2010年08月31日 (火) 掲載
1997年に開催された初回のフジロックに参加したサード・アイ・ブラインド。2009年には、6年ぶりとなるアルバム『アーサ・メイジャー』をリリースし、全米アルバムチャートの初登場3位を記録。結成から12年のバンドキャリアの中で、最も高い順位のチャートインとなった。そして2010年、13年の時を経て改めてフジロックに参加した印象を、ボーカル/ギターのスティーヴン・ジェンキンスが語ってくれた。
改めて日本の印象を教えて下さい。
スティーヴン:日本は、僕にとっては我が家のような存在。第2の故郷というのかな。毎回、日本に来ると、新宿や渋谷に立ち寄って、行きつけのラーメン屋に足を運んだり、小さな小さな飲み屋が密集した『渋谷のんべい横丁』にあるお気に入りのピアノバーに行っては、酔っぱらうんだ。
1997年に行われた第1回のフジロックを体験されていますよね?今や伝説となっている1回目の印象を教えて下さい。
スティーヴン:あれは、僕らが今まで演奏した場所の中で一番素晴らしくて、一番ロックしていたといえるね。巨大な台風がやってきて、大惨事になった。強風が吹き荒れ、雨が顔にバシバシあたった。でも、正直あまり気にならなかったよ。ライブって不思議なもので、何か問題が起きた時のほうが、良きものになることがあるんだ。それに、僕は物事が何か違った方向へと向かう時に、ココロがときめくんだ(笑)。
新潟・苗場スキー場が会場となった、現在のフジロックの感想は?
スティーヴン:第1回のフジロック開催から、すでに13年の歳月が流れたけど、改めてこの空間には素晴らしいバイブが流れていると思う。相変わらずで、過度にコマーシャルさがあるわけでもない。若者がキャンプをして、自然を楽しむ姿は、美しくて愛しいよ。しかも、昨夜到着して本当に驚いたんだけど、ロックフェスなのに、警察は一人もみかけなかったし、喧嘩もない。混乱もなく、紙くずひとつ落ちていない。この平和、ピースは本当に誇るべきことだ。
来場者の反応はどうでしたか?
スティーヴン:すごくノリの良い、クレイジーなやつらばっかりだったよ。
日本人の観客は、曲と曲の間に静かになる傾向があるけど、どうですか?
スティーヴン:正直言って、あれは慣れないね。時折、イライラする(笑)。まぁ、静かでデリケートな曲を演奏している時だけは、曲のムードに入り込めるから良いけどね。それから、たまに会場にいる観客全員で、手を振ったり、同じ振り付けで踊ったり、一緒に拍手したりするだろ?あれも正直不思議だと思うな(苦笑)。
先日、スプリットツアーをしたthe HIATUSの印象はどうしたか?
スティーヴン:スゴイ良い人たちだよ。寛大で、寛容で、素晴らしいホスピタリティがある。今回、僕たちは彼らをツアーに誘ったんだ。韓国でのフェスで、また武士と一緒にプレイするんだ。
他に知っている日本のバンドはありますか?
スティーヴン:アジアン・カンフー・ジェネレーションはクールだね。彼らが僕たちをフェスに招待してくれたんだ。その時のステージセットも美しかったよ。
日本のステージセットは他の国と違うのですか?
スティーヴン:ステージセットだけではないよ。日本の照明の技術はスゴイね。マジに、日本の照明技術は世界一だと思うよ。the HIATUSとやった東京公演では、古いライトひとつで照らしてくれたんだけど、これが本当に素敵だった。素晴らしい技術だ。
色々な国で演奏していると思いますが、旅先にいつも持っていくものはありますか?
スティーヴン:アイパッドだよ。ブログを書いたり、メモをしたりするのに使う。何よりも軽いのが魅力だね。旅の鉄則は、荷物を軽くすることだと僕は思うな。
次の作品の予定はありますか?
スティーヴン:バリで6日間とハワイに9日間滞在して、ビーチでゆっくりしながら音を創る予定。
どんな音になるのでしょうか?
スティーヴン:それは分からないよ。ビーチにいるからって、メロウな曲が中心になるわけでは決してない。僕は、内側から曲創りをするんだ。目の前に広がる風景を書くわけではないからね。
音楽創りにおいて、大切にしたいことは?
スティーヴン:音楽は、摩擦とか、こすれあいの中で生まれるものだと思うんだ。たった3分の曲の中でも、進化をさせたいと思っている。
97年にバンドを結成して、13年も経ちますが、常に進化を続けている秘訣は何ですか?
スティーヴン:バンドメンバーは色々と替わってきたけど、変わらないのは、いつでも成長し、変化を遂げていたいと思う気持ちだね。いつも同じだと、すぐに飽きてしまうから。僕って飽きっぽいんだ。でもそんな中でも、常に僕たちの音楽は文化の一部分でありたいし、変化をしても統一感、トータル感は大事にしたいと思っている。
サード・アイ・ブラインドとは、ココロの眼という意味がありますが、最後にあなたのココロの眼にうつる日本人のイメージを教えて下さい。
スティーヴン:う~ん。羽根がついていて、まるで、妖精のようだね。背景には、虹がついているイメージかな。日本人って“世界の市民”のような存在だと僕は思うんだ。世界で一番優しい人たち。僕の大好きな人々さ。
『アーサ・メイジャー』
サード・アイ・ブライド
2580円(税込み)
Copyright © 2014 Time Out Tokyo
コメント