2014年03月28日 (金) 掲載
※タイムアウト東京外国人記者が、日本の缶ビールおよび発泡酒をいくつかピックアップし行うテイスティング。検証結果はあくまで個人の主観なので、一意見として受け止めてもらえれば幸いだ。
今夜はバーで散財することなく家でこじんまりとやろうと考え、近くのコンビニで冷えた缶ビールを買うことにする。ここでジレンマが。その選択肢があり過ぎるのだ。すでに多数ある通常のビールに加え、ビールより安いが得体の知れない、「ビールもどき」で占領されている棚がひとつ設けられている。このビールもどきは日本では「発泡酒」という名で知られ、常に試行錯誤、開発に飽き足らない日本の醸造メーカーが、税金対策を目的として造り出した麦芽酒の一種である(麦芽含有量が67%未満の飲料はビールに分類されないため、税率が低いというカラクリ)。ここにある7つの商品のうち、最も価値ある一夜を提供してくれる一杯はどれだろうか。
東京人の永遠のお気に入りとして知られているが、驚くほど薄く、残念ながらジュースのような味。飲んだ後、かすかに工業用金属の味がするのもいただけない。極めて平凡、全てにおいてぱっとしない。
ほのかな甘さとしっかりとした苦味を持ち、バッドチョイスとまでは言わないが、特徴が全くない点ではおすすめはできない。缶の深い銀色と洗練されたデザインからして、期待は大きかったのだが……。
今回紹介する中で、ナンバーワンの発泡酒。香りは花のようで爽やか。食事とも相性がよく、のどごしも良好だ。4つの中では、本物のビールと張り合える唯一の発泡酒と言えるだろう。グラスに注いだ際に、ガソリンのようなにおいが鼻を刺激しどこか違和感を覚えるが、そんなことをいちいち気にして発泡酒を飲む人はいないだろう。
「私には、ビールです」。まず、この謳い文句に信憑性がないし、石鹸のような味が全ての疑いを確固たるものにしている。後味の酷な苦みには、不思議にもコリアンダー風のにおいがある。私にとって、決してビールではない。
1987年に発売され、今、日本で最も売れているビール。舌に残る辛さを除けば、全くもって無難な味である。確かにドライ(辛い)だが、言うほどでもない。せいぜい、移民局事務官やNHKのニュースキャスター程度のもの。
平凡なビールが並ぶ中で、この沖縄産のビールは辛みとまろやかさが力強く舌を刺激するが、がっかりするほど淡白な後味でがその勢いが消える。苦いゴーヤチャンプルのお供としてなら、おすすめできる。
このテイスティング企画の勝者。甘みを持ちながらしっかりとした麦芽の香りが期待を煽るが、この正直で、余分な飾りをしていないラガーはそれを裏切らない。究極に安いビールと言えるだろう。最初の一口から9缶目まで、全く味は劣らない。日本のベストセラー商品としてもお墨付き。
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