松嶋×観光庁長官 サムライ対談(2

日仏一つ星シェフ松嶋啓介が、日本の観光を世界目線で考えるシリーズ第1弾

松嶋×観光庁長官 サムライ対談(2)

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2.国際空港の戦略と地方へのアクセス

松嶋:では次に国際空港戦略と地方のアクセスについてですが、僕はフランスから日本に帰って来る時は、いつも別の空港を使うようにしています。フランスやイギリスの色々な飛行場に行くと、広告を通してその国の戦略が分かってくるので、なるべく空港を変えながら帰ってくるようにしています。ところが、成田に帰ってくるとトーンダウンしちゃうんですよ。なんかわくわく感がないというか。企業の広告はあるんですが、これから日本に来て観光を楽しんでくようなPRがほとんどないですね。乗り継ぎが多いフランクフルトなどですと、待合いに車が置いてあるんですね。ベンツやBMWが新車で置いてあって、空港で車を見せてそこでみんな試乗してる。座り心地を確認したり、価格を見たりされているのを見ると、空港でまで営業しているんだから、ドイツ車が売れている理由がわかるなと。

国際空港と地方の空港は全然違うと思うんですけど、これから、特に地方の空港に関しては、観光を増やすのであれば、必ずこういったところを考えていかなければいけないと思うんです。今回成田から福岡に乗り継いだんですが、乗り継ぎ場が本当に充実してないんですね。これは地方に帰る日本人のための乗り継ぎ場であって、地方に観光に行けるようにはなってないと思うんですね。

溝畑:現状としては、去年くらいから羽田と成田を使ってのアジアのハブ化を進めているんですが、正直空港そのもののホスピタリティとかアミューズメントに対する意識が欠けていたのは一目瞭然です。去年くらいから、成田空港でも展示パネルを入れ変えたりとか、利き酒が出来るようなスペースを作ったりしています。少しでもくつろいでもらうスペースをと考えてはいます。但し他の国との比較でいえばまだまだ遅れている。羽田空港も、いま日本料理とかお土産屋とかが集まるエリアを、江戸をモチーフにした観光施設になっているんですけど、もっと大きいスペースで迫力のあることをしないと、集客機能に関しては、シンガポールやタイに比べると遅れている。ただ遅れていると嘆いているだけだとだめなので、まず、今までは有料だったインターネット使用を、全部国際基準で羽田は無料にしました。また地方空港へのアクセスに関しても改善せんとあかんと思っています。

松嶋:それから僕はいつも空港で残念に思うことがあって、日本のブランドが空港内に少ないんですね。パスポート出して免税店に入ると、ほとんど海外のブランドばかりで、日本のブランドがない。これから海外に行くのにもかかわらず、そこで鞄を買って外国に行かれる方も多いんです。空港内の賃料とか色々理由はあると思うんですけど、残念ながらそこで日本のカッコいいスーツを買って外国へ帰ろうと思ってもないんですね。それで、僕は免税店ではないんですけど、成田空港にユニクロができましたので、一番手頃な日本のお土産だと思って、ユニクロを買ってニースに帰っているんです。そういったところを国として何かサポートしていくと、日本のものがもっと売れるんじゃないかなと思います。

溝畑:空港の株式会社、ビル管理会社で入札をやって公正にやっていると思いますが、もっと日本色を出してもいいと思いますね。

松嶋:日本にも、海外に負けないファッションデザイナーもたくさんいますし、東京でのファッションウィークの後に免税で買えたりすると、これは喜んでいただけると思うんです。空港に店があるのはそれこそひとつのブランディングだと思いますよ。そこですべての売り上げが成り立っているか、と言うと成り立ってないものもあると思いますし。

溝畑:後はその日本企業のマインドでしょうね。

松嶋:あと、観光庁として日本を売り込むとなったときに、衣・食・住とあると思うんですが、海外のブランドケースの調査をしてもらって、空港でこういうお店を作るとこういう成功があるますよ、と。

溝畑:羽田空港は比較的、その調査を踏まえた出店をやってるんですね。そうは言っても民間ベースで、われわれは空港としての魅力をもっと作っていかないといけないですね。

松嶋:地方の空港に関しては、僕は福岡しか使ったことがないんですけど、福岡はいいんじゃないですかね。韓国語/中国語表記はしっかりしているし。あとは東京から来た人向けに博多弁で「ようきんしゃったい」って、あれなんか見ると素晴らしいなと思いますし、ホスピタリティを感じるものもかなりありましたし、福岡はいいなと思います。


溝畑:私なんかから見れば、地方都市が本気になって、世界から海外の観光客を呼ぶなんてことを考え始めたのがまだまだ歴史的に日が浅いと思うんですね。福岡はアジアから船で簡単に来られますし、アジアとの交流がもともと盛んなところで、日常的に受け入れようというカルチャーがありますよね。地方空港を見ていて先にソフトがしっかりと戦略を持って、そこからハードを作るようなことではなくて、既にハードは出来あがっとるわけですね。ここに非常に困難性があるんですけど、頑張ってると思うのが宮崎空港ですね。プロ野球のキャンプを今まで受け入れてきたというのがあって、待ち合わせや自由時間などの場面でも、いろいろ選択肢が多いな、と思わせるものがありました。あと、ちょっと遊び心ですけど、ゲゲゲのきたろうで有名な米子のきたろう空港であったり、高知の坂本竜馬(空港)など、ネーミングでブランド化しようというのもありますね。

司会:そう考えると、地方空港は地方色とか土地柄がちゃんと反映されているのに、成田に着いたとたんに、ここは日本じゃない外国のような感覚になるのはもったいないですよね?

松嶋:これから、外国から地方に来てくれるであろうお客さんに関しては、どういうことを考えてらっしゃいますか?

溝畑:日本に来る871万の方がほとんど東京、大阪なんですね。だからまずはその関東圏、大阪、北海道、福岡、これはアジアレベルでもトップレベルを目指す。地方空港はそこまで一気に国際的な観光につなげていかずにですね、まず、地方空港の方が進めているのが国内観光なんです。国内観光が縮まっている中で、まず国内観光客を増やしてゆく。まだまだ外国人に対して、きっちりサービスを提供しようとするところのレベルまでは、まだまだこれからだと思います。

松嶋:ヨーロッパですと、市の観光サイトを見ると、最近は日本語は入っていますね。英語、ドイツ語、イタリア語、フランス語、プラスアルファで中国語も入ってきています。福岡のウェブサイトを見ると、英語、日本語、中国語、韓国語でできているので素晴らしいなと思うんですが、それ以外の自治体に関しては予算も少ないと思いますし、その言語を変えるだけでも大変だと思うんです。フランスだと観光局がサポートしてホテルのウェブサイトに手を入れたりしていますが、日本ではどうですか?また、語学教育のサポートや提案とかはやられていますか?

溝畑:人材育成ですよね?今は、観光庁と大学ですよね、自治体と一緒に勉強会やったりインターンシップを受けたり。スキルのなかで今一番力を入れているのが、通訳の問題です。日本は通訳案内士の試験に受かっていないと、有償ガイドができないんですよ。今は、制度上、臨機応変に人材を活用できない。今年から、地域別に基準を作って、試験に受かっていなくても、ある程度の基準を満たせば、在日で語学ができる人をガイドで使えるようにするような制度改正をしたりしています。そういったところでの通訳の数がまだまだ足りないので、今回はそこにテコを入れたいなと、そういう風に思ってます。


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テキスト 東谷彰子
※掲載されている情報は公開当時のものです。

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