国立新美術館注目の現代アート

『アーティスト・ファイル2010―現代の作家たち』を観る

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国立新美術館注目の現代アート

「コンテンポラリー・アートに興味はあるけど、なにを観ればいいか分からない」という人にオススメなのが、国立新美術館で開催されている『アーティスト・ファイル2010―現代の作家たち』。年齢や国籍や表現方法に特別なテーマを設けず、バリエーション豊かにセレクトされた作家たちの顔ぶれを見れば、まさにひとつの決まりごとに縛ることのできない現代美術の“いま”を体験できる。

O JUN 《3m》 2006-2007年 顔料、岩絵具、グアッシュ/紙 撮影:山田新治郎

参加作家のなかでもベテランのO JUNの展示は、80年代に制作されたものから最新作までの約100点で、まさに集大成といえる。人間や船や建築物といったどこにでもある日常の風景が毛羽立つ感触をとらえた作品が、展示室の天井の高さを存分に生かした配置で並べられている。心地よくもあり違和感もあるこの部屋は、圧倒的な存在感を放っている。特に若手では、西洋の油彩画を引用しながらファンタジーと現実に楔を打つ桑久保徹、回文や文字や本のオブジェを通して言葉の背後に潜むものを封じ込めた福田尚代が今後も注目。他にも、立体作品や写真や映像などさまざまな作家が参加。それぞれの作家の目から見た“いま”が思い思いに並べられている。

各作家による個展が連続するように構成されているので、作品とじっくり向き合えるのと同時にそれぞれの個性をコンパクトに体験できる。現代美術に詳しい人はもちろん、お気に入りの作家を見つけるだけでも単純に楽しめる展覧会だ。

『アーティスト・ファイル2010―現代の作家たち』
場所:国立新美術館(ヴェニューはこちら
会期:2010年3月3日(水)から2010年5月5日(水・祝)
時間:10時00分から18時00分(入場の閉館の30分前まで)
休館:毎週火曜日(ただし2010年5月4日(火)は開館)

テキスト 岡澤浩太郎
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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