2011年03月08日 (火) 掲載
日本ならではのファストフードのひとつ、いなり寿司。甘辛いつゆで炊いた油揚げに、酢飯を詰めるのがベーシックだが、日本全国で広く愛されており、そのバリエーションもさまざまだ。ここでは、いなり寿司の老舗から、デパ地下で展開する店舗、街の和菓子屋まで、東京ならではのいなり寿司を紹介する。
大阪を中心に店舗を展開する、いなり寿司専門店『豆狸(まめだ)』の東京店のひとつ。店頭には、定番ものの豆狸いなりをはじめ、五目いなり、わさびいなり、季節いなりなど、数種類のいなり寿司が並んでいる。やや赤みがかった『赤豆狸』は、黒糖で味付けされた油揚げを使用。だがほどよい甘さで、中に入った金ごまとの相性もよく上品な味わいだ。
六本木駅のほど近くに店を構える寿司店。店内に入るとテイクアウトのコーナーがあり、名物のいなり寿司はそこで販売している。最大の特徴はひっくり返された油揚げ。“裏返し”の油揚げは、ほどよい甘辛さに味付けされており、中の酢飯はゆず風味でさっぱりとした味わい。いなり寿司と巻物がセットになった助六寿司の種類も豊富に揃っている。
阿佐ヶ谷駅を出てすぐ、線路下の“ダイヤ街”内にあるテイクアウト専門店。いなり寿司のほか、寿司や巻き寿司なども扱っている。いなり寿司は、定番のものから、きんぴら、ジャコなどメニューが豊富。おすすめはわさび。ほんのりとした甘さの油揚げに、わさびの風味がよく合う。
愛知県・豊川稲荷のお膝元、豊川駅で店舗を展開する『壺屋』の東京支店。日本橋三越の地下1階にある。同店が販売するいなり寿司の最大の特徴は、黒糖で味付けされた油揚げで、これでもかというくらいに甘い。メニューは、うなぎ、わさび、しいたけなど数種類が揃う。
下北沢駅から5分ほどの場所にある和菓子店。いなり寿司は、団子や大福などと並び、販売されている。こちらのいなり寿司は、東京の下町の味といったところ。ぼってりとした形で、やや甘めに味付けされた油揚げの中には、少し固めの米がぎっしりと詰められている。
門前仲町の料理屋『太郎』が展開するデパ地下の総菜店では、下町深川ならではの深川めしを使ったいなりずしが楽しめる。あさりのむき身を加えて出汁で炊き上げる深川めしを、甘辛く炊いた油揚げで包み、かんぴょうでくるりと結んだ一品は、濃厚な風味で満足度が高い。
神田淡路町に本店を構えるいなり寿司の老舗『神田志乃多寿司』だが、新宿伊勢丹地下の店舗では、同店限定の『昔いなり』を楽しめる。これは創業当初の献立を再現しており、通常のいなり寿司に使う油揚げよりも厚めで大ぶりのものを用いているため、食べ応え抜群。酢飯の中に入ったシャキシャキした触感の酢蓮が、甘辛い油揚げの味を引き立てている。
赤坂にある豊川稲荷名物のおいなりさんはいたってシンプルないなり寿司ではあるが、きりっとした酸味の酢飯と甘辛い油揚げの相性は素直で懐かしい味。創業明治3年という歴史を感じさせる店内で食べることも可能だが(2個より注文可能)、やはり人気はお土産用だという。お稲荷さまにお参りして、お土産にいなり寿司を買って帰れば、ご利益にあやかれるかもしれない。
デパ地下でおこわやおにぎりの専門店を展開する「たごさく」グループのひとつ、『釜旬』では、オーソドックスな釜揚げいなりとバリエーション豊かないなり寿司が豊富に揃う。『梅しらすいなり』や『高菜わさびいなり』から、ハローキティ型の油揚げを使った『ハローキティいなり』までバラエティ豊かで、手土産にちょうどいい。
初台駅から伸びるレトロな商店街、初台商盛会のなかにある小さな和菓子店『ひさごや』では、大福をはじめとする和菓子に加えて、いちばんの人気を誇るのが『おいなりさん』。薄めの油揚げに酢飯をたっぷり詰め、きざみ胡麻、酢蓮、甘酢ショウガをたっぷり入れた一品で、酸味とショウガの香りが油揚げの甘さを引き立てている。上品でさわやかな味わいのいなり寿司はテレビでも紹介されるほどで、初台の隠れたグルメアイテムだ。※2013年8月、八王子に移転
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