2014年05月16日 (金) 掲載
牛肉を味わうならばステーキだが、豚肉を味わうならばなんといってもとんかつだろう。とんかつは、洋食店で生まれた料理で、当時あまり受け入れられなかった西洋風の牛肉を使用したカツレツを豚にかえ、日本人好みにアレンジしたことが始まりとされている。以前公開した『東京、変り種かつ丼10選』から間もないが、とんかつをシンプルに楽しみたいという人のため再度特集を組むことになった。基本はソースで食べるとんかつだが、はじめに塩をかけて食べることを推奨している店も多い。ソース派の人もせっかくなので言うことをきいて、まずはシンプルに肉の旨味を味わって欲しい。
蒲田の行列店、丸一では数量限定の『極上ロースかつ定食』(通常2,500円、肉のサイズにより2,300円)をぜひ頼んで欲しい。SPF豚を使用しており、高温でさっと揚げられた分厚い肉はレア状態で赤みがかなり残されている。衣はきめ細かく薄付きで、あくまで主役は肉ということを感じさせるバランスだ。レモンをしぼり、岩塩をかければ、肉の濃い味わいが一気に押し寄せる。他のとんかつとは別の料理といってもよいほどのインパクトだ。
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池上のとんかつ燕楽は、御成門の老舗、燕楽の暖簾分け店。庶民的な佇まいながら、山形平田牧場から仕入れた三元豚に、自家製のパン粉、内蔵を包む腸間膜から絞り出した貴重なラードを使用するなど、こだわりぬいたとんかつを食べさせてくれる。低温で揚げたさっくりとした衣と、ローズ色の絶妙な火入れの肉はジューシーで絶品。ロースやヒレ定食の他、ランチ時の『カツランチ』(850円)や『とんかつ定食』(1,250円)などリーズナブルなメニューもあり良心的だ。
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武蔵小山駅のたいようはもち豚のとんかつが有名。この店の『ロースカツ定食』(1,500円)は、衣は粗めでサクサク、豚はもち豚というだけあってしっかりとした弾力があり、脂のほんのりとした甘味が広がるジューシーな味わいだ。火の入れ加減が絶妙で断面は全体にうっすらピンクがかる。注文を受けてから仕込むため少々時間はかかるが、店主の真摯な仕事ぶりについ目を奪われ、待ち時間もそれほど苦ではない。人気店なので予約をおすすめする。
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創業1939年の老舗、とんきは、池波正太郎の著書にも登場する名店。店内1階は、広い調理場を白木のカウンターが囲み、職人の技を眺めることできる。黒みの強い衣は薄付きできめ細かい。ざくざくという表現が合うようなクリスピーな仕上がりだ。『ロースかつ定食』(1,900円)は、やわらかい肉質で、豚肉がたっぷりのとん汁も絶品。キャベツ、ご飯に加え、このとん汁もおかわりができる。店はいつも混んでいるが、従業員は皆テキパキとしていて行き届いたサービスが受けられるだろう。
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六本木のイマカツで使用しているのは大自然のなかで育ったやまと豚。肉の食感や旨味を活かすため低温、高温を使い分け揚げている。『特撰ヒレかつ膳』(2,160円)は、中央にほんのりピンクが残され美しいグラデーション。しっとりと柔らかい仕上がりだ。はじめは、本州最西端響灘の自然海塩で、そのあとソースで食べるようすすめられるが、旨味を引き出す塩との相性は抜群で、ついついソースをかけることを忘れてしまいそうになる。
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西麻布の豚組は趣のある日本家屋を利用した高級とんかつ店。ロース、フィレともに常時数種類のブランド豚が用意されており、好きな銘柄を選ぶことができる。日本全国の銘柄豚を食べ歩き厳選しており、扱うブランドは変化し続けている。素材にこだわっているため価格設定も高めだが、ランチの『フィレかつ膳』ならば、1,800円と比較的手頃に銘柄豚が味わえる。欲張りな人には本日のおすすめ5種を串かつにした『豚組膳』(3,500円)もおすすめだ。
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昼のみ営業をおこなう西麻布の人気店、三河屋では名物の『ミックス定食』を注文する人が大半だが、『とんかつ定食』(1,100円)を放っておくのは非常にもったいない。もともとは精肉店を営んでいただけあり、リーズナブルながら素材は良質。しかし、この店の魅力はなんといっても揚げの上手さにある。からっと揚がった衣は食感をしっかりキープし、小気味好い音を立てる。他の定食同様ハムカツやコロッケなどのおまけがつくのも嬉しい。
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高田馬場の成蔵では、ロースは並、上、特の3種、ヒレは並、特の2種用意されているが、ヒレの特はヒレの中で最も柔らかい牛肉のシャトーブリアンにあたる部位を使用しているため、この店ではシャ豚ブリアンと呼ばれている。純銅製の鍋を使用し低温でじっくり揚げられており、衣はふんわりさくっと軽い食感で、肉はヒレながらジューシーで名前に恥じない柔らかさ。行列店なので開店直後が狙い目だ。
写真:『霧降高原豚シャ豚ブリアン(180グラム)かつ定食』(2,170円)
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高田馬場駅近く、新目白通り沿いにある人気店、とん太で是非注文したいメニューは、『特ロースカツ定食』(2,160円)。薄めのベージュ色をした衣は、サクサクなのに口のなかでふんわりする、絶妙な揚げ具合。ほんのりピンク色の肉は、ジューシーで絶品だ。最初の一口は何もつけずに食べて、衣の素晴らしさを味わおう。ソースや塩、胡麻など、色々な味を楽しめるのもうれしい。また、みそ汁は豚汁、わかめ、しじみを選ぶことをできるが、豚汁がおすすめ。
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神楽坂のあげづきでは農林大臣賞を受賞した宮崎県産の稀少なブランド豚『南の島豚』を使用。通常よりも長い期間熟成され、芳醇な香りとほのかな酸味、さらっとした脂が特徴だ。独自の揚げ方で時間をかけ揚げるため、衣は薄い色あいでふわっとやわらかく、肉との一体感がある。おすすめは『特ロースかつ定食』(2,710円)。まずはじめに卓上の岩塩で一口、次に酸味の効いたフルーティーな自家製ソースをつけて味わおう。
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1962年創業の水道橋のかつ吉は、三島由紀夫氏や川端康成氏ら文豪も愛したという名店。店内は古材や骨董を使用した重厚感のある古民家のような趣がある。使用する肉はあえて銘柄などを限定せずその時期ベストなものをセレクト。揚げ油にはコーン油とごま油をブレンドし、軽い食感だ。ご飯は白米と青しそご飯が選択出来たり、キャベツではなく海藻などが入ったサラダが付くなど、かつ以外にも抜かりが無い。
写真:『銘柄豚ひれかつ定食』(150グラム/2,400円)
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創業明治38年という老舗洋食屋。上野とんかつ御三家に数えられる有名店で、その味は白洲正子も愛したという。重厚な木の扉を開けば凛とした空気に思わず身が引き締まるだろう。この店の『カツレツ』(2,650円)は低温揚げの白っぽく独特な色みをしている。きめの細かい衣は軽い食感で、脂や筋などを丁寧に取り除いたロースは、ロースとは思えぬあっさりとした味わいだが、しっとりと柔らかく、肉の奥深い味が凝縮している。備え付けのソースがウスターソースとケチャップなのも洋食屋ならでは。
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蔵前駅からほど近い、春日通りと国際通りの交差点近くにある老舗のとんかつ屋。 とんかつはロースとヒレの2種類。カツは低温でじっくりと揚げられており、薄い衣はカリッと香ばしく、じわっとにじみ出る肉汁は濃厚な味わい。人気のヒレカツはさっぱりとした赤身の肉のうま味を堪能できる。卓上にはとんかつソース、醤油、塩、リーペリン・ソース、甘口のウスターソースが並び、好みの味付けで上質な豚肉の味を楽しめる。
写真:『とんかつ ヒレ』(2,400円)
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秋葉原電気街口から徒歩3分、メイド達が立ち並ぶ一角を抜けた先にある老舗とんかつ店丸五。この店のおすすめは『特ヒレカツ』(2,100円)。衣は粗めでサクッと軽く、中央にピンク色を残した3センチ程の分厚い肉は、ほんのり甘くて柔らかく、豚本来の濃厚な旨味がぎゅっと詰まった逸品。素晴らしいのはとんかつのみならず。この店は脇役の御飯、赤出汁、お新香までハイクオリティなので、是非セットで注文してみて欲しい。
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銀座のとんかつ割烹 かつぜんは、とんかつのジャンルで唯一ミシュラン1つ星を獲得したことで知られている。銀座の一等地にありラグジュアリーな雰囲気かと思いきや、庶民的な接客で居心地が良い。鹿児島産の黒豚を使用しており、ランチの『黒豚リブロースかつ』(4,700円)はロースの中で最も厚みがあり、サシの入った部位を使用。脂の甘みが強くそのままでも十分だが、とんかつソースとともに卓上に並ぶにんにく味噌ソースは他ではあまりない味わいなのでぜひ試して欲しい。
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