2014年02月14日 (金) 掲載
丼ものの定番、天丼。起源は1830年代と言われており、江戸時代から愛され続ける日本の重要な食文化だ。高カロリーフードの代表のような存在の天丼だが、専門店で多く使用されているごま油は、コレステロールを下げる効果のあるリノール酸、オレイン酸、抗酸化作用のあるセサミンなどを含み、意外と健康的。ここでは、リーズナブルな価格で人気を博す天丼専門店から、高級店のランチまで、タイムアウト東京が厳選した15軒を紹介する。衣ひとつとっても、さくさく食感のものから、たれの染みたしっとりタイプまでバラエティ豊かなので、好みの1軒を是非見つけて欲しい。
天丼を提供する店が数多くある浅草だが、観光地価格で質以上に高い店も少なくない。そんな中で誠実な価格設定と言えるのが、明治3年創業の老舗、天麩羅 中清だ。店は鯉が泳ぐ池のある中庭などもあり、料亭のような格式ある雰囲気ながら、夜でも天丼を提供している。『かき揚げ丼』(2,625円)は、芝海老と青柳の貝柱が、もっちりと粘り気のある厚い衣に包まれ、どっしりとした食べごたえ。甘辛い味付けはどこか、唐揚げを彷彿とさせる。
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神田川と隅田川の交わる河口付近にある予約制の老舗天ぷら専門店。ランチタイムもカウンターで職人の手さばきを見ながら食事を楽しむ事ができ、『天丼』(2,000円)を頼んでも、はじめに海老の足が揚げたてで供される。天ぷらは巻海老のほか、蓮根のしゃきしゃきとした食感が小気味良い海老と小柱のかき揚げ、冬はブロッコリー、春は山菜など、季節の野菜がのる。黒めの香ばしいタレも上品に揚がった天ぷらと好対照。
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三ノ輪の天丼専門店、土手の伊勢屋は明治22年頃創業の老舗。建物から店内までレトロな趣に溢れている。天丼は、ネタの異なるイ(1,400円)、ロ(1,900円)、ハ(2,300円)の3種があるが、せっかくなら穴子が入るロ以上を頼みたい。丼から大きくはみ出る穴子のほか、海老2尾、しらすと小海老と貝柱のかき揚げ、野菜など、ネタはひとつひとつが大ぶりでボリューム満点。衣はさっくとしていながら、ふんわり。たれも甘さと辛さのバランスが良い。行列ができる人気店なので、平日早めの時間がおすすめ。
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人形町にある、天ぷら中山の『天丼』(1,050円)は黒天丼と呼ばれており、蓋を開けると予想以上の真っ黒なビジュアルに驚く。具材は、海老、きす、穴子、千切りの人参など、パンチのある衣に負けない存在感がある。創業以来、継ぎ足し続けているたれは、醤油の香ばしいさが際立った濃厚な味わい。見た目程しつこくないのでぺろりと食べられてしまうだろう。
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下町の風情が漂う人形町で3代続く天ぷら専門店。天丼は、中(1,400円)、上(2,300円)、特上(3,200円)があるが、店主いわくもっともコストパフォーマンスが良いのが『上天丼』だという。天ぷらは純正胡麻油のみを使用し揚げられ、ふたを開けるとごまの香りが広がる。その日の仕入れによって素材は異なるが、巻海老に江戸前穴子、きす、蓮根、かき揚げなど、質、両共に申し分無い。
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日本橋の天丼専門店、金子半之助は、1時間待ちは当たり前の行列店。人気の秘密はやはりその安さだろう。メニューは『天丼』1種のみで価格は880円。金子半之助のレシピを再現した甘さ控えめのさらっとした丼つゆに合う素材を厳選しており、海老2尾、丼からはみ出る大きな穴子、イカと小柱のかき揚げ、獅子唐、卵、海苔と、価格からは信じられないボリューム。半熟状態の卵を崩しながら味わおう。付け合わせのがりごぼうもさっぱりとして箸休めにぴったりだ。
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京橋駅からすぐそばにある深町は、ミシュランで一つ星を獲得した天ぷらの名店。四季の美味を感性豊かな天ぷらで楽しめる。『特製かき揚天丼』(2,500円)は、百合根、帆立貝柱、海老のほか、空豆など季節のたねが入る。生搾りの太白胡麻油でカラッと揚げられた衣は頬張る度にさくさくと良い音がなる。タレは濃いめでたっぷりとかかり、こってりとした味わい。蜆がたっぷりのきりっとした赤出汁が天丼を引き立てている。
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てんぷら黒川は、築地場外の外れにも関わらず行列ができる人気店。理由はなんと言っても素材の良さだろう。毎朝築地から仕入れる魚介はもちろん、野菜も千葉県の契約農家直送のものを使用している。ランチの天丼はすべて1,500円だが、おすすめは帆立と芝えびの『かき揚げ天丼』。天ぷらは揚げたてをそのままのせ、上から甘めのたれをさっとかけているので、さくっとした食感が残る。程よく火の通った大ぶりな帆立のぷりっとした食感とのコントラストが素晴らしい。
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神谷町駅から直結の天ぷら かつみは、カウンター10席程小さな店で、昼時となるとビジネスマンを中心に行列ができることもしばしば。『天丼』(1,300円)は、山盛りのご飯の上にかき揚げ、その周りを取り囲むように、海老、きす、穴子、茄子やおくらなどの野菜が盛られ、迫力満点。揚げたてを甘めのたれにさっとくぐらせており、衣はほんのり食感が残る。とにかくご飯が多いので、食べきる自信がない人は注文時に少なめで、と頼もう。
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先代の後を継ぎ2代目の女主人が店を切り盛りする赤坂の天茂。ランチタイムには『天丼』、『かき揚丼』(各1,300円)の2種類の天丼が用意されているが、ほとんどの人が頼むのは『かき揚丼』。具材は、小海老と小柱とシンプルな具材をふんわりと衣が包みしっとりとした食感。きりっと濃いめのたれは、ご飯との相性も良く、上にのせられたゆずの皮が良いアクセントになっている。天丼のお供、赤だしのみそ汁(100円)も忘れずに頼もう。
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九段下の人気店もも瀬では、是非『穴子ばら揚げ丼』(1,260円)を頼んで欲しい。からっと揚がったさくさくの穴子は、一口大にカットされ、大量の大葉と共に盛られている。米には海苔が敷かれ、胡麻が混ぜ込まれ、タレも少なめで、いわゆる天丼とは大きく異なるさっぱりとした味わい。追加のタレと山椒が添えられているので、お好みでかけて楽しもう。ランチは行列必至なので、開店時間の11時30分を狙っての来店がおすすめ。
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江戸川橋の天仙は、高級店に負けないクオリティながら、リーズナブルな価格が魅力。『特製天丼』(1,600円)も具材は海老、穴子、きす、野菜のほか、海老しんじょをつめた肉厚な椎茸など、値段に甘んじない具材がふんだんに使用されている。衣は厚めでもっちりしているが油っぽさはなく食べやすい。一欠片乗った柚子の皮が良いアクセントになっている。
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神楽坂に店を構える天孝は、夜はコースが16,000円からという高級店。入るのも少し勇気がいるが、昼間なら比較的リーズナブルに楽しむ事が出来る。『天丼』(2,500円)のネタは、海老2尾、小海老のかき揚げ、 きすに、蓮根、さつま芋、獅子唐などの野菜。衣は薄めでふわっと軽く揚げられ、たれも程よい甘さで上品な味わい。静かな食事を楽しみたいときに利用したい。
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みや川は、関西天ぷらの店。表参道駅から徒歩10分ほどの立地ながら、昔ながらのほっと安らげる落ち着いた佇まい。ランチで頼める『上天丼』(1,800円)は玉ねぎ、インゲン、さつまいも、ズッキーニ、茄子などの野菜に、魚介は、海老、穴子、いか、きすなど、とにかく具沢山。衣は関西風の薄いものでさりげなく、素材の味を引き立てている。食べごたえ抜群だが、野菜の多さも手伝ってかもたれる事無く食べきれるだろう。
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東京を中心に多くの店舗を構えるつな八の総本店が新宿にある。大正13年よりこの地に店を構えており、暖簾をくぐると当時の面影が残る風情ある空間が広がる。平日限定の『天丼』(2,100円)は、大きな海老が2本、小海老のかき揚げ、肉厚な穴子、野菜と素材にもこだわりが感じられる。衣は厚手でさくさくとした食感。カウンター席で職人の手さばきを眺めながら料理が来るのを待とう。
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