パブリックアイ 第52

モモ(26)三軒茶屋にて

パブリックアイ 第52回

モモ 看護士

このあたりにはよく来るんですか?

モモ:いま職場の寮に住んでるんですけど、そこから電車で1本なのでたまに来ますね。

お仕事は何を?

モモ:看護士です。といってもこの春、なったばかりなんですけど。

26才ということは、遅いほうになるんですか?

モモ:大学で病院実習があって、それで看護士に憧れをもったんですが、親に反対されて…。「社会を経験しろ」と言われたので、大学卒業後に就職して、1年間損保会社で医療アドバイザーをしてました。その後、専門学校に行って、看護士の資格を取得したんです。

わりとスムーズにいったんですね。

モモ:でも看護学校の入学試験は、倍率が17倍だったんですよ。70人中5人しかとらなくて。本当に奇跡的に受かったので、それで運命かなと思ってしまって(笑)。あっという間に3年がたって卒業しました。

給料は変わりました?

モモ:明日がお給料日なんですけど…初任給。OLのときよりはかなり少なくなると思いますね。基本給はしばらく変わらないんですけど、夜勤手当というのがあって。それも7月からなんですけど。最初は管理職にもなれないので、それくらいしか上がる要素はないんです。

まだ日は浅いですが、仕事で辛いことなどはありましたか?

モモ:大学病院なので、人はいるし環境は整っているので、そんなにないですね。個人経営の病院は、大学病院より自由だと思うんですけど、その分やることも多かったり、責任もあったり。大学病院は組織なので、部長がいて、次長がいて、会社ですね。だから私は大学の職員になるんですよね。

配属される科によって、仕事の“大変さ”はかわるのでしょうか。

モモ:看護士の仕事は、科によってかわらないですね。やることは一緒。患者さんの自立度が高ければ指導をしなければならないし、生命の危機にある患者さんがいれば管理しなければならない。私は腎臓内科なんですけど、水が制限されてる方もいます。耳鼻科でも重傷におちいる方もいますし、“楽な病棟”というのはないかな。

テレビで取り上げられるのは、救命とかが多いじゃないですか。患者さんが来れば忙しいけど、ずっと来るわけじゃないんです。患者さんがひとりもいない、ということもある。どの科も平等ですね。医者じゃないから治療はできないので、治療を助けるための看護をしていく、ということです。

大病の人や大ケガをしている人と日々向き合うのは辛くないですか。

モモ:それが辛くて辞めていく人も多いみたいです。新人の役3割が軽いウツになるらしいんですよ。でも、そういった患者さんに共感して、先のことを提案していくのが仕事なので。負けてられないなという気持ちですね。

さらに“モモさん”から


「お天気お姉さんにもなりたかったですよね。気象予報士。こっちは4%しか受からないんですけど(笑)。森田さんの本も買いました。途中まで勉強してたんだですよ、低気圧あたりまで。高気圧だったかな」

「前の部屋ではクモと一緒に住んでたんですよ、虫は苦手なんですけど、クモは虫を食べてくれるので。でも一度、手に乗られたので、怒ったら部屋の上のほうから降りてこなくなりました(笑)」

「職場は女性ばかりなので、大変なんですよね。考え方や視点が違うから、男性看護士も半分ぐらいは居たほうがいいかなと思います」

テキスト Takeshi Tojo
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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