イラストレーション:Haruna Nitadori
2012年02月07日 (火) 掲載
野宮真貴が、デビュー30周年のアニバーサリーを記念し、アルバム『30 –Greatest Self Covers & More』を1月25日にリリースした。大橋トリオ、カジヒデキ、□□□(クチロロ)、コーネリアス、鈴木慶一 & 曽我部恵一、DAISHI DANCE、高橋幸宏、DJ FUMIYA(RIP SLYME)、テイ・トウワ、ヒャダイン、雅-MIYAVI-、YOUR SONG IS GOOD、レキシ(50音順)と、非常に個性的なラインアップをプロデューサーに迎え、自身の30年の歴史を振り返っている。デビュー30周年を迎えてなお、美しさの衰えない野宮真貴に話を聞いた。
― 先輩、後輩、同期のミュージシャンとコラボ―レートして、どうでしたか?
野宮:本当に色んなタイプの男性とデートした感じです。ピチカート作品のプロデューサーだったコーネリアスの小山田くんや、デビュー当時のプロデューサーだった鈴木慶一さんのように、昔から知り合いで、また再び一緒にレコーディングした方もいらっしゃいます。それから、高橋幸宏さんとかカジヒデキさんとか、昔から知ってはいるけど一緒にお仕事させていただくのは初めてだったりする方もいて。皆さんそれぞれの色を出してアレンジしてくださいました。
― 特に印象的なデートだった方はいますか?
野宮:ヒャダインさんはすごくピチカートマニアで、もしかしたら、私よりピチカートのことに詳しいんじゃないかっていうくらいのマニアぶりだったんですけど(笑)。レコーディングの時も終始、一番ハイテンションで、(感激して)泣いたり笑ったりして、おもしろかったです。
― 人選はどうやってされたんですか?
野宮:まずは、選曲をかなり時間を使って、3~4カ月かけてやったんです。30年歌ってきたから、楽曲の数も多かったし、皆が知っている曲とか、私が思い入れのある曲とか、スタッフの意見もあるし。
選曲した後に、人選に入りました。雅-MIYAVI-くんは、ギターや、すらっとした感じが『スーパースター』にぴったりだと思って私がナンパしました(笑)。ヒャダインは面識がなかったけどピチカートのファンであることは知っていたので、『ベイビィ・ポータブル・ロック』を一緒にやったら面白いかなっていう期待がありましたね。(雅-MIYAVI-やヒャダインのように)曲のイメージとプロデューサーが合致していて、私がぜひこの人とやりたいっていう方と、それから、この曲をこういうアレンジにしたいというイメージがあって、大橋トリオや、YOUR SONG IS GOODとか、スタッフに推薦してもらった人もいます。
― ボーナストラックに入っている曲は…
野宮:この曲があったことは、去年ポータブル・ロックのアルバムを再発するまで忘れてたんです(笑)。ポータブル・ロックは80年代に2枚アルバムを出していて、そんなに売れなかったんですが、80年代後半に、もう1枚アルバムを出す話があって、新曲を2曲書いたうちの1曲なんです。
実は、歌詞を書いてくれたのが、小西(康陽)さんなんです。その頃、私はCMソングとか、バックコーラスの仕事をやっていたんですが、ピチカートにもコーラスで参加していました。そうこうしているうちに、その当時メインボーカルをしていた田島(貴男)くんがやめることになって、私がメインボーカルに抜擢されて。でも、ポータブル・ロックも新曲を作ってレコーディングもしたし、悩んだんですけど、小西くんから毎日電話がかかってきて、最後には、歌わなくてもいいから入ってくれって言われて(笑)。その熱意に負けて、ピチカートで歌うことに決めたんです。
21年前に作ってお蔵入りになっていたその音源が、今回の30周年アルバムのレコーディング後半に発掘されて、30年の私の歴史を振り返るようなアルバムだし、ポータブル・ロックとピチカートをつなぐ大事な曲なので、当時の音源のまま、ボーナストラックという形で収録しています。
― 30年間ずっと変わらず、いつもおしゃれにされていますが、おしゃれをしない日はないんですか?
野宮:そんなにおしゃれじゃないですよ(笑)。もっとおしゃれな人っていると思うから、一般的なおしゃれとは違って、ちょっとずれている気がしますね。おしゃれをしたくない日もあるけど、それは調子の悪い時だから、バロメーターにもなっていますね。おしゃれする気力もないみたいな時は、けっこう疲れていたりする時だから、自分で危険だと思いますね(笑)。
― 服を決めるのは時間がかかりますか?
野宮:かからないです。特別なドレスコードがあったり、パーティがあるとわかっていれば、前日に決めますけど、そうでなければ当日の気分とか、天気によって決めます。でも、やっぱり新しい服は着たくなりますよね。
― 1着買うと、前に持っていたのは捨てるんですか?
野宮:捨てないから、どんどんたまっていっちゃうんです。それが悩みのタネ(笑)。
― 今はやりの“断捨離”とかしないんですか?
野宮:そうしたくて、“断捨離”本をすごくたくさん読んでいるんだけど、本を読んでやった気になっちゃうというか(笑)。でも今、すごい決意をしていて、2月から『PASS THE BATON』にスペースをいただいて、衣装とか普段着とかをこの機会に手放そうと思っているんです。そんな時にテレビの仕事で、スタジオのセットに過去の衣装をトルソーで飾りたいと言われたんですよ。売っちゃうと、今後そういう企画ができなくなるから、やっぱりまだ手放さない方が良いのかな、って思ったり(笑)。バービーとか、靴もたくさんあるんです。履かないんだけど、大好きなデザイナーの靴ばかりを集めたりしていたので、コレクションといえばコレクションだし。色々と考えちゃうと決断が鈍るんですよね。
― 今、お好きなデザイナーとか、ブランドはありますか?
野宮:特に誰というのはないですが…さっき、Kate Spadeに行ってすごく可愛いバッグを買いました(笑)。Kate Spadeとか、マーク・ジェイコブスとか、ビンテージが好きなデザイナーで、そういう要素をちょっとコレクションに入れてくるような服とか小物が好きですね。
― 衝動買いが多いですか?
野宮:衝動買いって言うのかな。今日もバッグを見たとたんに買っていたから(笑)。でも、普通の51歳は、バーキンとか買いたいんじゃない(笑)。息子の授業参観に行くと、バーキンを持っている方もいますね。
― お仕事と育児はどう両立しているんですか?
野宮:子どもを産む前後は休んでいました。でも、写真も撮りためていましたし、作品もあったので、休んでいることはあまりわからなかったと思うんです。その頃はワールドツアーもやっていたから、子どもが小さいのに1カ月くらい家をあけないといけなくて、実家のマンションのすぐ上に部屋を借りてあずかってもらったりしましたね。協力がないとなかなか両立は難しいですよね。
― 子育てのルールとかはあるんですか?
野宮:音楽の趣味も全然違うし、女の子だったらお洋服とかバービーとか共有できることはたくさんあると思うけど、男の子はまったくわからないのが面白いです。
小さい時から時々、コンサートとか、撮影とか私の仕事場に連れて行ったりしていました。そうすると、色んな職業の人がいるし、男性だけどスタイリストでミシンで縫っていたりするのを自然に見て。私の仕事のスタッフとか、私が親しくしている人とも顔見知りになって、楽屋で宿題を教えてもらったりしていましたよ。でも、大きくなるのはあっと言う間でした。小さい時は手がかかって大変だけど、全部受けとめて楽しまないと。子供が小さい時期は本当にすぐ過ぎ去ってしまいますね。
― 30年もあっという間でしたか?
野宮:はい。ソロのシンガーでデビューして、ポータブル・ロックやって、ピチカートファイブやって、またソロになって。30年でも色々変わってはいたけど、ずっとシンガーとして仕事をしていたから。でも、こんなに歌うとは思っていなかったですけど(笑)
― 30年前に、今の姿を想像していなかったですか?
野宮:していないですね。でも、歌っているのが好きだし、ステージもレコーディングも好きだし。仕事をしていると色んな方と出会いがあって、広がっていくので、楽しいですよね。
30年がひとつの区切りになって、もう一度歌いたい歌をセルフカバーしたアルバムも出したので、ここからまた新しく始めるきっかけにもなると思います。今回もいろんな方と音楽ができたし、これからも、やりたいことがあって、歌えるのであれば、続けていきたいと思います。
― 東京の街で、好きな場所や、良く行く場所はありますか?
野宮:特に良く行く場所はないんですけど(笑)、東京タワーはすごく好きですね。遠くから見ると綺麗だし、東京タワーっていう名前が昭和っぽくてすごくいいなと思って。今、住んでいる部屋からも見えるんですが、海外から戻って東京タワーを見るとすごくほっとするし、帰ってきた、っていう感じがしますね。最近、ツイッターで、夜の7時に毎日つぶやいているんです。お正月に下町にある実家に戻ったから、スカイツリーを撮ってつぶやこうと思ったら、ライトアップされてなくて、何も映らなかったんだけど、それをアップしました(笑)botじゃなくて、ちゃんと自分でつぶやいているんですよ。一応、1カ月くらい続いてます。
― アラームとかかけているんですか?
野宮:そう。3分前に。テレビの本番では無理だけど、この間トークショーやっている時に7時になったから、ちょっとすみません、って言ってつぶやいちゃいました(笑)
― 3月にはライブもありますね。
野宮:3月19日に、渋谷O-EASTでライブをします。デビューソロから現在までの曲をやろうと思っていて、アルバム『30』の曲もやりますし、ポータブル・ロックのパートもあります。このアルバムに参加してくれた方も、カジヒデキさん、鈴木慶一さん、ヒャダインさんもゲストで来てくださって、お祭りみたいな感じです。提灯も出しますしね(笑)
野宮真貴デビュー30 周年記念アルバム
『30 -Greatest Self Covers & More!!!-』
AICL 2343
¥3,059(tax in)
<初回生産限定:スペシャルパッケージ>
オフィシャルHP:www.missmakinomiya.com/
30周年記念サイト:www.nomiyamaki.com/
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