インタビュー:Sebo K

注目のベルリン・クラブシーンのキーパーソンが語る

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インタビュー:Sebo K

ベルリンのDJ/プロデューサー、Sebo K。ミニマル・テクノ・ブームが一段落した現在、人気が高まっているハウス・シーンの中でも特に注目を集めているアーティストの1人である。過去4年間、学生とアーティストという二足のわらじで活動してきた彼が、ようやく学業を修め、2010年春からは音楽活動に専念するというから、ますます活躍が楽しみだ。来日を間近に控えた彼に、話を聞いた。

TOT:まずは基本的なところから教えて下さい。出身はベルリンなのですか?

生まれたのはドイツ西部の小さい町なんだけど、4歳のときに家族でベルリンに引越して来たんだ。それ以来ずっと住んでいるから、僕の人生のほとんどはここで過ごしているよ。

TOT:DJを始めたのはどんなきっかけで?

16歳の頃、当時はブレイクビーツや初期のドラムンベース、ジャングルといった音楽に興味を持ってDJを始めたんだ。アレック・エンパイアがオーガナイズしていた『Bass Terror』というパーティーのレジデントを2~3年やっていた。その後90年代半ばになって、ハウス・ミュージックと出会ったんだ。それからハウスをプレイするようになった。

TOT:最初にハウスに目覚めたきっかけとなったパーティーや曲はあるんですか?

いや、何かのきっかけでハウスに目覚めたというよりは、その頃のドラムンベースに魅力を感じなくなっていたんだ。グルーヴが感じられないものが多くなっていた。でもエレクトロニック・ミュージックには興味があったから、もっと他のものも聴いてみようと思ったんだ。ハウスにはグルーヴがあったし、ドラムンベースよりもゆったりしたテンポで、一番しっくりきた。

TOT:90年代はベルリンでも結構ハウスが流行っていたと聞きましたが、当時はかなり身近なものだったんですか?

流行っていたかというと、やはりベルリンではテクノが主流だった。だからベルリンのクラブはほとんどがテクノ・クラブだったけど、それらのクラブがサブルームではハウスを流していた。僕がハウスを気に入った理由も、テクノやドラムンベースがインダストリアルな音であるのに対して、ハウスには温かみがあったからなんだ。

TOT:あなた自身はそれからずっとハウスDJであると思いますか?

うーん、そうだね。基本的にはそうだと思う。とはいえ、そのときによって少し違った方向性のプレイをすることもあるよ。ややハードな音にすることもあるし、ミニマルも好きだし、僕の選曲の幅はかなり広いと思う。でも一番情熱を注いでいるものは何かと聞かれれば、間違いなくハウスだね。

TOT:昨年リリースされたミックスCD、『Watergate 04』はあなたのスタイルがよく表れたとてもいいミックスだと思いますが、ベルリンのWatergateがどんなクラブなのか、少し紹介してもらえますか?

ああ、もちろん。Watergateはかなり特別なクラブだと思うね。行ったことのない人に向けて説明すると、まずダンスフロアの片側が全面窓になっていて、窓からシュプレー川の景色が見えるんだ。ほとんどのクラブは真っ暗で窓がないから、それだけでも他のクラブとはだいぶ違う。特に夜は街の灯りが水面に反射してすごく綺麗なんだ。サウンドシステムもとてもいいし、ラインナップもいい。そして、LEDを使った有名な照明がある(*天井全面にLEDが埋め込まれていて、様々なパターンや動きが出せるようになっている)。今では世界中の色んなクラブがここを真似てLEDの照明を導入しているけど、Watergateが最初なんだ。僕自身もこのクラブとは付き合いが深くて、開店当時からレジデントとしてプレイしている。だからスタッフはみんな友達なんだ。

TOT:初来日は1年ほど前でしたっけ?東京はWombでしたよね?

そう。2008年の10月だったと思うよ。今回は日本、オーストラリア、東南アジアと回るんだ。

TOT:少しは日本でオフタイムも楽しめそうですか?

うん。前回行ったときにとても気に入ったので、今回はバケーションも兼ねて彼女も一緒に連れて行くんだ。彼女に日本を見せてあげたいと思ってね!

TOT:日本のどんなところがそんな気に入ったんですか?

たくさんあるけど、特に日本の人たちのメンタリティというか、人との接し方かな。ドイツ人とは全然違った。もっとフレンドリーで、丁寧で。それに食べ物も本当においしいよね。スシは僕も大好きなんだ。日本の人がヨーロッパに来ても同じだと思うけど、やはりすごく文化が違うから、その異文化体験がとても面白かった。

TOT:特に気に入った場所などはありましたか?

色んなところに行ったんだけど、実はもっと東京にも伝統的な建造物などが残っているのかと思っていたから、そういうものがあまり見られなかったのが残念だった。「神社が見てみたい」と言ったんだけど、東京にはあまりないと言われて。でも京都に行くことが出来たから、京都でたくさん見れたけどね。でも、東京で色んなお店に行ったりするのも楽しかった。

TOT:今回行こうと思っている場所などはありますか?

まだ何も計画を立てていないんだ。でもガイドブックを買ったから、これから研究して、まだ行ったことのない場所に行ってみたいね。

TOT:楽しいツアーになるといいですね!では最後に、2010年の抱負を教えて下さい。

実は4年間フルタイムで学生をしていたんだ。4月にやっと卒業できるから、4月以降はもっとツアーをして、新しいスタジオを設置してもっと制作をしたい。とにかくもっと音楽に集中することだね!

プロフィール
Sebo Kは長きにわたり、ベルリンのエレクトロニック・ダンスミュージックのコミュニティにおける重要人物である。他のDJたちと同じように、彼がDJを始めたのも90年代前半。まず、アレック・エンパイアがオーガナイズしていた、ベルリン初のUKブレイクビーツのパーティ『Bass Terror』でDJとしての地盤を作る。その後、90年代中頃にシカゴハウスとデトロイトテクノに開眼、西暦2000年という節目の年にはベルリンの伝説的存在『Pogo club』にてレジデントDJとしての活動をスタートさせるなど、DJスタイルに磨いてきた。現在はベルリンのトップクラブWatergateのレジデントを務め、昨年9月にはミックスアルバム『Watergate 04』をリリースした。

来日公演『LAB special edition feat. SEBO K』
ジャンル:ディープハウス、テクノハウス
出演者:【Guest DJ】 SEBO K 
【DJ】herba (Yutaka Kondo & Takaaki Suzuki/bein), TIMO (TOKYO GALAXY) × Shinya Okamoto (Foureal Records), INOSE (bein), Mr.T (meeting spot)
日時:1月16日(土)23時オープン
料金:当日券3500円、フライヤー持参3000円
場所:WAREHOUSE702

『Watergate 04』発売日2009年10月27日、Watergate Records

テキスト 浅沼優子
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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