神楽坂 恵さき えさき

神楽坂中ほどあたりを1本入った路地に佇む『恵さき』は、カウンター8席、小上がり8席という小さな店だが、肌寒さが増しておでんが恋しい季節ともなれば、連日予約で満席になる。おでんと炭火焼の2つを主軸に、良質な鮮魚を用いた刺身をはじめとする一品料理も充実しているという、酒飲み泣かせの店だ。特筆すべきは、注文ごとに小さな銅鍋で丁寧に仕上げるおでん。刺身にしても美味しいという鮮度のいいアジを使う『あじつみれ』は、ふんわりとした触感で、口の中でほろほろとほどける一品。九条ネギやショウガの香りがアジの風味をより一層引き立てる。また、大ぶりで身厚のハマグリをひとつだけ朱塗りの椀に盛り、たっぷりの出汁を張ったような、潔いといえる一品や、完璧な半熟に茹でた卵を出汁で温めたものなど、素材そのものに焦点を絞ったおでんが印象的だ。メニューにはおでんの盛り合わせもあるが、好みのおでん種を1つずつ注文して味わいたくなるはず。大人のためのおでん屋と言えるだろう。

• 東京、おでんの名店 15選