられた。大量のジンをそそぐことによって調節が非常に難しいカクテルだ。吉川は目分量で5つのグラスに同時に全てそそぎ入れ完成させた。もちろん味はジャッジを感嘆させた。銀座は酒場テクニックを独占することはできなかった。
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