2015年07月24日 (金) 掲載
浅草と浅草橋のほぼ中間にある蔵前は、かつて江戸幕府の御米蔵が並び、吉原や芝居小屋に通い慣れた粋人が多く住んだ街。隅田川に平行する江戸通りを中心に玩具や花火の問屋が並び、現在は昔ながらの職人や老舗メーカーに加え、若手作家がアトリエやショップを構える。商人と職人の街として栄えた歴史と比較的廉価な家賃、さらに各種助成金や台東デザイナーズビレッジの運営といった、作り手へのサポートに力を入れる台東区の姿勢に後押しされるように、特にここ数年は「丁寧に作られた質の良さ」や「人と人のコミュニケーション」を重視する若手店主の面白い店が増えてきた。2011年に「街とものづくりの魅力に触れる」をコンセプトに始まったイベント『モノマチ』の盛況ぶりもその表れだろう。また、新しいコーヒー文化の息吹も気になるところ。今、東エリアでコーヒーと言えば、清澄白河が大きな盛り上がりを見せているが、この街でも美味しいエスプレッソやハンドドリップを味わえる場所が増えている。本記事では、そんな蔵前の今を感じさせる旬の店から、この地で長く愛されてきた老舗まで、2013年に公開した内容をアップデートし、散策にもぴったりのヴェニューを紹介する。
蔵前四丁目交差点から北へ2分ほど歩いた場所に、『ルイ・ヴィトン』、『ドルチェ&ガッバーナ』、『ランバン』など、世界のトップブランドにも愛されるリボンメーカー、木馬のショールームがある。店内に並ぶ色とりどりのリボンは、個人でも1mより購入可能。同じ通りにあるレースリボン専門のショールームとあわせて利用してみては。
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蔵前の国際通り沿いにある文具専門店。「書く」という行為にフォーカスし、使い心地にこだわってセレクトした文具を取り扱う。看板商品は店内で作るオーダーノート。ノートを構成するパーツを選べば、スタッフが10分ほどで「自分だけのノート」を製本してくれる。2014年には、オリジナルインクが作れるラボのようなインク専門店ink stand by kakimoriを隣にオープンした。
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蔵前駅近くにある、革製品ブランド『エムピウ』の工房兼直営店。イタリアで伝統技法を学んだ、元建築士の革職人、村上雄一郎が生み出す革製品は、シンプルな機能美が魅力。日々大切に使い込んでいきたくなる革小物は、ギフトにもおすすめだ。この直営店にはエイジングサンプルも展示されているので、使い込んだイメージまで掴みたい人は、ぜひ足を運んでみよう。
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蔵前の江戸通り沿いにある、アッシュコンセプトの直営店。同社は、雑貨ブランド『+d』を展開しながら、ものづくり企業のコンサルティングも手がけており、2012年に「ものづくりの発信基地」としてこの店をオープンした。白を基調とした店内には、デザイン性と使い心地を兼ね備えた同ブランドの製品を中心に、日本中から集めた生活雑貨が並ぶ。そのラインナップを眺めれば、デザイナーや職人たちの情熱が伝わってくるだろう。2014年には、近所の珈琲店SOL'S COFFEEのコーヒースタンドが店内にオープン。
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蔵前駅近くの厩橋交差点にある、糸と紐の専門店。糸商として1864年に同地で創業し、現在では組紐やリボンなどの製造にも取り組む。店内にはあらゆる種類の糸や紐、テープ、リボンなどが並び、オリジナル製品の注文も受け付けている。
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蔵前二丁目交差点近くにある、レザーバッグブランド『REN』の直営店。素材の風合いをいかし、過剰な装飾を排したシンプルなバッグは、ユニセックスな佇まいで男女問わずファンが多い。特にオリジナルレザーのピッグスキンを使ったアイテムは、その軽さと肌馴染みのよさに驚かされるはずだ。陳列スペースの奥には、裁縫ミシンや道具が置かれた工房スペースが見え、作り手の体温が感じられるのも魅力。
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蔵前の国際通り沿いにある、草木染め製品のブランド『MAITO』の直営店。福岡出身の若き染色家であり、デザイナーの小室真以人が手がける同ブランドは、天然素材の糸と草木染めにこだわり、日本各地の職人による「Made in Japan」製品を発信している。桜の柔らかなピンク、茜の鮮やかな赤、桑の深い黄色など、独自の先染め技法によって引き出された色合いの美しさは、化学染料全盛の現代にあって、人を立ち止まらせる魅力を放つ。
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蔵前二丁目交差点にある花火問屋。ロケット花火から線香花火までバリエーション豊富に取り揃え、小売りにも対応している。花火のほか、剣玉などの和玩具や和凧の販売もあり。オールシーズン花火を扱っているので、真冬の花火願望を叶えられるのが嬉しい。
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江戸通りの1本裏手にある雑貨店。日々の生活に寄り添う器や布製品など、シンプルで手なじみのよい生活雑貨を取り扱っている。『aalto coffee』のコーヒー豆やレシピ本など、セレクションには独自の生活への美学がうかがえる。日常の中の「とっておき」を見つけに、ぜひ足を運んでみてほしい。
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蔵前駅からすぐ、消防署の向かい側に位置するゲストハウス。コンセプトは「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所」。宿泊施設は個室とドミトリーがあり、通りに開かれた1階のラウンジは、宿泊者でなくても利用できる。3つの大木を繋いだバーカウンターが印象的な空間は、日中は世田谷のONIBUS COFFEE監修のコーヒーや焼きたてパンが楽しめるカフェとして、夜になれば国際色豊かなバーやライブスペースに。隅田川も近く、風通しの良い空間でくつろぐ時間は何とも贅沢だ。
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蔵前の国際通り沿いに、2014年にオープンしたカフェ兼レザーショップ。店主は、バレリーナとして活動しながら、焼き菓子ブランド『MIWAKO BAKE』を手がける山田美和子と、レザーブランド『numeri』のデザイナー、田村晃輔の2人。食欲をそそる焼き菓子とハンドメイドの革製品が同居する空間に、地図片手の散策客とローカルの人々の会話が入り交じる。コーヒーもいいが、濃厚なスムージーもおすすめ。
CAMERAの詳しい情報はこちら
スカイツリーを一望できる、隅田川沿いの遊歩道。風に吹かれてのそぞろ歩きもいいが、週末なら、厩橋のたもとから13時と17時に出る、駒形の「乗合屋形船」で粋な川遊びと洒落込むのもいいだろう。2名からの予約制となっており、電話で予約を受け付けている。空席があれば、直前でも乗船可能だ。
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蔵前の隅田川沿いに建つ、リバーサイドカフェ。複合施設『MIRROR』の1階と3階に入居しており、1階にはゆったりしたキッチン、吹き抜けのある客席とロフトがあり、3階は貸切パーティーにも対応できる100席以上の大空間が広がっている。窓からは隅田川とスカイツリーが眺められ、一人でのんびりするにも、友人たちと集うにもおすすめだ。
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蔵前と新御徒町の間に建つ、1951年創業の銭湯。創業当時から変わらないという宮造りの建物や昔ながらの番台は、まるで昭和にタイムスリップしたかのよう。一番の見どころは、脱衣所から望む豪華な庭だ。錦鯉や金魚の泳ぐ池があり、さらに男湯からは金魚の泳ぐ水槽が眺められる。熱い湯に浸かり、優雅に泳ぐ鯉や金魚を眺めて帰れば、日常の疲れも忘れてぐっすりと眠れるだろう。
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蔵前神社近くにある、小さなコーヒースタンド。「身体に優しいコーヒー」をコンセプトに、2回の焙煎とハンドピッキングを行うという自家焙煎豆を使用しており、コーヒーはスッキリ、ラテは丸みのある味わいが魅力だ。蔵前で美味しいラテが飲みたくなったら、ここへ行こう。2014年には、近所のKONCENT内にもコーヒースタンドをオープンした。
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蔵前二丁目交差点近くにある、手作りマフィン専門店。小さな店内には、『プラムコンポート&なめらかカスタード』『COFFEE&ホワイトチョコ』といった「デザートマフィン」から『キノコとソーセージのバジル炒め』のような「おかずマフィン」まで、週替わりで様々なアメリカンマフィンが並び、イートインカウンターもある。昼過ぎには売り切れて閉店してしまうことも珍しくないので、もし扉の前で落胆したくなければ、早めの時間に訪ねよう。
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蔵前駅のすぐそば、江戸通りを1本入ったところにあるラーメン店。豚骨をベースに数十種の野菜を3日間煮込んだ極上スープは、背脂たっぷりなのに、なぜかスッキリと上品な味わい。ほんのり甘く、こってりとした醤油味の『元ラーメン』や、脂の旨味たっぷりの『特製らーめん』が特におすすめ。一度食べたらハマるラーメンだ。
蔵前元楽総本店の詳しい情報はこちら
蔵前にある、飲食と物販と健康サロンを併設した複合施設。コンセプトは「食と健康と日本的生活文化の遊び場」。特別な圧力鍋で炊き上げ、4日間熟成させた玄米を使うという『寝かせ玄米定食』は、もっちりとして甘みがあり、「玄米は健康に良いが、固くてパサパサ」という先入観を見事に打ち破ってくれる。物販スペースには、日本全国から探し出した食材や調味料、酒、つまみなどが並び、サロンでは食事療法と運動療法による健康サポートを行っている。
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蔵前の国際通り沿いにあるビストロ。フランスの家庭料理や郷土料理が楽しめる同店は、シェフが生まれ育った蔵前の地に開店して20年以上になり、常連客も多い。店内には、シェフがパリやフランスの片田舎で買い付けてきたアンティークのシェードや葡萄を摘むカゴなどが飾られ、雰囲気たっぷり。料理に合うフランス産の自然派ワインも常時80種類以上が揃う。
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蔵前と御徒町を結ぶ春日通り沿いにある、1887年創業の和菓子店。木枠のガラス戸に三和土という、昔ながらの趣きある店構えが目印。栗蒸し羊羹や豆大福といった和菓子を販売しているが、一番の名物はなんと洋菓子だ。バタークリームを甘いマドレーヌ生地でサンドした銘菓『ソフトバター』は、優しい甘さがクセになる。もうひとつの名物『豆大福』は俵型なのが珍しく、薄味ながら大豆の味がしっかり感じられる。地域の人々に愛されてきた味は、散策の一休みにもぴったり。
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蔵前エリアの中心、江戸通りと春日通りと国際通りが結ぶトライアングル内に建つ神社。「蔵前の八幡さま」と呼ばれる。1694年に石清水八幡宮として建立され、1947年に蔵前神社と改称した。「勧進大相撲」の発祥地であり、記念碑や関取の名が刻まれた玉垣から、その歴史をうかがうことができる。同宮は古典落語にもしばしば登場し、境内には演目のひとつ『元犬』にちなんだ犬の碑が建てられている。
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