2010年12月07日 (火) 掲載
クリスマスが迫るこの時期。イルミネーションの次に華々しいのが、デパートやショップの店先を飾るショーウィンドウだ。重要なのは、商品を使い、どれだけ上手にストーリーを語ることができるか。隣に置かれた肝心の商品を見忘れてしまうほど、圧倒的な美しさを放つ東京のショーウィンドウを、一挙紹介しよう。
1年中趣向を凝らしたショーウィンドウが目を引く伊勢丹新宿店は、「RING RING WONDER CHRISTMAS」がテーマ。不思議な動物達が住むワンダーエデンの3匹の動物が、ミセス・ベルが鳴らすベルの実を世界中に届けてクリスマスの訪れを告げるために、北へ南へ、海底へ空へと旅する様子が、12の窓に13のストーリーで描かれている。紙をメイン素材に、ヨーロッパの絵本のような世界が大きくビジュアル化され、ペイントが窓枠から大胆にはみ出しているところがいい。読むのにかかる時間は10分程度。展示が終了するクリスマスまでに、すべての物語を読みきってほしい。
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真っ白な店内が美しいスワロフスキーのフラッグシップストアは、冬には一層輝きを増すように見える。何よりも、すっかり恒例となった、ツリーとも樹氷とも取れるクリスタルの像が放つ光がまぶしく、足を止めずに前を通りすぎることが難しいほど。他店舗にも同じ物が置かれているが、さすがに銀座店はウィンドウも大きく、クリスタル像も2本。イルミネーションとショーウィンドウのどちらもハイレベルな銀座の中でも、この季節では突出して美しいデコレーションだ。
住所:東京都中央区銀座8-9-15 JEWEL BOX GINZA 1F-2F
ウェブ:www.swarovski.com/Web_JP/ja/index
ギフトにぴったりの華やかな商品やLED電球を使った明るいショーウィンドウが主流のクリスマス期に、まったく別路線を行く唯一のショップが資生堂パーラーだ。こちらのクリスマスツリーは、鏡かペンダントトップを思わせるフレームの中に唐草と女性の姿が描かれたプレートが円錐形に配置された非常にユニークなもの。ダークレッドの店内とのコントラストも合わせて、銀座の街角で独特の雰囲気を放っている。外壁にある小窓の中で、紙で作られた小さな影絵が回転している飾りも見逃さないで欲しい。全体にオレンジ色の灯りが使われており、寒い冬の日に体が温まったかのような気にさせてくれる。
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今年9月にリニューアルオープンした銀座三越は、どの店よりも幻想的だ。店舗が掲げているテーマ「魔法の国~夢のようなひととき~」に基づいて集められたファンタジックなクリスマスギフトを中央通り側4個のウィンドウに盛り込み、大人と子供両方に向けたお伽の世界を用意。どのウィンドウにも値札プレートが置かれているのが特徴だ。残念なのは、いつでも人通りが激しく立ち止まるのが難しいことだけ。展示が終了するクリスマスまでにじっくりと観察しよう。
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ベスト・ウィンドウ賞を1つ決めるとするならば、銀座コアを選びたい。横長の窓の左下に水玉のインナーを着たサンタクロースが立ち、大きな袋を背負っている……と思いきや、袋の底が破けプレゼントが飛び出している。気づいていないのか、そんなことはどうでもいいのか、心境を判別できない微妙な表情のサンタクロースと、豪快に吹っ飛ぶプレゼントの対比がおもしろい。平均的なウィンドウよりも少し下の位置にあるため、気づかず通過してしまう人が多いので、注意して見て欲しい。
住所:東京都中央区銀座5-8-20
ウェブ:www.ginza-core.co.jp/
ジュエリーショップに多い小窓タイプのウィンドウは、雪の結晶と枝の白、鳥の青、そしてティファニーブルーが完璧に調和した美しい窓。さりげなく鳥の足元にかけられたダイヤモンドのネックレスを見て、童話『青い鳥』の結末を思い出すのは間違いではないだろう。“幸せの象徴である青い鳥は、(ダイヤモンドと共に)鳥かごの中にあった”。 このウィンドウは、それ自体が鳥かごなのだ。
住所:東京都中央区銀座 2-7-17
ウェブ:www.tiffany.co.jp/
伊勢丹新宿店と並んでウィンドウ・ディスプレイが常に注目されるバーニーズ ニューヨーク銀座店のショーウィンドウは、店舗側面の2つはクリスマスギフト用に、正面の2つは今年日本上陸20年を迎えた同店へのメッセージを伝える特別デコレーション用に使用されている。「Happy Birthday to US」デザイナー達がコミカルなポーズで祝福を表現。一つ一つを丁寧に観ていると自然と笑いがこぼれてしまう、温かみのあるウィンドウだ。
住所:東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル
ウェブ:www.barneys.co.jp/stores/ginza.html
どこか挑発的な表情とポーズが特徴のシャネルのマネキンたちは、ホリデーシーズンになるとより一層豪華にドレスアップする。プレゼントの箱を大量にもっておねだりをする姿をお手本にするのもオススメだ。ショップ正面と側面にかなり大きなウィンドウがあり、華やかな雰囲気に惹かれた買い物客が写真を撮る姿が絶えない。
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明治18年創業、大正13年より現在の場所に建つ歴史ある店『てんぷらの天國』は、伝統の江戸前てんぷらを振る舞うだけでなく、絶妙なショーウィンドウをもつ店だ。現在は、雪を降らせた地面と気球を設置。非常に小さいサンタクロースとプレゼントをもらう子供たちの人形が置かれ、クリスマスの朝の幸せな光景を見せている。ウィンドウのサイズは小さいものの、日本料理屋の店先にぴたりと調和させるセンスはかなりのものだ。
住所:東京都中央区銀座8-9-11
ウェブ:www.tenkuni.com/
表参道の高級メゾンのショーウィンドウに軒並みパワー不足を感じる中、一番元気だったのがロエベだ。断崖に立つ城を模して積み上げられたプレゼントの山に、さりげなく商品が置かれ、頂上では旗の代わりにネクタイが翻っている。ベージュを基調に作られた城は、子供が作った積み木細工のようだ。極めつけは、木製の機関車が中を走り抜けること。子供でなく、大人を驚かせているショーウィンドウだ。
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