パブリックアイ 第6

パーシャ・アルペエブ(32) 丸の内にて

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パブリックアイ 第6回

パーシャ・アルペエブ ジャーナリスト

今日はここで何をしているんですか?

パーシャ:オフィスが丸ビルの中にあります。今はお昼休みです。

お仕事は何時から何時までですか?

パーシャ:金融機関に向けての記事を書いているのですが、朝8時くらいから、夕方7時くらいまでです。

仕事が終わったら丸の内で飲んだりするんですか?

パーシャ:速攻で帰ります。青山とか、渋谷とか、恵比寿に行くことが多いですね。恵比寿には一目惚れして、住んでいるんですよ。

恵比寿の何に一目惚れしたんですか?

パーシャ:街にはそれぞれキャラがあるでしょ。六本木は遊びに行くのに良いし、新宿は堅いし、渋谷はちょっと若い。だけど、恵比寿は何でもちょうど良い。色んな面があって、おいしいところが全部そろっている。代官山も近いし、広尾も目黒も近い。それに、終電が終わったらがらっとする街が多いけど、恵比寿では終電の後に独自な世界が広がっているんですよ。僕は、わざわざ終電の後まで残ってみたことがあるんだけど、恵比寿にはまだまだ人がたくさんいて、独自のエネルギー源があると思います。

どうして日本に来たのですか?

パーシャ:ちょっとかっこ良く言うと、三島由紀夫の『真夏の死』を読んだのがきっかけです。僕は、大学で東アジアの勉強をしていて、中国語を専攻していました。中国にも半年留学していたりして、中国に行く気満々だった。だけど、友達に薦められて三島を読んで、ものすごい響いた。なんやこれ、って思ったの。日本のことは前から気になっていただけど、それから村上春樹とか、大江健三郎とか、安部公房とか、読みまくった。

村上春樹も大江健三郎も安部公房も難しいですよね?

パーシャ:安部公房はソ連で生まれた人にとってはわかりやすいですよ。僕はウクライナ出身です。歯車になっている人の気持ちは、ソ連の生活に近い内容で、わかりやす過ぎて、逆にエキゾチック性は全くない。それで、本を読んで、日本に行かないといけないと思って、それっきりです。

日本に来たのはいつですか?

パーシャ:8年前です。最初は北九州で英語の先生をしていました。東京以外だったらどこでも良かったんですよ、外国人はどうしても港区に集中してしまうから(笑)。日本の田舎は良いですよね。小倉で2年半教えていましたが、九州は最高でした。

では、どうして九州を出て、東京に来たんですか?

パーシャ:英会話の先生以外の仕事をするなら、東京に行かないといけないと思いました。ジャーナリストの仕事は面白いですよ。僕は好奇心旺盛で、なんでも知りたくて仕方ないから。知ることには限界がないでしょ。もちろん色々考えないわけじゃないけど(笑)。

さらに“パーシャ”さんから


「趣味はダンスです。日本はどこにいても、広島でも鹿児島でも、夜駅に行けば必ずダンサーがいて、いつも、踊れるクラブはどこにあるか教えてもらうんですよ」

「良く使うiPhoneアプリは、『evernote』『convertbot』……それから『Kotoba!』は便利で、言葉の意味と漢字の書き順がわかる」

「突然な出会いによって、人生がブルルン!と変わったことはたくさんある。だからいつも心をオープンにしている。日本は安全だから、心を開いていても、大した害はない(笑)海外だとそうはいかないかも」

テキスト 東谷彰子
撮影 道辻麻依
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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