2013年08月07日 (水) 掲載
世界中で食糧難が叫ばれる最中、注目を浴びるのが昆虫食だ。2013年5月に、FAO(国連食糧農業機関)が、世界の食糧危機を克服するためのひとつの手段として、昆虫食の将来性について述べたことはまだ記憶に新しいが、元来、豊富な栄養源として日本でも一部の地域ではイナゴや蚕が食されてきた。英語では"Entomophagy"と言われ、イギリスやノルウェーを中心に、欧米でも昆虫食文化が広まりを見せつつある。ここ日本も例外ではなく、グロテスクな見た目とは裏腹に、虫が秘める高い栄養価や意外な美味しさに、「虫喰い」として開眼する人が少なくない。ここでは、東京都内でおいしく、安全に虫を食すことのできる5軒をピックアップ。ビギナー〜上級者向けまでレベル別に紹介しているので、それぞれに合った、虫料理を楽しんでみて欲しい。
独自の味を追求し、唐がらしラーメン、トマトラーメン、コク味噌つけ麺など、他店にはない個性的なメニューが並ぶ店だが、その中でも『みどりラーメン』(700円)は、ミドリムシの名で知られる微生物、ユーグレナの粉末をスープに使用したユニークな一品だ。動物と植物の両方の性質を備えたミドリムシは、「虫」とは言い切れないが、栄養価が高く、健康食品としても注目を集めているは事実だ。スープは緑色だが、これはミドリムシでは無く、バジルオイルの色。塩ベースのスープにバジルの香りがマッチし、ラーメンというよりパスタを食べている感覚になる。一杯で数億匹を摂取することになるというから、最後の一滴まで残さず飲み干したい。
生パスタ専門店、パストディオが手掛けるレストラン、アブセントが提供する『イナゴのペペロンチーノ』(1,200円)は、日本では古くから食料として親しまれてきたイナゴが器にちりばめられ、オシャレにアレンジされた一品。ビタミンやカルシウムが豊富で、貴重な栄養源として日本でも一部の地域では食料として親しまれてきたイナゴ。そのサクサクした食感ともちもちの生パスタが織りなす、異次元の組み合わせを是非堪能して欲しい。
『カフェ & バー リストランテ アブセント』の詳しい情報はこちら
本場の料理と雰囲気が楽しめるタイカラオケ店いなかむらで提供される『タッカテーントー』は、バッタの揚げ物。タイ産の直径10センチほどのバッタは、日本で親しまれるイナゴの約2倍ほどのサイズ。その大きめなバッタの姿揚げが山盛り出てくるのでビジュアルに怖じ気づくものの、その味はサクサク香ばしい甘辛の海老せんべいにそっくりなので、虫喰い初心者におすすめ。バッタにはミネラルやタンパク質も豊富に含まれていて、しかもコレステロール値は低いのでとてもヘルシー。バッタの足が口から飛び出る可能性が高いのであるので、デート時の注文には注意したい。
ミャンマーの東北部に位置するシャン州の料理を提供する同店では、幼虫の揚げ物『竹蟲』を食べることができる。『竹蟲』(900円)とは竹の中にいる直径5センチほどの小さな幼虫で、口に入れると強めの塩味のなかに微かに甘みがあり、舌の上で溶けてなくなる。まるでココナッツのような不思議な風味があり、独特な舌触り。一口サイズでスナック感覚で楽しめるので、最初は怪訝な顔をしていた人も、つい手が伸びるクセになる味だ。ビタミンやタンパク質栄養価も高いので、この夏は幼虫を食べて夏バテを予防を。
5席しかない小さなタイ居酒屋だが、タイ東北部出身の主人が作る本格タイ料理はどれも非常に美味しい。たとえそれが「蟻」であってもだ。『ヤムカイモッデーン』(1,000円)は、赤蟻の卵をふんだんに使用した酸っぱ辛いサラダ。見た目は茹でた大豆のようだが、中にはふ化しかかっているものもあり、しっかりと顔が判別できるものも。頬張った瞬間、口の中でみずみずしく卵がはじける。その食感はイクラに似ていると言えばいいだろうか。かなり濃いめに味付けされているので、蟻本来の味を確かめるのは難しいが、舌にいくらかの酸味が残る。蟻にはたんぱく質やミネラルが豊富に含まれているそうで、タイをはじめ、中国などでは健康食品として親しまれているという。たくましい体格をした、アリクイを見ればその栄養価も一目瞭然だ。ビールと共に美味しく食べたのは事実だが、正直もう一度食べたいとは思わない。
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