2012年12月14日 (金) 掲載
香ばしく焼き上がった皮と、しっとりジューシーな肉を一度に楽しめるロティサリーチキンは、老若男女から愛される肉料理といっていいだろう。フランス語で“あぶり焼き”を意味する“rotir(ロティール)”という技法で、骨付きの鶏を丸のままじっくりと低温であぶりながら焼くことで、均一な火入れが可能となる。また、余分な脂を落としながら時間をかけて焼くことで皮がパリッと仕上がり、いわゆる“外はパリパリで中はジューシー”な触感が生まれる。串に刺さった丸鶏がオーブン内をゆっくりと回転する、ロティサリー専用のマシンを目にしたことのある人も多いだろう。塩、コショウを基本に、ハーブやニンニク、レモン、スパイス等で下味をつけた鶏を回転させながら焼くと、オーブン下部に脂や肉汁が溜まり、そこでジャガイモを同時に焼くこともできるという優れものの調理道具だ。滴り落ちる脂をまとって焼き上げるジャガイモも、ロティサリーチキンの名脇役。ここでは、テイクアウト可能な専門店を中心に紹介する。ホールサイズのロティサリーチキンは、ホームパーティやちょっとした集まりに華を添えてくれるはず。
代々木八幡駅と代々木上原駅のなかほどにある、外国人で賑わうカリフォルニア料理のレストラン。同店の看板メニューのひとつが、チキン料理だ。なかでも、ロティサリーチキンは人気メニュー。ホワイトペッパー、ニンニク、ローズマリーで味付けされており、スパイシーでうまい。やや味付けが濃く感じるかもしれないが、ポテトやライス、パンなどとあわせると丁度よい加減になる。
広尾にあるスーパーマーケット『NATIONAL AZABU』では、かつては週末のみ店頭でロティサリーチキンを販売していたが、リニューアルオープン後は、ロティサリー専用オーブンを備えた店内のデリコーナーでホールサイズ、ハーフ、1/4サイズを扱う。ニュージーランド産の若鶏を使用しており、レモンやオリジナルミックスのハーブでやさしい風味に仕上げているのが特徴だ。
『松屋銀座』、地下1階にあるデリカテッセン。同店の『ロティサリーチキン』は、上品な仕上がり。それほど塩辛くはなく、ローズマリーやバジルなどのハーブ、そして香辛料も控え目だ。だが肉にはしっかりと味がついており、パサつきもなく、そしてやわらかい。皮は薄いため脂っぽさがなく、パリッとして美味しい。新宿高島屋、渋谷ヒカリエなどにも店舗あり。
神楽坂にある『イブテラス』は、ロティサリーチキンで知られる小さなフランス料理店。トーゴ出身のオーナーシェフが、フランスのロティサリー専門店で技術を磨き、ロティサリー器具の日本への輸入会社を営む傍ら、自ら調理場に立って腕をふるう。名物のロティサリーチキンには国産の茜鶏を用い、塩、コショウ、ニンニクでしっかりと下味をつけてから、“たっぷりの愛を込めて”焼いている。皮目の香ばしさはさることながら、しっとりと焼き上がった肉の火入れが秀逸。
天現寺交差点近く、明治通り沿いにある小さなロティサリー専門店。国産の若鶏を使用し、塩、コショウ、ハーブ類をまぶして2日間じっくりとマリネしてから焼いている。皮目だけでなく、肉までしっかり味がついており、均一に焼き色がついた仕上がりも美しい。ホールサイズのロティサリーチキンも人気だが、サフランライスとともに楽しめるメニュー(写真)もおすすめだ。白金、北千住にも支店がある。
車内にロティサリーマシンを設置した移動販売車の『ボナペティ』は、昼時ともなると行列が絶えない人気店。一帯に漂う香ばしさに、ついついつられて並んでしまう人も多い。ローズマリー、オレガノ、タイムなどのドライハーブとニンニクの風味が前面に出ており、塩気がきっちり効いている。ぷりっと歯ごたえよく焼き上がった火入れ具合も非常にいい。毎週火曜日は大手町にあるサンケイビル前の広場、水曜日は東京国際フォーラムのネオ屋台村に出店しているが、Twitterの公式アカウントでその他エリアでの出店スケジュールをチェックできる。
渋谷駅新南口近くにある複合飲食ビル『GEMS』5階に入る『ココリコ』は、店内のロティサリー専用マシンで焼き上げる大山鶏を使った『ロティサリーチキン』が人気。ハーブやスパイスは控えめな味付けで、鶏そのものの味わいを前面に出したタイプだ。低温でじっくり焼き上げるため、テイクアウトの際は事前連絡することをおすすめする。上野、銀座、横浜にも支店がある。
用賀駅近くにある小さなロティサリー専門店『Rotie's 東京』のロティサリーチキンは、ローズマリーやオレガノなどのハーブとスパイスを店独自のブレンドで合わせ、しっかり肉に香りと風味をつけているのが特徴的。塩気がきっちりと効いているため、ワインやビールのお供に最適。ご飯やカレーと合わせたセットメニューなども販売している。
田町駅近く、第一京浜沿いに店舗を構える『ファーマーズチキン』は、昼時ともなれば近隣のオフィスワーカーが列を成す。ローズマリーを中心に10種類以上のハーブをブレンドして下味をつけており、きつね色に香ばしく焼き上がった皮目の触感もいい。口に入れると香ばしさとハーブの香りが一気に広がる。事前に電話注文しておくと待たずにピックアップが可能だ。
ここで紹介しているなかで、もっともリーズナブルにロティサリーチキンを楽しめるのが『コストコ』だ。698円という低価格が実現できるのは、ホールセール(卸売り)ならではだろう。ブラジル産の若鶏を使っており、噛み締めると黒コショウやナツメグがほのかに香る。しっとりとジューシーな焼き上がりのホールチキンをこの価格で食べられるのは、“お買い得”以外の何ものでもない。決してアクセスがいいとは言えないが、味と価格のバランスでは最強といってもいいだろう。
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