2013年01月15日 (火) 掲載
海外から友人や知り合いが東京を訪れたときに、どこへ連れて行こうか頭を悩ませたことのある人は少なくないだろう。ここでは、ほとんどの外国人観光客が必ず訪れる街といっても過言ではない渋谷をフィーチャー。日本ならでは、あるいは東京ならではの魅力を楽しんでもらえる店を中心に、美味しい料理や酒が楽しめるレストラン、バーを10軒を紹介する。何かと海外から訪れる外国人観光客をアテンドする機会の多い、タイムアウト東京編集部ならではのチョイスとして参考にしてもらいたい。
道玄坂にある『魚べい』は、最先端システムを導入した次世代型寿司店。各座席に設置されたタッチパネルで好みのメニューをオーダーし、目の前に備えられた高速レーンに乗って猛スピードであっという間に寿司が運ばれてくる様は圧巻だ。回転寿司のくるくる回るスピードとは比べ物にならない。寿司メニューはいずれも105円という低価格で、タッチパネルのメニューは日本語、英語、中国語、韓国語に対応している。味はそれなりといったところではあるが、安さと日本のハイテク寿司を体験してもらえば旅の思い出になるだろう。
立ち飲みバルが流行る遥か昔から桜丘町に明かりを灯す老舗居酒屋『立ち飲み 富士屋本店』。厨房をぐるりと囲むカウンターは使いこまれた味があり、貫禄すら漂わせる。ひとまず注文したものが出揃ったところで一旦会計を済ませたあとは、キャッシュオンデリバリーとなる。居酒屋定番メニューが豊富に揃うが、名物『ハムキャ別』は是非とも頼んでおきたい。まるで新橋にいるかのように錯覚するサラリーマンだらけの店内はローカル感が漂い、外国人観光客のハート(と胃袋)をぐっとつかむはず。
道玄坂を一本入り、神泉方向に進んだ渋谷のはずれに店を構える『開花屋』はカジュアルな雰囲気で、居酒屋とレストランの中間といった店。“BY THE SEA”と謳っているだけに、扱う魚の種類と質はなかなかで、そのいずれもがひと手間かけられたユニークな創作料理として楽しめる。シンプルな刺身の盛り合わせもいいが、まるで肉のように濃厚な味わいの『マグロのかまのスペアリブ』や、車海老を海老味噌で炒めた『海老のえびによるエビソース』など、外国人の舌にも馴染みやすい料理が豊富。日本酒やワインの価格設定もリーズナブルで、英語メニューの用意もある。
落ち着いた雰囲気の店内で、契約農家から届く季節の野菜や旬の魚を使った創作日本料理が楽しめる。ちょっとグレードの高い、ハイエンド居酒屋といってもいいだろう。個室や座敷のある店内は寛いだ雰囲気で、器づかいやプレゼンテーションも美しく、外国人客に喜ばれる。かごに盛られた野菜の中から好きなものを好きなだけ取り分けられる『本日の野菜プレート』や『海老芋のフォアグラ味噌朴葉焼き』など、野菜をたくさん食べたいという時には使い勝手がいい。もちろん鮮魚や肉を使ったメニューも豊富で、日本酒や焼酎、ワイン、国産の果実酒の取り揃えも多く、渋谷で落ち着いた雰囲気のなかで食事をしたい時には何かと重宝する。
秋葉原を中心に展開するメイドカフェ『めいどりーみん』と、ビデオゲームやメディアアートなどのデジタルテクノロジーを融合させた、新しいエンターテインメント空間=電脳ランド(電脳遊園地)。メイドたちが特有のハイトーンボイスで繰り出す「最新の擬態語」や、店内中央のステージでメイドが繰り広げるライブを前に、キレッキレのヲタ芸を見せる男性客、メイドといっしょにドリンクが美味しくなるおまじないを唱える若い女性客などを見物しながら、日本ならではの“萌え”という不思議なカルチャーに触れてもらうにはもってこいの店だろう。初回限定2時間飲み放題980円というサービスもうれしい。
『電脳喫茶☆電脳酒場 めいどりーみん 渋谷店』の詳しい情報はこちら
渋谷の『Bunkamura』の向かい側にある『グッドビア・ファウセッツ』では、アメリカ、ベルギー、そして、日本など、全部でなんと40種類(!)のクラフトビールがタップ(樽生)で楽しめる、ビール好きにはたまらない店だ。日本酒や焼酎ではなく、うまいビールをカジュアルなバーで飲みたいという人を連れていけば必ず満足してもらえるはず。店を運営するのは、六本木の『ロティ』をアメリカの地ビールが楽しめる店に育てるのに貢献した、イスラエル出身のデデ。英語対応可能なので何かと心強い。平日16時〜19時はハッピーアワーとなっているのもお忘れなく。
2008年にシアトルで開催された「フリーポア・ラテアート・チャンピオンシップ」のアジア人初の世界チャンピオン、澤田洋史が営む『ストリーマー・コーヒー・カンパニー』では、大ぶりなカップに入れられた絶品のカフェラテが味わえる。シンプルな内装と無造作に置かれた大きなテーブル、無料wi-fiと、まるで海外にあるようなカフェといった雰囲気で、日本の喫茶店やどこへ行っても代わり映えのしない大手コーヒーチェーンに飽き飽きしてしまった外国人にとっては、どこか安心させる魅力のあるカフェと言っていいだろう。
渋谷駅のすぐ真横に昭和の面影を色濃く残す横丁があることを知らない人はまだ多い。若者カルチャーの中心地に、間口の狭い小さな店が軒を連ねる古びた一角が生き残っていることに驚くのだろう。そんな店を思い切りユニークに味のあるリノベーションを施した『Piano Bar』は、7人も入ればいっぱいになってしまう小さなバー。真っ赤なビロードの壁一面に飾られた剥製や骨董品に圧倒されるものの、こじんまりとした隠れ家のような空気感はなぜか落ち着く雰囲気。古めかしい真鍮のゴブレットに注がれるビールや、アンティークのクリスタルに入れられたカルヴァドスを片手に密談に耽りながら夜を過ごすにはおすすめだ。
釜飯と焼き鳥の『鳥ぎん』が、渋谷の宮益坂下にも店を構えていることは意外と知られていない。11時30分〜21時30分のラストオーダーまで通し営業しているため、中途半端な時間に駆け込める店として知っていると便利。名物の釜飯は注文してから生米から炊き上げるため15分ほど時間がかかるが、アツアツのできたてを自分でしゃもじを使ってよそうスタイルは外国人観光客には喜ばれる。ビールと焼き鳥をつまみながらのんびり待つのがいいだろう。店内は広めでテーブル席も多いので利用しやすい。ベジタリアンの人には、(だしには鰹節を含むため厳格なベジタリアンには向かないが)『椎茸釜飯』や『筍釜飯』などのチョイスがあるのもうれしい。
渋谷109の並びに、昭和25年創業の鯨料理専門店がある。日本の調査捕鯨については国内外で賛否両論さまざまな意見があるが、そういった社会問題について話しながらコミュニケーションをとるのも意義深いかもしれない。もちろんすべての人におすすめできるわけではないことを明記しておきたいが、同店では外国人が訪れる際には、きちんと調査捕鯨による鯨肉を扱う専門店であることを説明している。皮からよく出汁のでる『はりはり鍋』や、土佐造り風に鯨肉をアレンジした『鯨たたき』などに舌鼓を打ちながら、捕鯨について語り合ってみるのもいいだろう。落ち着いた雰囲気の店内は渋谷らしからぬ風情で、テーブル席、掘りごたつの座敷席の用意がある。
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