ジオ・コスモス
2009年10月22日 (木) 掲載
日本が誇る“ミュージック・マエストロ”であるヤン富田。国内初のプロ・スティールパン奏者にして、いち早く日本の音楽シ-ンにヒップホップやダブ、アシッドハウスを定着させたパイオニア的存在としてもその名を知られている。コーネリアスの小山田圭吾や、砂原良徳、テイ・トウワ、バッファロー・ドーターら多くのミュージシャンとも親交があり、そんな彼らから絶大なるリスペクトを受けている彼が、16年ぶりにソロ・コンサートを行う事となった。
会場は、日本人としては2人目の宇宙飛行士・毛利衛が館長をつとめるサイエンスミュージアム『日本科学未来館』の1階で、演奏はシンボルゾーンの吹き抜け空間に浮かぶジオ・コスモス(200万分の1サイズの地球)の下で行われる。この環境で繰り広げられる音と空間を想像すると、エポックメイキングな一晩となることは間違いない。
さて、科学研究の世界は音楽にどんな広がりをもたらすのだろうか。それを知るには新旧のテクノロジーを駆使して“音楽の普遍性”や“未来の音”にこだわり続けるヤン富田の創造世界を紹介する必要がある。
軽やかなれど無限の宇宙をはらむヤン富田のスティールパンの響き、新旧のテクノロジーを探求して究めたエレクトロニック・サウンド、ビート禅を体現する21世紀のテキスト・サウンドと通底するヒップホップ、そして無意識の生体信号までをも音楽へと可聴化するマエストロの手腕。 つねに未踏の地平をひらくそれらの音楽には、宇宙開発、生命研究、ロボット工学など、科学技術研究の世界が誘発する“イマジネーションの種”を見出すことができる。
特別に知的好奇心が強い1人の探求者がたどりついた、とてつもなく大きな広がりをもつ音楽宇宙。晩秋のお台場で、存分に楽しんでみてはいかがだろうか。
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